事業売却はメリットばかりじゃない!デメリットも理解して後悔しない選択を
事業売却を検討しているあなた、メリットばかりに目を奪われていませんか? この記事では、事業売却のメリットだけでなく、見落としがちなデメリットやリスクについても詳しく解説します。資金調達や経営からの解放といったメリットの裏に潜む、売却価格への不満、従業員の雇用不安、顧客離れといったデメリットを理解することで、後悔のない決断を下すための材料を提供します。
M&A仲介会社の活用方法やデューデリジェンス、税金対策、弁護士・税理士など専門家への相談の重要性といった、事業売却の手順や注意点も網羅。事業の将来性や財務状況、そしてあなた自身の将来設計まで見据えた、包括的な情報で、事業売却という大きな決断をサポートします。この記事を読み終える頃には、事業売却の全体像を掴み、自身にとって最適な選択をするための準備が整っているでしょう。
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編集者の紹介
株式会社M&A PMI AGENT
代表取締役 日下部 興靖
上場企業のグループ会社の取締役を4社経験。M&A・PMI業務・経営再建などを10年経験。3か月の経営支援サポートで、9か月後には赤字の会社を1億円の利益を計上させるなどの実績を多数持つ専門家。
1. 事業売却のメリット
事業売却には、経営者にとって様々なメリットがあります。現状の課題解決や将来の展望実現に向けて、売却は戦略的な選択肢となり得ます。主なメリットは以下の通りです。
【関連】事業売却するM&Aを徹底解説!手続きから注意点、成功の秘訣まで1.1 資金調達による新たな挑戦
事業売却によって得られる資金は、新たな事業への投資や既存事業の拡大、研究開発費の確保など、多様な用途に活用できます。例えば、長年温めてきた新規事業の立ち上げに充てることで、更なる成長を目指せるでしょう。また、既存事業に最新の設備投資を行うことで、生産性向上や競争力強化を図ることも可能です。蓄積したノウハウや技術を活かしつつ、新たな市場に挑戦することで、企業の持続的な発展に繋げられます。
【関連】【M&A専門家解説】資金調達の方法・種類とは?|最適な選択肢を徹底解説1.2 経営からの解放と休息
長年の経営から解放され、休息を得られることも大きなメリットです。事業売却により、経営責任やプレッシャーから解放され、心身ともにリフレッシュすることができます。これまで事業に費やしてきた時間を、家族との時間や趣味、自己研鑽などに充てることができるようになります。また、新たな分野に挑戦する時間やエネルギーを得ることも可能です。第二の人生を充実させるための選択肢が広がります。
1.3 事業承継問題の解決
後継者不足に悩む企業にとって、事業売却は有効な解決策となります。適切な買い手を見つけることで、事業を円滑に承継し、従業員の雇用や顧客との関係を維持することが可能になります。後継者育成に時間や費用をかけることなく、スムーズな事業承継を実現できます。また、売却益を活用することで、経営者の引退後の生活資金を確保することも可能です。
1.4 リスク回避と早期撤退
市場環境の悪化や競争激化など、事業継続にリスクを感じた場合、早期に事業を売却することで損失を最小限に抑え、経営資源を他の事業に集中させることができます。撤退のタイミングを適切に見極めることで、将来的なリスクを回避し、企業価値を守ることができます。また、売却益を新たな事業への投資に回すことで、成長の機会を創出することも可能です。
メリット | 詳細 | 具体例 |
---|---|---|
資金調達 | 売却益を新たな事業展開や投資に活用 | 新規事業の立ち上げ、既存事業の設備投資、研究開発費の確保 |
経営からの解放 | 経営責任やプレッシャーからの解放、休息 | 家族との時間、趣味、自己研鑽、新たな分野への挑戦 |
事業承継問題の解決 | 後継者不足の解消、円滑な事業承継 | 従業員の雇用維持、顧客関係の維持、経営者の引退後の生活資金確保 |
リスク回避と早期撤退 | 市場環境悪化や競争激化による損失の最小化 | 経営資源の再配分、将来的なリスク回避、企業価値の維持 |
2. 事業売却のデメリット
事業売却はメリットばかりではありません。売却によって発生するデメリットを理解せずに進めると、後々後悔する可能性があります。売却前にデメリットをしっかりと把握し、対策を講じることで、よりスムーズで納得のいく売却を実現できるでしょう。
2.1 売却価格への不満
売却価格は、事業の価値や市場の状況、買い手のニーズなど様々な要因によって決定されます。そのため、売却希望額と実際の売却価格に乖離が生じ、売却価格に不満を抱くケースは少なくありません。特に、思い入れの強い事業や長年経営してきた事業の場合、感情的な価値と市場価値のギャップが大きくなりやすい傾向があります。
2.1.1 価格交渉の難しさ買い手との価格交渉は、事業売却において重要なプロセスです。しかし、交渉が難航し、希望価格での売却が実現しない場合もあります。市場の動向や競合他社の存在、買い手の財務状況など、様々な要素が価格交渉に影響を及ぼします。綿密な市場調査や専門家との相談を通じて、適切な価格設定と交渉戦略を立てることが重要です。
2.2 従業員の雇用不安
事業売却は、従業員の雇用に影響を与える可能性があります。事業の縮小や統廃合、経営方針の変更などにより、従業員の解雇や雇用条件の悪化が生じる可能性があります。従業員の雇用不安は、企業の士気低下や生産性低下につながる可能性があるため、売却前に従業員への丁寧な説明や適切な対応が求められます。
【関連】【M&A専門家解説】資金調達の方法・種類とは?|最適な選択肢を徹底解説2.2.1 退職金の支払い
事業売却に伴い、従業員の退職が発生した場合、退職金の支払いが発生します。退職金の金額は、従業員の勤続年数や役職、会社の規定などによって異なります。売却前に退職金の見積もりを行い、資金計画に組み込むことが重要です。
2.3 顧客離れの懸念
事業売却は、顧客離れのリスクを伴います。経営者の交代や事業内容の変更、サービス品質の低下などにより、既存の顧客が離れてしまう可能性があります。顧客離れは、売却後の事業の収益性に大きな影響を与えるため、顧客維持のための対策を講じる必要があります。例えば、売却後も一定期間は既存の経営陣が事業に関与する、顧客への丁寧な説明と継続的なサポートを提供するなどが挙げられます。
2.3.1 ブランドイメージの毀損事業売却は、企業のブランドイメージに影響を与える可能性があります。売却先企業の評判や事業内容によっては、ブランドイメージが毀損されるリスクがあります。売却前に、売却先企業の調査やブランドイメージへの影響を慎重に検討する必要があります。
2.4 事業への愛着との葛藤
長年経営してきた事業を手放すことは、経営者にとって大きな決断です。事業への愛着や思い入れが強いほど、売却に葛藤が生じやすい傾向があります。売却のメリット・デメリットを客観的に評価し、感情的な側面だけでなく、事業の将来性や自身のライフプランなども考慮した上で、冷静な判断をすることが重要です。
2.4.1 経営からの解放と新たな挑戦への葛藤メリット | デメリット |
---|---|
経営からの解放による自由な時間の確保 | 事業への関与が無くなることによる喪失感 |
新たな事業への挑戦 | 過去の成功体験への固執 |
事業売却は、経営からの解放と新たな挑戦の機会をもたらします。しかし、長年経営してきた事業から離れることに寂しさや不安を感じる経営者も少なくありません。過去の成功体験への固執や新たな挑戦への不安など、心理的な葛藤が生じる可能性があります。自身の気持ちと向き合い、将来のビジョンを明確にすることが重要です。
3. 事業売却の手順
事業売却は複雑なプロセスであり、適切な手順を踏むことが重要です。売却活動がスムーズに進み、希望通りの結果を得るために、以下のステップを理解しておきましょう。
【関連】事業売却の方法・手順を徹底解説!スムーズな売却を実現するためのステップ3.1 事業価値の算定
事業売却の最初のステップは、自社の事業価値を正確に把握することです。事業価値は、将来の収益性、市場シェア、ブランド力、顧客基盤、知的財産、経営陣の能力など、様々な要素によって決定されます。適切な評価方法を選択し、客観的な評価を行うことが重要です。
代表的な事業価値算定方法には、以下のものがあります。
算定方法 | 概要 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
DCF法(割引キャッシュフロー法) | 将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いて算出 | 将来収益性を重視した評価が可能 | 将来予測の精度に依存する |
類似会社比較法 | 類似上場企業の市場価値を参考に算出 | 客観的な評価が可能 | 完全に一致する類似企業を見つけるのが難しい |
純資産法 | 資産から負債を差し引いた純資産をベースに算出 | 計算が容易 | 将来収益性を反映しにくい |
これらの方法を単独で用いるのではなく、複数の手法を組み合わせて総合的に判断することが一般的です。また、M&Aアドバイザーなどの専門家に相談することで、より精緻な評価を行うことができます。
【関連】M&AにおけるEBITDAとは?企業価値算定を理解する3.2 売却先の選定(M&A仲介会社活用など)
事業価値が算定できたら、次は売却先を選定します。売却先候補には、同業他社、異業種企業、投資ファンド、MBO(経営陣による買収)などがあります。それぞれのメリット・デメリットを比較検討し、自社の事業にとって最適な相手を選ぶことが重要です。M&A仲介会社を活用することで、適切な売却先候補の紹介や交渉サポートを受けることができます。
【関連】事業売却のアドバイザー費用・手数料を徹底比較!最適な専門家を見つける3.2.1 M&A仲介会社の活用
M&A仲介会社は、売却先の探索、バリュエーション、交渉、デューデリジェンス、契約締結まで、事業売却のプロセス全体をサポートします。仲介会社には、大手証券会社系、独立系、ブティック型など様々なタイプがあり、それぞれ得意分野や専門性が異なります。自社の事業規模や業種、売却希望条件に合った仲介会社を選ぶことが重要です。日本M&Aセンター、ストライク、レコフなどは、実績豊富なM&A仲介会社として知られています。
3.2.2 売却先選定のポイント売却先選定の際には、以下のポイントを考慮しましょう。
買収価格 | 提示価格だけでなく、支払い方法や条件も確認 |
---|---|
事業戦略 | 買収後の事業計画やシナジー効果 |
企業文化 | 自社との相性や従業員の処遇 |
財務状況 | 買収資金の調達力や健全性 |
経営陣 | 経営理念や手腕 |
3.3 デューデリジェンスと交渉
売却先候補が絞り込まれたら、デューデリジェンス(買収監査)を実施します。デューデリジェンスでは、買収側が売却側の事業内容、財務状況、法務状況などを詳細に調査し、リスクを評価します。売却側としては、必要な情報を正確かつ迅速に提供することが求められます。デューデリジェンスの結果を踏まえ、最終的な売却価格や契約条件を交渉します。この段階では、弁護士や会計士などの専門家のサポートが不可欠です。
3.3.1 デューデリジェンスの種類デューデリジェンスには、財務デューデリジェンス、法務デューデリジェンス、事業デューデリジェンス、税務デューデリジェンスなど、様々な種類があります。
【関連】M&Aで失敗しないデューデリジェンス!目的・種類・費用は?【前編】3.3.2 交渉におけるポイント
交渉では、自社の主張を明確に伝えつつ、相手側の意見にも耳を傾け、Win-Winの関係を築くことが重要です。また、契約内容の細部まで確認し、将来のトラブルを未然に防ぐよう努めましょう。
3.4 契約締結と事業譲渡
交渉が成立したら、最終的な契約を締結します。契約書には、売却価格、支払い方法、事業譲渡日、従業員の処遇、秘密保持義務など、重要な事項が記載されます。契約内容を慎重に確認し、不明点があれば専門家に相談しましょう。契約締結後、事業譲渡の手続きを行い、正式に事業が買収側に移転します。事業譲渡後も、一定期間は、売却側が買収側に対して事業運営のサポートを行う場合があります。
事業売却は、経営者にとって大きな決断です。それぞれのステップで慎重に進めることで、成功の可能性を高めることができます。
4. 事業売却における注意点
事業売却は、企業の将来を左右する重要な決断です。成功させるためには、綿密な準備と適切な手続きが不可欠です。売却プロセスで発生する可能性のある問題を事前に理解し、適切な対策を講じることで、売却後のトラブルを回避し、スムーズな事業譲渡を実現できます。ここでは、事業売却における注意点を詳しく解説します。
4.1 税金対策の重要性
事業売却によって生じる売却益には、税金がかかります。譲渡所得税や法人税など、売却形態や事業の形態によって税率や控除額が異なります。事前に税理士に相談し、適切な節税対策を講じることで、税負担を軽減することが可能です。例えば、株式譲渡か事業譲渡かによって税負担が大きく変わる可能性があります。また、事業年度の変更や、特定の資産の売却時期を調整するなどの対策も有効です。
【関連】会社売却における税金対策|中小企業のM&Aで注意するポイントとは?4.1.1 譲渡所得の計算方法
譲渡所得は、「譲渡収入金額 - 取得費 - 譲渡費用」で計算されます。取得費とは、事業を取得するためにかかった費用であり、譲渡費用とは、事業を譲渡するためにかかった費用です。これらの費用を正確に把握し、計算することで、税負担を最小限に抑えることができます。
4.1.2 税務申告の注意点事業売却に伴う税務申告は複雑な手続きが必要となる場合があります。期限内に正確な申告を行うことが重要です。税理士などの専門家のサポートを受けることで、申告漏れや誤りを防ぎ、ペナルティを回避することができます。
4.2 秘密保持契約の締結
事業売却の交渉段階では、企業の財務情報や顧客情報など、機密性の高い情報が共有されます。これらの情報が外部に漏洩すると、企業の競争力に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、売却交渉を開始する前に、相手方と秘密保持契約(NDA)を締結することが不可欠です。NDAには、守秘情報の範囲、情報の取り扱い方法、違反した場合の罰則などを明確に記載する必要があります。
4.2.1 NDAの必須項目守秘情報の定義 | |
情報の利用目的の制限 | |
情報の開示制限 | |
契約期間 | |
違反時の罰則 |
4.3 従業員への適切な説明
事業売却は、従業員の雇用にも大きな影響を与えます。売却後に雇用が維持されるか、賃金や労働条件が変更されるかなど、従業員の不安を取り除くために、売却の決定とその影響について、適切な時期に誠実な説明を行うことが重要です。丁寧な説明は、従業員のモチベーション維持や、優秀な人材の流出防止につながります。
【関連】M&Aを従業員に公表するタイミング|説明する内容と最適な時期とは?4.3.1 説明会の実施
事業売却に関する説明会を開催し、従業員からの質問に直接答える機会を設けることが重要です。売却後の雇用に関する不安や疑問に真摯に対応することで、従業員の理解と協力を得ることができます。
4.4 専門家(弁護士、税理士など)への相談
事業売却は、法務、税務、財務など、専門的な知識が必要となる複雑なプロセスです。弁護士、税理士、M&Aアドバイザーなどの専門家に相談することで、法的なリスクを回避し、最適な売却戦略を策定することができます。専門家のサポートは、売却価格の最大化や、スムーズな事業譲渡を実現するために不可欠です。
専門家 | 役割 |
---|---|
弁護士 | 契約書の作成・レビュー、法務デューデリジェンス、法的リスクの評価 |
税理士 | 税務デューデリジェンス、税務申告、節税対策 |
M&Aアドバイザー | 売却先の選定、価格交渉、デューデリジェンス支援、契約締結支援 |
これらの専門家は、それぞれの分野で高度な知識と経験を有しています。事業売却の各段階で適切なアドバイスを受けることで、売却プロセスを円滑に進めることができます。特に、M&Aアドバイザーは、売却戦略の立案から実行まで、包括的なサポートを提供します。適切な専門家チームを組むことで、事業売却を成功に導くことができます。
5. 事業売却のメリット・デメリットを比較検討
事業売却は、経営者の人生における大きな転換点となる決断です。メリットとデメリットを多角的に比較検討し、将来のビジョンと照らし合わせながら、後悔のない選択をすることが重要です。ここでは、財務状況、経営者自身の将来設計、事業の将来性という3つの観点から、メリット・デメリットを比較検討します。
5.1 財務状況への影響
事業売却は、一時的に大きな資金流入をもたらしますが、売却益への課税や将来的な収入源の喪失を考慮しなければなりません。また、売却価格が期待値を下回った場合、財務状況が悪化する可能性もあります。
項目 | メリット | デメリット |
---|---|---|
資金調達 | まとまった資金を獲得できるため、新規事業への投資や負債の返済が可能になる。 | 売却益に対する税金が発生する。売却価格が低ければ、財務状況が改善しない可能性もある。 |
キャッシュフロー | 事業運営から解放されるため、安定したキャッシュフローを確保できる可能性がある。 | 売却後の収入源がなくなるため、長期的なキャッシュフローを計画的に確保する必要がある。 |
資産価値 | 事業を売却することで、潜在的な資産価値を現金化できる。 | 売却価格が事業の将来的な価値を下回る可能性もある。 |
売却益の使い道は、個々の状況によって異なります。投資、負債返済、資産運用、あるいは新たな事業への投資など、多様な選択肢があります。資金の使い道を明確にすることで、売却後の財務計画を立てやすくなります。
5.2 経営者自身の将来設計
事業売却は、経営者自身のキャリアプランにも大きな影響を与えます。経営からの解放は、新たな挑戦への機会となる一方、これまでのアイデンティティの喪失や社会との繋がりの希薄化といった心理的な影響も考慮する必要があります。
項目 | メリット | デメリット |
---|---|---|
時間的自由 | 事業運営から解放され、自由に使える時間が増える。 | 目標を見失い、喪失感や虚無感に襲われる可能性がある。 |
新たな挑戦 | 新たな事業への挑戦や、趣味、ボランティア活動など、人生の選択肢が広がる。 | これまでの事業への愛着から、売却後に後悔する可能性もある。 |
心身の健康 | 経営のプレッシャーから解放され、心身の健康を取り戻せる可能性がある。 | 社会との繋がりが希薄化し、孤独感を感じる可能性もある。 |
事業売却後のセカンドライフを充実させるためには、明確なビジョンを持つことが重要です。趣味、旅行、ボランティア、あるいは新たな事業など、自身の価値観に合った活動を見つけることが、人生の満足度を高めることに繋がります。
5.3 事業の将来性
事業売却は、事業そのものの将来性にも影響を及ぼします。新たな経営体制下での成長が見込める一方、企業文化の変化や従業員のモチベーション低下といったリスクも存在します。売却後の事業の成長を促すためには、適切な引継ぎと従業員への配慮が不可欠です。
項目 | メリット | デメリット |
---|---|---|
成長性 | 新たな経営資源の投入により、事業の成長が加速する可能性がある。 | 買収後の経営方針変更により、事業の成長が阻害される可能性もある。 |
ブランド価値 | 大手企業に買収されることで、ブランド価値が向上する可能性がある。 | 買収後のブランド戦略変更により、ブランドイメージが損なわれる可能性もある。 |
雇用維持 | 事業継続により、従業員の雇用が維持される可能性が高まる。 | 買収後のリストラ等により、従業員の雇用が不安定になる可能性もある。 |
事業売却は、事業の継続性を確保するための手段の一つでもあります。後継者不足や経営難に直面している場合、事業売却は最善の選択肢となる可能性があります。ただし、売却先企業の経営方針や事業戦略を慎重に検討し、事業の将来性を担保する必要があります。
6. まとめ
事業売却は、資金調達や経営からの解放といったメリットがある一方で、売却価格への不満や従業員の雇用不安といったデメリットも存在します。最終的な決断を下す前に、メリットとデメリットを比較検討し、自身にとって最適な選択をすることが重要です。事業の財務状況への影響、経営者自身の将来設計、そして事業の将来性といった観点を総合的に判断する必要があります。
例えば、財務状況が逼迫している場合、資金調達を目的とした事業売却は有効な手段となり得ます。しかし、事業の将来性が promising な場合、売却によって将来の利益を逃す可能性も考慮すべきです。また、経営者自身の年齢や今後のキャリアプランも重要な要素です。
事業への愛着が強い場合、売却後の喪失感や後悔に繋がる可能性もあるため、慎重な判断が必要です。事業売却は、経営者の人生における大きな転換期となる可能性があります。専門家である弁護士や税理士に相談し、多角的な視点を取り入れることで、後悔のない選択に繋がるでしょう。