事業売却の方法・手順を徹底解説!スムーズな売却を実現するためのステップ
事業売却を検討しているが、具体的な方法や手順が分からず不安を感じていませんか? 本記事では、事業売却の基礎知識から、売却の手順、成功させるためのポイント、法律・税務上の注意点、そして実際の成功事例まで、分かりやすく徹底解説します。この記事を読むことで、事業売却の基本的な流れを理解し、スムーズな売却を実現するためのステップを把握できます。
売却価格の算定方法や、適切なアドバイザーの選び方、デューデリジェンスへの対応、さらにはM&Aとの違いなど、事業売却に関する疑問を解消し、成功へと導くための具体的なノウハウを学ぶことができます。事業を次のステージへと進めるための第一歩として、ぜひ本記事を活用してください。
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編集者の紹介
株式会社M&A PMI AGENT
代表取締役 日下部 興靖
上場企業のグループ会社の取締役を4社経験。M&A・PMI業務・経営再建などを10年経験。3か月の経営支援サポートで、9か月後には赤字の会社を1億円の利益を計上させるなどの実績を多数持つ専門家。
- 目次
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1. 事業売却の基礎知識
1.1 事業売却とは
1.2 事業売却のメリット・デメリット
1.3 事業売却の種類
1.4 M&Aとの違い
2. 事業売却の手順
2.1 ステップ1 準備段階
2.2 ステップ2 売却先の選定
2.3 ステップ3 交渉・契約
2.4 ステップ4 事業の引継ぎ
3. 事業売却を成功させるためのポイント
3.1 適切なアドバイザー選び
3.2 事業価値の向上
3.3 スムーズな交渉術
3.4 秘密保持の徹底
4. 事業売却の方法・手順に関する法律・税務
4.1 事業売却に関連する法律
4.2 税務上の注意点
4.3 専門家への相談
5. 事業売却の成功事例
5.1 事例1 食品メーカー「Y製パン」の事業売却
5.2 事例2 IT企業「SA社」の子会社売却
5.3 事業規模別の成功事例比較
6. まとめ
1. 事業売却の基礎知識
事業売却は、経営者にとって大きな転換期となる重要な決断です。事業を売却するということは、長年培ってきた事業や従業員、顧客との関係性を新たな所有者に託すことを意味します。そのため、事業売却の全体像を把握し、適切な準備と手続きを進めることが不可欠です。この章では、事業売却の基礎知識について詳しく解説します。
【関連】事業売却するM&Aを徹底解説!手続きから注意点、成功の秘訣まで1.1 事業売却とは
事業売却とは、企業が保有する事業の全部または一部を、他の企業または個人に売却することを指します。売却対象となる事業は、特定の製品やサービスを提供する事業部門、工場や店舗などの資産、顧客リスト、知的財産権など多岐にわたります。事業売却は、経営戦略の一環として行われることが多く、企業の成長や事業再編、後継者不足の解消などを目的として実施されます。
1.2 事業売却のメリット・デメリット
事業売却には、メリットとデメリットの両面があります。売却を検討する際には、それぞれのメリット・デメリットを十分に理解し、自社の状況に照らし合わせて判断することが重要です。
1.2.1 メリット
- 資金調達:事業売却によって得られた資金は、新たな事業への投資や負債の返済などに活用できます。
- 事業の選択と集中:不採算事業や非中核事業を売却することで、経営資源を成長事業に集中させることができます。
- 後継者問題の解決:後継者が見つからない場合、事業売却によって事業の継続性を確保することができます。
- リスクの軽減:市場環境の変化や競争激化によるリスクを軽減することができます。
- 経営者の負担軽減:事業売却によって、経営者の負担を軽減することができます。
1.2.2 デメリット
- 従業員への影響:事業売却は、従業員の雇用や待遇に影響を与える可能性があります。
- 顧客の離反:事業売却によって、既存顧客が離反する可能性があります。
- 企業文化の変化:事業売却によって、企業文化が変化する可能性があります。
- 売却価格の妥当性:適切な売却価格を設定することは難しく、相場よりも低い価格で売却してしまう可能性があります。
- 売却交渉の難航:売却交渉が難航し、時間を要する可能性があります。
1.3 事業売却の種類
事業売却には、主に株式譲渡と事業譲渡の2種類があります。それぞれの特徴を理解し、自社にとって最適な方法を選択することが重要です。
1.3.1 株式譲渡
株式譲渡とは、会社の株式を売却することで、会社全体の所有権を移転する方法です。譲渡手続きが比較的簡便であり、譲渡所得の課税が有利であるというメリットがあります。一方で、会社の負債も引き継ぐことになるため、潜在的なリスクも考慮する必要があります。例えば、簿外債務や偶発債務などが存在した場合、買主はそれらの債務も引き受けることになります。
1.3.2 事業譲渡
事業譲渡とは、会社が保有する事業の一部または全部を、他の会社に譲渡する方法です。譲渡対象となる事業を特定し、その事業に関する資産、負債、契約、従業員などを個別に譲渡します。株式譲渡に比べて手続きは複雑ですが、譲渡対象を限定できるため、リスクをコントロールしやすいというメリットがあります。例えば、特定の事業部門のみを売却する場合、他の事業部門への影響を最小限に抑えることができます。
【関連】株式譲渡と事業譲渡の違いとは?|目的とメリット・デメリットを徹底解説1.4 M&Aとの違い
M&A(Mergers and Acquisitions)は、企業の合併と買収の総称です。事業売却はM&Aの一形態であり、広義のM&Aに含まれます。M&Aには、事業売却以外にも、合併、株式交換、会社分割など様々な手法があります。以下の表に、M&Aと事業売却の違いをまとめました。
項目 | M&A | 事業売却 |
---|---|---|
定義 | 企業の合併と買収の総称 | 企業が保有する事業の全部または一部を他の企業または個人に売却すること |
範囲 | 合併、買収、事業売却、株式交換、会社分割など | M&Aの一形態 |
目的 | 企業の成長、事業再編、シナジー効果の創出など | 資金調達、事業の選択と集中、後継者問題の解決など |
M&Aは、企業戦略における重要な選択肢の一つであり、事業売却はその中でも特定の目的を達成するための手段として位置づけられます。M&A全体を理解することで、事業売却の意義や役割をより深く理解することができます。
2. 事業売却の手順
事業売却は複雑なプロセスであり、綿密な計画と実行が必要です。売却を成功させるためには、以下の手順を踏むことが重要です。
2.1 ステップ1 準備段階
売却活動を開始する前に、事業の現状を把握し、売却に向けた準備を整える必要があります。
【関連】M&A譲渡の準備内容とは?スケジュールと成功のためのポイントを徹底解説!2.1.1 事業の棚卸し
自社の強みと弱み、競争優位性、市場におけるポジションなどを客観的に分析します。SWOT分析などを活用すると効果的です。事業計画、財務諸表、顧客リスト、契約書など、事業に関するあらゆる情報を整理し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けましょう。知的財産権の有無や有効期限も確認しておきましょう。
2.1.2 財務状況の整理
過去3~5年分の財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)を整備し、正確な財務状況を把握します。過去の業績推移を明確にするだけでなく、将来の収益予測も重要です。税理士や公認会計士などの専門家と連携し、財務デューデリジェンスに備えましょう。不良債権や簿外債務の有無も確認し、必要に応じて対策を講じます。
2.1.3 売却価格の算定
事業の価値を適切に評価し、売却価格を算定します。DCF法、類似会社比較法、純資産法など、複数の評価方法を検討し、市場環境や事業の特性を考慮して現実的な価格を設定することが重要です。売却価格だけでなく、希望する支払い方法(現金、株式交換など)や支払い時期についても検討しましょう。M&Aアドバイザーに相談することで、より客観的な評価を得ることができます。
2.2 ステップ2 売却先の選定
事業の成長や従業員の雇用継続を考慮し、最適な売却先を選定します。
【関連】会社売却で買い手を見分ける方法|中小企業のM&A成功の虎の巻2.2.1 仲介業者への依頼
M&Aアドバイザーや事業承継専門の仲介業者に依頼することで、売却先の探索、交渉、契約締結など、専門的なサポートを受けることができます。複数の業者から提案を受け、手数料や実績、専門性などを比較検討し、最適な業者を選びましょう。秘密保持契約を締結し、情報の漏洩を防ぐことも重要です。
2.2.2 候補先の選定基準
事業とのシナジー効果、財務状況、経営理念、企業文化など、様々な観点から候補先を評価します。事業の将来性や従業員の雇用継続を重視するのか、売却価格を優先するのかなど、自社の優先順位を明確にして選定基準を定めましょう。候補先の企業規模や業種、所在地なども考慮する必要があります。
2.2.3 デューデリジェンスへの対応
買収候補先によるデューデリジェンス(企業調査)に適切に対応します。財務、法務、事業、人事など、多岐にわたる調査が行われるため、事前に必要な情報を整理し、スムーズな調査を促すことが重要です。正確かつ迅速な情報提供が、売却交渉の成功につながります。秘密保持契約に基づき、情報管理を徹底しましょう。
2.3 ステップ3 交渉・契約
売却条件を交渉し、最終的な契約を締結します。
【関連】意向表明書(LOI)と基本合意契約書(MOU)の違いをわかりやすく解説!重要条項・確認ポイントも2.3.1 基本合意書締結
売却価格、支払い方法、事業の引継ぎ方法など、主要な条件について合意し、基本合意書を締結します。独占交渉権の付与や、契約破棄の場合の違約金についても定めておきます。弁護士などの専門家の助言を受け、法的リスクを最小限に抑えましょう。
2.3.2 最終契約締結
デューデリジェンスの結果を踏まえ、最終的な売却条件を確定し、最終契約書を締結します。契約書には、事業譲渡契約書や株式譲渡契約書など、売却形態に応じた適切な契約書を用います。契約内容を詳細に確認し、不明点があれば専門家に相談しましょう。
2.4 ステップ4 事業の引継ぎ
契約締結後、円滑な事業の引継ぎを行います。
2.4.1 従業員への説明
事業売却の経緯と今後の展望について、従業員に丁寧に説明します。雇用条件の変更や異動の可能性など、従業員の不安を解消するために、誠実な対応が求められます。従業員代表との面談や説明会などを開催し、理解と協力を得るよう努めましょう。
2.4.2 取引先への通知
事業売却に伴う取引先の変更手続きや契約の移管について、取引先に速やかに通知します。取引先との良好な関係を維持するために、丁寧な説明と対応を心がけましょう。売却後の取引条件の変更などについても、事前に協議しておくことが重要です。
2.4.3 事業運営の引継ぎ
事業計画、顧客情報、ノウハウ、システムなど、事業運営に必要な情報を買収側に引き継ぎます。一定期間の移行期間を設け、従業員への研修やサポートを行うことで、スムーズな事業運営の引継ぎを実現します。引継ぎマニュアルの作成や、担当者間の綿密な連携も重要です。
これらの手順を踏むことで、事業売却をスムーズに進め、成功に導くことができます。ただし、事業売却は複雑なプロセスであるため、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることが重要です。
3. 事業売却を成功させるためのポイント
事業売却を成功させるためには、綿密な準備と戦略的な行動が不可欠です。売却価格の最大化、円滑な取引の実現、そして売却後のリスク軽減といった観点から、特に重要なポイントを以下にまとめました。
3.1 適切なアドバイザー選び
事業売却は複雑なプロセスであり、専門的な知識と経験が求められます。M&Aアドバイザー、弁護士、税理士、公認会計士など、適切な専門家チームを組成することで、売却プロセスをスムーズに進め、最適な結果を得られる可能性が高まります。アドバイザー選びのポイントは、実績、専門性、そして自分との相性です。複数のアドバイザーに相談し、比較検討することが重要です。
3.1.1 アドバイザー選定のポイント
- 実績:過去のM&A成約実績や、得意とする業界・規模などを確認しましょう。
- 専門性:事業売却に関する法律、税務、財務などの専門知識を有しているかを確認しましょう。
- 相性:信頼関係を築けるか、コミュニケーションがスムーズに取れるかを確認しましょう。
3.2 事業価値の向上
事業売却において、高い売却価格を実現するためには、事業価値の向上が不可欠です。財務状況の改善、収益性の向上、競争力の強化など、売却前にできる限りの対策を講じましょう。以下のポイントを参考に、事業価値を高めるための取り組みを進めてください。
3.2.1 事業価値向上のためのポイント
項目 | 具体的な取り組み |
---|---|
財務状況の改善 | 不良債権の処理、過剰在庫の削減、キャッシュフローの改善など |
収益性の向上 | 売上増加施策の実施、コスト削減、新規事業の開発など |
競争力の強化 | 技術開発、知的財産権の取得、ブランド力の強化など |
3.3 スムーズな交渉術
売却先との交渉は、事業売却プロセスにおいて重要な局面です。自社の強みと弱みを正確に把握し、売却条件を明確に提示することで、有利な条件で交渉を進めることができます。また、相手方のニーズや意向を理解し、柔軟な対応を心がけることも重要です。誠実かつ戦略的な交渉によって、双方にとって納得のいく合意を目指しましょう。文化の違いや商習慣の違いにも配慮が必要です。
3.3.1 交渉における注意点
売却条件の優先順位を明確にする | |
相手方のニーズを理解する | |
WIN-WINの関係を構築する | |
感情的にならず、冷静に交渉を進める |
3.4 秘密保持の徹底
事業売却の情報が外部に漏洩すると、従業員の動揺や顧客の離反、競合他社による妨害など、様々なリスクが生じる可能性があります。秘密保持契約(NDA)の締結、情報管理体制の構築など、徹底した情報管理を行うことが重要です。特に、従業員への情報伝達は慎重に行い、必要最低限の情報のみを共有するようにしましょう。社内規定の見直しや、情報セキュリティ教育の実施も有効です。
3.4.1 秘密保持のための対策
秘密保持契約(NDA)の締結 | |
情報アクセス制限の設定 | |
データの暗号化 | |
従業員への情報セキュリティ教育 |
4. 事業売却の方法・手順に関する法律・税務
事業売却は、経営上の大きな転換点であり、様々な法律や税務に関わる手続きが必要となります。適切な知識と準備なしに進めると、思わぬトラブルや損失につながる可能性があります。この章では、事業売却に関連する法律・税務について詳しく解説し、スムーズかつ安全な売却を実現するためのポイントを説明します。
【関連】事業売却の手法を徹底解説!M&A・株式譲渡・事業譲渡の違いと最適な選び方4.1 事業売却に関連する法律
事業売却に関連する主な法律としては、会社法、金融商品取引法、独占禁止法、不正競争防止法などが挙げられます。売却の種類や規模、事業内容によっては、その他の法律も関わってくる可能性があります。それぞれの法律について、概要と事業売却における注意点を見ていきましょう。
4.1.1 会社法
株式譲渡による事業売却の場合、会社法に基づいた手続きが必要となります。株主総会の承認が必要となるケースもあり、定款の規定を確認しておくことが重要です。また、事業譲渡の場合も、会社法上の債権者保護手続きが必要となる場合があります。
4.1.2 金融商品取引法
上場企業の株式を売却する場合、金融商品取引法の規制対象となる可能性があります。特に、大量保有報告書やインサイダー取引規制などには注意が必要です。未公開株であっても、一定の条件を満たすと金融商品取引法の規制対象となる場合があります。
4.1.3 独占禁止法
事業売却によって市場における競争が制限される場合、独占禁止法の適用を受ける可能性があります。公正取引委員会への届出が必要となるケースもあり、事前に確認が必要です。
4.1.4 不正競争防止法
事業売却に伴い、営業秘密やノウハウなどの情報が漏洩するリスクがあります。不正競争防止法に基づき、適切な情報管理と秘密保持契約の締結を行うことが重要です。
4.2 税務上の注意点
事業売却には、法人税、所得税、消費税など、様々な税金が関わってきます。売却益に対する課税や、譲渡所得の計算方法など、複雑な規定を理解しておく必要があります。
税金の種類 | 内容 | 注意点 |
---|---|---|
法人税 | 事業譲渡益や株式譲渡益に対して課税されます。 | 税率や控除の適用など、事前に確認が必要です。 |
所得税 | 株式譲渡による売却益は、譲渡所得として課税されます。 | 保有期間によって税率が異なります。 |
消費税 | 事業譲渡の場合、消費税の課税対象となる取引があります。 | 課税対象となる取引と非課税取引を正確に把握する必要があります。 |
4.2.1 税務対策
事業売却前に適切な税務対策を行うことで、税負担を軽減できる可能性があります。例えば、繰越欠損金の活用や、組織再編などを検討することができます。ただし、税務対策は専門家のアドバイスを受けながら慎重に行う必要があります。
4.3 専門家への相談
事業売却は、法律や税務の専門知識が必要となる複雑なプロセスです。弁護士、税理士、M&Aアドバイザーなどの専門家に相談することで、スムーズかつ安全な売却を実現することができます。専門家は、法的な手続きや税務申告のサポートだけでなく、売却価格の交渉や契約書の確認など、幅広いサポートを提供してくれます。早めの相談が、成功への鍵となります。
特に、M&Aアドバイザーは、事業売却のプロフェッショナルとして、売却先の選定から交渉、契約締結、事業引継ぎまで、全面的にサポートしてくれます。M&Aアドバイザーの選定基準としては、実績や専門性、費用などを考慮することが重要です。複数のアドバイザーから提案を受け、比較検討することをおすすめします。
5. 事業売却の成功事例
事業売却を成功させた事例をいくつかご紹介することで、具体的なイメージを持っていただき、売却プロセスにおけるポイントや成功要因を理解する一助とします。業種や規模、売却理由は様々ですが、いずれも綿密な準備と適切な戦略によって成功を収めています。
5.1 事例1 食品メーカー「Y製パン」の事業売却
Y製パンは、経営資源の集中を図るため、傘下の飲料事業をS食品インターナショナルに売却しました。長年培ってきたブランド力と安定した収益基盤を高く評価され、好条件での売却を実現しました。
5.1.1 売却の背景と目的
Y製パンは、主力である製パン事業への投資を強化するため、非中核事業である飲料事業の売却を決定しました。売却によって得た資金を、新製品開発や生産設備の増強に充てることで、競争力の強化を図ることが目的でした。
5.1.2 成功要因
明確な売却戦略 | 売却目的と目標価格を明確に設定し、それに基づいた交渉を行いました。 |
---|---|
デューデリジェンスへの丁寧な対応 | 財務状況や事業内容に関する詳細な情報を提供することで、買い手企業の信頼を獲得しました。 |
従業員への配慮 | 売却後の従業員の処遇について、買い手企業と事前に協議し、不安の解消に努めました。 |
5.1.3 結果
高値での売却に成功し、売却益を製パン事業の強化に投資することができました。また、飲料事業はS食品インターナショナルの傘下で更なる成長を遂げており、双方にとってWin-Winの取引となりました。
5.2 事例2 IT企業「SA社」の子会社売却
SA社は、グループ全体の経営効率化を図るため、ゲーム開発子会社をグリーに売却しました。高い技術力と成長性を持つ子会社であったため、複数の企業から買収提案を受け、競争入札の結果、高値での売却を実現しました。
5.2.1 売却の背景と目的
SA社は、中核事業であるインターネット広告事業への経営資源集中を図るため、子会社整理の一環としてゲーム開発子会社の売却を決定しました。売却益は、新規事業への投資や既存事業の拡大に活用することを目的としていました。
5.2.2 成功要因
市場環境の分析 | ゲーム業界の動向や競合他社の状況を綿密に分析し、最適な売却時期を判断しました。 |
---|---|
競争入札の実施 | 複数の買い手候補に競争させることで、売却価格の最大化を図りました。 |
迅速な意思決定 | 売却プロセスを迅速に進めることで、市場環境の変化によるリスクを最小限に抑えました。 |
5.2.3 結果
期待以上の高値で売却することに成功し、得られた資金を新規事業の立ち上げに投資することができました。また、売却された子会社はグリーの傘下で新たな成長ステージへと進み、更なる発展を遂げています。
5.3 事業規模別の成功事例比較
項目 | Y製パン | SA社 |
---|---|---|
事業規模 | 大規模 | 中規模 |
売却理由 | 非中核事業への経営資源集中 | グループ全体の経営効率化 |
売却方法 | 個別交渉 | 競争入札 |
成功要因 | 明確な売却戦略、デューデリジェンスへの丁寧な対応、従業員への配慮 | 市場環境の分析、競争入札の実施、迅速な意思決定 |
上記のように、事業売却の成功事例は企業の規模や状況によって様々です。自社の状況に合った適切な戦略を策定することが、事業売却を成功させるための鍵となります。これらの事例を参考に、事業売却を検討する際の指針としていただければ幸いです。
6. まとめ
事業売却は、経営者にとって大きな決断です。この記事では、事業売却の方法・手順を、準備段階から事業の引継ぎまで、ステップごとに詳しく解説しました。事業売却を成功させるためには、事前の準備が重要です。事業の棚卸しや財務状況の整理、適切な売却価格の算定など、綿密な計画を立てる必要があります。また、売却先の選定も重要なポイントです。仲介業者を活用し、候補先の選定基準を明確にすることで、最適な相手を見つけましょう。デューデリジェンスへの対応もスムーズに進める必要があります。
交渉・契約段階では、基本合意書、最終契約書の内容をしっかりと確認し、不利な条件にならないよう注意が必要です。事業の引継ぎにおいては、従業員や取引先への丁寧な説明、円滑な事業運営の引継ぎが重要です。事業売却を成功させるためには、適切なアドバイザー選び、事業価値の向上、スムーズな交渉術、秘密保持の徹底など、様々な要素が絡み合います。この記事で紹介したポイントを参考に、万全の準備を整え、スムーズな事業売却を実現しましょう。事業売却に関する法律や税務についても理解を深め、必要に応じて専門家へ相談することも重要です。成功事例を参考に、自社に最適な方法を選択しましょう。