経営再建のためのM&A活用法|失敗しないためのデューデリジェンスとPMI

経営再建のためのM&A活用法|失敗しないためのデューデリジェンスとPMI

経営不振に陥った企業にとって、M&Aは起死回生の手段となり得ます。しかし、M&Aは複雑なプロセスであり、綿密な計画と実行が不可欠です。安易に進めれば、更なる経営悪化を招くリスクも潜んでいます。この記事では、経営再建を成功させるためのM&A活用法を、デューデリジェンスとPMI(経営統合)の観点から徹底解説します。

具体的には、M&Aによる経営再建のメリット・デメリット、M&Aが有効な経営状況、スポンサーM&Aや事業譲渡といったM&Aの種類を分かりやすく説明します。さらに、財務・法務・事業・人事デューデリジェンスといった、経営再建時に特に注意すべきデューデリジェンスのポイントを解説することで、M&Aのリスクを最小限に抑え、成功確率を高めるための知識を得られます。

PMIにおいては、シナジー効果の最大化、文化の融合、従業員のモチベーション維持といった成功要因に加え、PMIにおける課題と解決策、経営再建を目的としたPMIの進め方についても詳しく解説します。この記事を読むことで、経営再建のためのM&Aを成功に導くための具体的な方法と、失敗を回避するための重要なポイントを理解することができます。

帝国データバンクの調査結果からも、M&A後のPMIの成否が、経営再建の成功を大きく左右することが明らかになっています。適切なM&A戦略と綿密なPMI計画によって、企業の再生と成長を実現できる可能性が高まります。

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編集者の紹介

日下部 興靖

株式会社M&A PMI AGENT
代表取締役 日下部 興靖

上場企業のグループ会社の取締役を4社経験。M&A・PMI業務・経営再建などを10年経験。3か月の経営支援サポートで、9か月後には赤字の会社を1億円の利益を計上させるなどの実績を多数持つ専門家。



1. 経営再建とM&Aの関係

経営再建とは、業績が悪化し、事業継続が困難になった企業が、再び収益を上げ、安定した経営基盤を構築するための取り組みです。その手法は様々ですが、近年、M&A(合併・買収)を活用した経営再建が増加しています。M&Aは、経営資源の最適化、新規事業への進出、事業規模の拡大など、企業戦略において重要な役割を果たしますが、経営再建においても強力なツールとなり得ます。


1.1 M&Aによる経営再建のメリット

M&Aによる経営再建には、様々なメリットがあります。例えば、資金調達、事業の選択と集中、経営ノウハウの獲得、シナジー効果の創出などが挙げられます。

資金調達財務状況が厳しい企業は、M&Aによって新たな資金を調達できます。スポンサーM&Aでは、ファンド等から資金提供を受け、財務基盤を強化できます。
事業の選択と集中不採算事業を売却し、収益性の高い事業に経営資源を集中させることで、効率的な経営を実現できます。例えば、アパレル事業で苦戦する企業が、収益性の高い食品事業に特化するために、アパレル事業を売却するといったケースが考えられます。
経営ノウハウの獲得M&Aによって、優れた経営ノウハウを持つ企業と統合することで、経営体制の強化や事業の効率化を図ることができます。例えば、IT技術に弱い企業が、IT企業を買収することで、デジタル化を推進するといったケースが考えられます。
シナジー効果の創出M&Aによって、企業同士の技術、ノウハウ、販売網などを組み合わせることで、新たな価値を創造し、競争力を強化できます。例えば、地域密着型のスーパーマーケットが、全国展開するスーパーマーケットと合併することで、仕入れコストの削減や店舗網の拡大によるシナジー効果が期待できます。

1.2 M&Aによる経営再建のデメリット

M&Aによる経営再建は、メリットだけでなくデメリットも存在します。統合コスト、文化の衝突、従業員のモチベーション低下、デューデリジェンスの失敗などが挙げられます。これらを事前に理解し、対策を講じる必要があります。

デメリット 内容 対策
統合コスト システム統合、人事制度の統一など、M&Aに伴う統合には多額のコストが発生します。 事前に綿密な計画を立て、コストを最小限に抑える必要があります。
文化の衝突 企業文化の違いによる衝突は、従業員のモチベーション低下や生産性の低下につながる可能性があります。 統合後の企業文化を明確に定義し、従業員への周知徹底を図る必要があります。
従業員のモチベーション低下 M&Aによる雇用不安や人事異動は、従業員のモチベーションを低下させる可能性があります。 従業員とのコミュニケーションを密にし、不安を取り除くための説明会などを実施する必要があります。
デューデリジェンスの失敗 買収対象企業の財務状況や法務リスクなどを十分に調査せずにM&Aを進めると、想定外の損失を被る可能性があります。 経験豊富な専門家によるデューデリジェンスを実施し、リスクを正確に把握する必要があります。
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1.3 M&Aが有効な経営状況とは

M&Aはすべての経営状況において有効なわけではありません。事業の再構築が必要な場合、早期の資金調達が必要な場合、経営ノウハウの不足を補いたい場合などに有効です。自社の状況を正確に把握し、M&Aが最適な選択肢かどうかを慎重に判断する必要があります。

事業の再構築が必要な場合例えば、市場の縮小や競争の激化により、既存事業の継続が困難になった場合、M&Aによって新たな成長分野に進出することで、事業の再構築を図ることができます。
早期の資金調達が必要な場合例えば、債務超過に陥り、資金繰りが悪化した場合、スポンサーM&Aによって迅速に資金を調達し、倒産の危機を回避することができます。事業再生ADRや私的整理といった法的整理と比較して、迅速な資金調達が可能となるケースもあります。
経営ノウハウの不足を補いたい場合例えば、後継者不足や経営陣の高齢化により、経営ノウハウが不足している場合、M&Aによって経験豊富な経営人材を獲得し、経営体制を強化することができます。

2. 経営再建のためのM&Aの種類

経営再建を目的としたM&Aには、いくつかの種類があります。それぞれの特徴を理解し、自社の状況に最適な方法を選択することが重要です。主な種類は以下の通りです。


2.1 スポンサーM&A

スポンサーM&Aとは、経営難に陥った企業(ターゲット企業)に対し、ファンドなどのスポンサーが資金提供や経営支援を行うM&Aです。スポンサーは、ターゲット企業の再建計画を策定し、実行することで、企業価値の向上を目指します。この手法は、資金調達と経営ノウハウの両面から支援を受けられるため、抜本的な改革が必要な場合に有効です。多くの場合、株式取得や第三者割当増資などの方法が用いられます。

スポンサーM&Aのメリットは、迅速な資金調達と経営の専門家による支援を受けられる点です。一方、デメリットとしては、経営権の移転や、スポンサーの意向に沿った経営方針への転換が必要となる点が挙げられます。代表的なスポンサーとしては、日本政策投資銀行や地域金融機関、プライベート・エクイティ・ファンドなどが挙げられます。

2.1.1 スポンサーM&Aにおける種類
バイアウト経営陣がファンドと共同で自社を買収する手法
ターンアラウンド既に経営難に陥っている企業を再建する目的で行われる手法

2.2 事業譲渡

事業譲渡とは、企業の持つ事業の一部または全部を他の会社に譲り渡す方法です。経営再建においては、不採算事業を切り離すことで経営資源を集中させ、残りの事業の収益性を高める目的で利用されます。また、優良事業のみを譲渡することで、資金を調達し、再建に充てることも可能です。事業譲渡は、会社全体の売却に比べて手続きが簡便で、迅速な対応が可能というメリットがあります。

事業譲渡の対象となる事業は、製造ラインや販売網、知的財産権、顧客リストなど多岐にわたります。譲渡価格は、事業の収益性や将来性、市場環境などを考慮して決定されます。事業譲渡契約においては、譲渡対象事業の範囲、譲渡価格、従業員の処遇などを明確に定めることが重要です。

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2.3 会社分割

会社分割とは、会社を分割して、新たな会社を設立したり、既存の会社に事業を承継させる方法です。経営再建においては、不採算事業を分離して新たな会社に承継させることで、残りの事業の立て直しを図る目的で利用されます。また、優良事業を分割して独立採算化することで、事業価値を高めることも可能です。

会社分割には、吸収分割と新設分割の2種類があります。吸収分割は、既存の会社に事業を承継させる方法で、新設分割は、新たに設立した会社に事業を承継させる方法です。会社分割は、事業譲渡に比べて手続きが複雑ですが、事業の継続性を重視する場合に有効な手段となります。

種類 説明 メリット デメリット
スポンサーM&A ファンドなどが資金提供や経営支援を行うM&A 迅速な資金調達、経営の専門家による支援 経営権の移転、スポンサーの意向に沿った経営方針への転換
事業譲渡 事業の一部または全部を他の会社に譲り渡す 手続きが簡便、迅速な対応が可能 事業の一部しか売却できない場合がある、従業員の雇用維持が課題となる場合がある
会社分割 会社を分割して、新たな会社を設立または既存会社に事業を承継 事業の継続性を維持できる、不採算事業の切り離し 手続きが複雑、分割後の事業の連携が必要な場合がある

それぞれのM&Aの種類には、メリット・デメリットが存在します。自社の置かれた状況、経営再建計画の内容、将来展望などを総合的に判断し、最適なM&Aの種類を選択することが重要です。専門家であるM&Aアドバイザーや弁護士、会計士などに相談することで、より適切な判断材料を得ることができます。

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3. デューデリジェンスの重要性

経営再建を目的としたM&Aにおいて、デューデリジェンスは極めて重要なプロセスです。デューデリジェンスを適切に行うことで、買収対象企業の現状を正確に把握し、M&A後の統合プロセスをスムーズに進めることができます。また、予期せぬリスクや負債を事前に発見することで、M&A後のトラブルを未然に防ぎ、経営再建の成功確率を高めることができます。デューデリジェンスを軽視すると、M&A後に想定外の事態が発生し、経営再建が頓挫する可能性もあるため、十分な時間とリソースを割いて実施する必要があります。


3.1 財務デューデリジェンス

財務デューデリジェンスでは、買収対象企業の財務状況を詳細に調査します。資産、負債、収益、キャッシュフローなどを分析し、財務諸表の信頼性や隠れた負債の有無を確認します。特に経営再建を目的としたM&Aでは、不良債権や簿外債務などの発見が重要となります。また、将来の収益性やキャッシュフロー予測を行い、M&A後の経営計画の策定に役立てます。

3.1.1 財務デューデリジェンスのチェックポイント
売上高、利益の推移
債務状況、キャッシュフロー
棚卸資産の評価
簿外債務の有無
不正会計の有無
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3.2 法務デューデリジェンス

法務デューデリジェンスでは、買収対象企業の法的リスクを調査します。契約書の確認、訴訟の有無、許認可の状況、コンプライアンス体制などを精査し、潜在的な法的問題を洗い出します。特に経営再建中の企業は、債権者との関係や法的紛争を抱えている場合があるため、詳細な調査が必要です。法務デューデリジェンスの結果は、M&A契約の条件交渉やリスクヘッジに活用されます。

3.2.1 法務デューデリジェンスのチェックポイント
契約書の有効性
係争中の訴訟の有無
必要な許認可の取得状況
コンプライアンス体制の整備状況
知的財産権の保護状況
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3.3 事業デューデリジェンス

事業デューデリジェンスでは、買収対象企業の事業内容、市場環境、競争状況、将来性などを分析します。事業計画の妥当性、競争優位の有無、成長 potentialなどを評価し、M&A後の事業戦略策定に役立てます。経営再建を目的としたM&Aでは、事業の収益性改善 potentialやリストラクチャリングの可能性を分析することが重要です。市場シェア、顧客基盤、技術力なども重要な分析対象となります。

3.3.1 事業デューデリジェンスのチェックポイント
市場規模と成長性
競合企業の状況
主要顧客の分析
技術力、研究開発力
事業リスクの評価
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3.4 人事デューデリジェンス

人事デューデリジェンスでは、買収対象企業の従業員の状況、人事制度、労務管理などを調査します。従業員のスキル、モチベーション、退職リスクなどを分析し、M&A後の組織統合や人事戦略に役立てます。経営再建を目的としたM&Aでは、余剰人員の整理や人材育成の必要性などを評価することが重要です。また、労働組合との関係や退職金制度なども重要な調査対象となります。 key personの確保も重要なポイントです。

3.4.1 人事デューデリジェンスのチェックポイント
従業員の年齢構成、スキル
人事制度、評価制度
労働組合との関係
キーマンの確保
退職金制度、福利厚生

3.5 経営再建時におけるデューデリジェンスのポイント

経営再建を目的としたM&Aでは、通常のM&Aとは異なる点に注意が必要です。財務状況の悪化要因、事業の不振原因、法的リスクなどを詳細に調査し、経営再建の可能性を慎重に評価する必要があります。また、ターンアラウンドプランの実現可能性や、M&A後のシナジー効果についても検証する必要があります。迅速な意思決定と実行が求められるため、デューデリジェンスの期間を短縮する工夫も重要です。優先順位を明確にし、限られた時間の中で必要な情報を効率的に収集する必要があります。

デューデリジェンスの種類 経営再建時のポイント
財務DD 不良債権、簿外債務の有無、キャッシュフローの改善可能性
法務DD 債権者との関係、訴訟リスク、法的紛争の解決可能性
事業DD 事業の収益性改善 potential、リストラクチャリングの可能性、競争優位の有無
人事DD 余剰人員の整理、key personの確保、人材育成の必要性

これらのデューデリジェンスを総合的に判断することで、M&Aの成否を左右する重要な情報を得ることができます。専門家のアドバイスを受けながら、綿密なデューデリジェンスを実施することが、経営再建の成功には不可欠です。

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4. PMI(経営統合)の成功要因

M&Aによる経営再建において、PMI(Post Merger Integration:経営統合)は、その成否を大きく左右する重要なプロセスです。PMIを成功させるためには、綿密な計画と迅速な実行、そして柔軟な対応が求められます。単なる形式的な統合ではなく、真にシナジー効果を発揮し、新たな企業価値を創造するための統合を目指さなければなりません。PMIの成功は、経営再建の成功に直結すると言っても過言ではありません。

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4.1 PMIにおける課題と解決策

PMIには様々な課題が伴います。例えば、異なる企業文化の衝突、システムの統合、従業員のモチベーション低下、顧客の離反などです。これらの課題を事前に予測し、適切な対策を講じることで、PMIをスムーズに進めることができます。

課題 解決策
企業文化の衝突 統合後の企業文化を明確に定義し、浸透させるための研修やコミュニケーションの場を設ける。従業員の声に耳を傾け、相互理解を深めるための取り組みを行う。
システムの統合 システム統合のロードマップを作成し、段階的に進める。既存システムの互換性やデータ移行の課題を事前に洗い出し、適切な技術的対応を行う。
従業員のモチベーション低下 統合後のキャリアパスや評価制度を明確に示し、従業員の不安を取り除く。適切な研修やスキルアップの機会を提供し、成長を支援する。
顧客の離反 統合によるサービス内容の変更や品質低下がないことを明確に伝え、顧客との信頼関係を維持する。顧客からのフィードバックを収集し、継続的なサービス改善に努める。
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4.2 経営再建を目的としたPMIの進め方

経営再建を目的としたPMIでは、特にスピードと効率性が重要になります。迅速な意思決定と実行により、早期の業績回復を目指します。そのためには、経営陣のリーダーシップと現場の協力が不可欠です。また、ステークホルダー(利害関係者)への適切な情報開示も重要です。透明性の高いコミュニケーションを図ることで、信頼関係を構築し、PMIの成功を後押しします。

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4.3 シナジー効果の最大化

M&Aの最大の目的は、シナジー効果による企業価値の向上です。経営再建においても、シナジー効果の最大化は重要な目標となります。コスト削減、売上増加、新規事業の創出など、様々なシナジー効果が期待されます。実現可能なシナジー効果を明確に定義し、具体的な目標を設定することで、PMIの効果を最大化することができます。

4.3.1 コストシナジー

重複する部門や機能の統合、規模の経済による購買力の向上などによってコストを削減します。例えば、間接部門の統合や、共通システムの導入などが挙げられます。

4.3.2 売上シナジー

販売チャネルの共有、クロスセル、製品ラインナップの拡充などによって売上を増加させます。例えば、買収対象企業の製品を既存の販売網で販売することで、新たな顧客層へのアプローチが可能になります。

4.3.3 事業シナジー

技術やノウハウの共有、研究開発の共同実施などによって、新たな事業を創出します。例えば、買収対象企業の技術を活かして、新たな製品やサービスを開発することができます。

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4.4 文化の融合

異なる企業文化を持つ組織を統合することは、容易ではありません。しかし、文化の融合は、PMIの成功に不可欠な要素です。統合後の企業文化を明確に定義し、全従業員に共有することで、一体感を醸成し、組織としての結束力を高めることができます。研修やイベントなどを活用し、相互理解を深めるための取り組みも重要です。


4.5 従業員のモチベーション維持

経営再建中のM&Aでは、従業員の不安やストレスが高まりやすく、モチベーションの低下に繋がる可能性があります。統合後のキャリアパスや評価制度を明確に示し、従業員の不安を取り除くことが重要です。また、適切な研修やスキルアップの機会を提供することで、従業員の成長を支援し、モチベーションの維持・向上に繋げることができます。公平で透明性のある人事制度を構築し、従業員が安心して働ける環境を整備することが重要です。

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5. まとめ

経営再建においてM&Aは、資金調達、事業の選択と集中、新たな経営資源の獲得といったメリットをもたらす有効な手段です。しかし、M&Aは万能薬ではなく、文化の衝突やシナジー効果の実現の難しさといったデメリットも存在します。成功のためには、デューデリジェンスとPMIを適切に行うことが不可欠です。

デューデリジェンスでは、財務状況、法務リスク、事業の継続性などを詳細に調査し、潜在的な問題を早期に発見することが重要です。特に経営再建時は、債務超過や事業の不採算性など、通常のM&Aとは異なるリスクが存在するため、より慎重な調査が必要です。PMIにおいては、シナジー効果の最大化、文化の融合、従業員のモチベーション維持など、多岐にわたる課題に取り組む必要があります。スピード感を持った意思決定と実行、そして従業員への丁寧な説明とコミュニケーションが、PMI成功の鍵を握ります。M&Aは経営再建の強力なツールとなりえますが、その成功は綿密な準備と実行にかかっていると言えるでしょう。

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