会社売却のアドバイザーを中小企業が選ぶべき基準とは?M&A成功の虎の巻
会社売却を検討している中小企業の経営者様、M&Aを成功させたいけれど、どのアドバイザーを選べば良いか迷っていませんか? 本記事では、会社売却アドバイザー選びの重要性から、M&A仲介会社、事業承継士、会計事務所、税理士法人、弁護士など、様々なアドバイザーの種類と特徴、そして比較検討すべきポイント、失敗しないための注意点までを網羅的に解説します。
この記事を読むことで、貴社にとって最適なアドバイザーを見つけるための基準が分かり、M&A成功の可能性を高めるための具体的な手順を理解することができます。結果として、安心して会社売却を進め、事業の将来を適切に託すことができるでしょう。
「M&Aは何から始めればいいかわからない」という経営者からも数多くのご相談をいただいています。M&Aを成功に導くはじめの一歩は無料のオンライン相談から。お気軽にご相談ください。
365日開催オンライン個別相談会
編集者の紹介
株式会社M&A PMI AGENT
代表取締役 日下部 興靖
上場企業のグループ会社の取締役を4社経験。M&A・PMI業務・経営再建業務などを10年経験し、多くの企業の業績改善を行ったM&A・PMIの専門家。3か月のPMIにて期首予算比で売上1.8倍、利益5倍などの実績を持つ。
- 目次
-
1. 中小企業が会社売却アドバイザーを選ぶ重要性
1.1 アドバイザー選びの重要性を理解するための3つのポイント
1.2 アドバイザーがもたらす具体的なメリット
2. 会社売却アドバイザーの種類と特徴
2.1 M&A仲介会社
2.2 事業承継士
2.3 会計事務所/税理士法人
2.4 弁護士
3. 会社売却アドバイザーの選び方、中小企業がチェックすべきポイント
3.1 実績と経験(M&A成立件数、業界特化型かなど)
3.2 手数料体系の透明性
3.3 担当者との相性
3.4 中小企業への理解
3.5 アフターフォローの充実度
4. M&Aアドバイザー選びで失敗しないための注意点
4.1 複数社の比較検討
4.2 契約内容の精査
4.3 過大な売却価格提示への警戒
4.4 アドバイザーの専門性と経験
4.5 担当者との相性
4.6 秘密保持契約の締結
5. 会社売却を成功に導くための準備
5.1 財務状況の把握と改善
5.2 事業計画の策定と将来性の提示
5.3 従業員への説明と理解の促進
6. まとめ
1. 中小企業が会社売却アドバイザーを選ぶ重要性
会社売却、特にM&Aは、中小企業にとって経営の大きな転換期となる一大イベントです。事業承継問題の解決、新たな成長戦略の実現、企業価値の最大化など、会社売却には様々な目的がありますが、その成功は適切なアドバイザー選びにかかっています。経験豊富なアドバイザーは、複雑な売却プロセスを円滑に進め、中小企業の経営者にとって最良の結果をもたらすための強力なパートナーとなるのです。
適切なアドバイザーを選ばずに売却を進めると、売却価格が適正価格より低くなってしまったり、売却後に想定外のトラブルが発生するリスクが高まります。また、時間と労力を無駄にするばかりか、最悪の場合、会社売却自体が失敗に終わる可能性も否定できません。だからこそ、中小企業は会社売却アドバイザー選びを軽視せず、慎重に進める必要があるのです。
【関連】新しい仲介サービス「Hands on M&A」誕生!業績向上までサポートします。1.1 アドバイザー選びの重要性を理解するための3つのポイント
アドバイザー選びの重要性をより深く理解するために、以下の3つのポイントを詳しく見ていきましょう。
1.1.1 1. 専門知識と経験の不足を補う
M&Aは、財務、法務、税務など、専門的な知識が求められる複雑なプロセスです。中小企業の経営者は、これらの分野に精通していない場合も多く、独力での売却は困難を極めます。経験豊富なアドバイザーは、専門知識と経験を駆使し、デューデリジェンス、バリュエーション、交渉、契約締結など、売却プロセス全体をサポートします。これにより、中小企業はスムーズかつ効率的に売却を進めることができるのです。
1.1.2 2. 企業価値の最大化
アドバイザーは、市場動向や業界の特性を分析し、企業価値を最大化する売却戦略を立案します。適切な買収候補の選定、交渉戦略の構築、デューデリジェンスへの対応など、アドバイザーのサポートは、売却価格の向上に大きく貢献します。また、税務対策や法的リスクの軽減など、売却後の利益最大化も支援します。
【関連】M&Aで企業価値評価(バリュエーション)3つの算定方法1.1.3 3. 時間と労力の節約
会社売却には、膨大な時間と労力がかかります。買収候補との交渉、デューデリジェンスへの対応、契約書の確認など、経営者の負担は計り知れません。アドバイザーは、これらの業務を代行し、経営者の負担を軽減します。これにより、経営者は本来の業務に集中できるようになり、事業の継続性を確保することができます。
1.2 アドバイザーがもたらす具体的なメリット
メリット | 内容 |
---|---|
適正価格での売却 | 市場調査や企業価値評価に基づき、適正な売却価格を算出。買収交渉を有利に進め、企業価値の最大化を実現。 |
スムーズな売却プロセス | 複雑な売却プロセスを円滑に進め、時間と労力を節約。経営者はコアビジネスに集中可能。 |
リスク管理の徹底 | 法務、税務、財務など、様々なリスクを事前に洗い出し、適切な対策を講じることで、売却後のトラブルを未然に防ぐ。 |
最適な買収先の選定 | 豊富なネットワークを駆使し、企業文化や経営理念に合致した最適な買収先を選定。事業の継続性や従業員の雇用維持にも配慮。 |
機密情報の管理 | 適切な情報管理体制を構築し、売却に関する機密情報の漏洩を防ぐ。 |
上記のように、会社売却アドバイザーは中小企業のM&Aにおいて、必要不可欠な存在と言えるでしょう。次の章では、会社売却アドバイザーの種類と特徴について詳しく解説します。
2. 会社売却アドバイザーの種類と特徴
会社売却を検討する中小企業にとって、適切なアドバイザー選びはM&Aの成否を大きく左右します。売却プロセスをスムーズに進め、最大限のメリットを得るためには、それぞれのアドバイザーの特徴を理解し、自社に最適なパートナーを選ぶことが重要です。主なアドバイザーの種類は以下の通りです。
【関連】M&AコンサルタントとM&Aアドバイザリーの業務内容・費用・違い【前編】2.1 M&A仲介会社
M&A仲介会社は、売却企業と買収企業の仲介を行い、M&A成立までをサポートする専門家集団です。豊富なデータベースやネットワークを駆使し、最適な買収候補を探し出してくれます。また、価格交渉や契約締結、クロージングに至るまで、M&Aプロセス全体を支援します。中小企業専門のブティック型から、大手企業の案件も扱う総合型まで、様々なタイプのM&A仲介会社が存在します。
種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
ブティック型 | 特定の業界や規模に特化 | 専門性の高さ、密なサポート | 案件数が限られる場合も |
総合型 | 幅広い業界、規模の案件に対応 | 豊富なネットワーク、多様な選択肢 | 担当者によって質に差があることも |
2.2 事業承継士
事業承継士は、中小企業の事業承継を総合的に支援する専門家です。M&Aも事業承継の一つの選択肢として捉え、後継者不在の問題を抱える企業に対して、M&Aによる事業承継を提案する場合があります。財務、法律、税務など幅広い知識を持ち、事業承継計画の策定から実行までをサポートします。M&Aだけでなく、親族内承継や従業員への承継など、様々な選択肢を提示できる点が特徴です。
2.3 会計事務所/税理士法人
会計事務所や税理士法人は、企業の財務状況を把握しており、税務面でのアドバイスが得意です。M&Aにおいても、財務デューデリジェンスや税務構造化、株式評価など、専門的な知識を活かしたサポートを提供します。また、普段から顧問として関わっているため、企業の経営状況を深く理解している点が強みです。ただし、M&Aの仲介業務自体を行うことは稀で、M&A仲介会社と連携してサポートを行うケースが多いです。
2.4 弁護士
弁護士は、M&Aにおける法的な側面をサポートします。契約書の作成やレビュー、デューデリジェンスにおける法務調査、紛争解決など、法的リスクを最小限に抑えるための役割を担います。M&Aに関する法律や判例に精通しており、複雑な法的手続きをスムーズに進めるために不可欠な存在です。特に、M&A契約書は専門用語が多く複雑なため、弁護士のサポートは非常に重要となります。
3. 会社売却アドバイザーの選び方、中小企業がチェックすべきポイント
会社売却を成功させるためには、適切なアドバイザー選びが不可欠です。特に中小企業にとっては、M&Aの経験が少ない場合が多いため、専門家のサポートがより重要になります。ここでは、中小企業が会社売却アドバイザーを選ぶ際にチェックすべきポイントを詳しく解説します。
3.1 実績と経験(M&A成立件数、業界特化型かなど)
アドバイザーの実績と経験は、M&Aの成否に大きく影響します。実績豊富なアドバイザーは、様々な状況に対応できるノウハウやネットワークを持っており、スムーズな売却プロセスを実現する可能性が高まります。チェックすべきポイントは以下の通りです。
M&A成立件数 | 実績が多いほど、経験豊富であると考えられます。具体的な数字を確認しましょう。 |
---|---|
業界特化型か | 自社の属する業界に特化したアドバイザーであれば、業界の特性や市場動向を深く理解しているため、より効果的なアドバイスが期待できます。例えば、IT企業の売却であれば、IT業界に特化したM&Aアドバイザーを選ぶべきです。 |
過去の取引事例 | どのような規模や種類のM&Aを成功させてきたのかを確認することで、自社の状況に合ったアドバイザーかどうかを判断できます。秘密保持契約を締結した上で、具体的な事例を提示してもらいましょう。 |
実績企業の規模 | 中小企業のM&A実績が豊富にあるかを確認しましょう。大企業中心の実績しかない場合、中小企業特有のニーズに対応できない可能性があります。 |
3.2 手数料体系の透明性
アドバイザーの手数料体系は、事前に明確に確認しておく必要があります。成功報酬型、時間制、固定料金など、様々な体系があります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自社にとって最適な体系を選びましょう。
手数料体系 | メリット | デメリット |
---|---|---|
成功報酬型 | 売却が成功した場合のみ手数料が発生するため、リスクが少ない。 | 高額になる場合がある。 |
時間制 | 費用の予測がしやすい。 | 売却が成立しなくても費用が発生する。 |
固定料金 | 予算管理がしやすい。 | サービス内容が限定される場合がある。 |
また、手数料に含まれるサービス内容も確認しましょう。例えば、デューデリジェンス費用、バリュエーション費用、契約書作成費用などが含まれているかを確認することが重要です。不明瞭な点があれば、遠慮なく質問し、納得した上で契約を締結しましょう。
【関連】M&Aで失敗しないデューデリジェンス!目的・種類・費用は?【前編】3.3 担当者との相性
M&Aは長期にわたるプロセスとなるため、担当者との相性も重要な要素です。信頼できる担当者であれば、安心してM&Aを進めることができます。面談を通して、担当者のコミュニケーション能力や人柄、専門知識などを確認しましょう。
レスポンスの速さ | 迅速な対応をしてくれる担当者であれば、スムーズなコミュニケーションが期待できます。 |
---|---|
相談しやすさ | 気軽に相談できる雰囲気かどうか、親身になって対応してくれるかどうかを確認しましょう。 |
専門知識 | M&Aに関する専門知識を持っていることはもちろん、自社の事業内容についても理解している担当者であれば、より的確なアドバイスが期待できます。 |
3.4 中小企業への理解
中小企業特有の課題やニーズを理解しているアドバイザーを選ぶことが重要です。後継者不足、事業承継、経営資源の不足など、中小企業が抱える課題は様々です。これらの課題を理解し、適切なソリューションを提案できるアドバイザーを選びましょう。例えば、事業承継を目的としたM&Aの場合、後継者問題に精通したアドバイザーを選ぶべきです。また、地域金融機関との連携実績があるアドバイザーであれば、資金調達面でのサポートも期待できます。
【関連】後継者不足に悩む中小企業必見!M&Aで事業承継を成功させる解決策とは?3.5 アフターフォローの充実度
M&A成立後も、PMI(Post Merger Integration:合併後統合)など、様々な課題が発生する可能性があります。そのため、アフターフォローが充実しているアドバイザーを選ぶことが重要です。M&A後の統合支援、事業計画策定支援、従業員への説明など、どのようなアフターフォローを提供しているのかを確認しましょう。また、アフターフォローの期間や費用についても確認しておく必要があります。
【関連】PMIで事業運営の継続性を高める!M&A(事業承継)後の成功の秘訣4. M&Aアドバイザー選びで失敗しないための注意点
M&Aアドバイザー選びは、会社売却の成否を大きく左右する重要なプロセスです。適切なアドバイザーを選ばなければ、売却価格が低くなるだけでなく、売却自体が頓挫する可能性も出てきます。ここでは、M&Aアドバイザー選びで失敗しないための注意点を詳しく解説します。
4.1 複数社の比較検討
M&Aアドバイザーは一社だけでなく、複数社に相談し、比較検討することが重要です。各社によって得意分野、手数料体系、企業文化などが異なります。複数のアドバイザーと面談することで、自社に最適なパートナーを見つけることができます。最低でも3社程度は比較検討することをおすすめします。提案内容、実績、料金体系などを比較し、自社のニーズに合ったアドバイザーを選びましょう。相見積もりを取ることで、各社の価格やサービス内容を客観的に評価できます。
4.2 契約内容の精査
アドバイザーとの契約は、M&Aプロセス全体を左右する重要なものです。契約内容をしっかりと理解せずにサインすることは絶対に避けましょう。特に、手数料体系、成功報酬の条件、契約期間、守秘義務などについて、詳細に確認する必要があります。不明点があれば、弁護士などの専門家に相談することも有効です。
契約書には、以下の項目が明記されているか確認しましょう。
アドバイザーの役割と責任 | |
手数料の計算方法と支払い時期 | |
契約期間と解除条件 | |
守秘義務の範囲 | |
紛争発生時の解決方法 |
これらの項目をしっかりと確認し、納得した上で契約を締結することが重要です。
4.3 過大な売却価格提示への警戒
一部のアドバイザーは、契約を獲得するために、実現不可能な高額な売却価格を提示することがあります。このような甘い言葉に惑わされず、冷静に判断することが重要です。市場の動向や類似企業のM&A事例などを参考に、現実的な売却価格を把握しておきましょう。売却価格の根拠を明確に説明できないアドバイザーは避けるべきです。デューデリジェンスの結果や市場の状況を踏まえた、客観的な評価に基づいた売却価格を提示するアドバイザーを選びましょう。
4.4 アドバイザーの専門性と経験
M&Aは複雑なプロセスであり、専門的な知識と経験が必要です。アドバイザーの専門性と経験は、M&Aの成否に大きく影響します。自社の事業内容や規模に合った経験を持つアドバイザーを選ぶことが重要です。例えば、製造業のM&Aに精通したアドバイザーや、中小企業のM&Aに特化したアドバイザーなど、自社の状況に合った専門家を選びましょう。実績や経験年数だけでなく、過去のM&A事例なども確認することで、アドバイザーの能力をより深く理解できます。
4.5 担当者との相性
M&Aは長期にわたるプロセスとなるため、アドバイザーの担当者との相性も重要な要素です。信頼関係を築き、スムーズにコミュニケーションを取れる担当者を選ぶことが、M&A成功の鍵となります。面談の際に、担当者の対応やコミュニケーション能力をチェックしましょう。また、担当者の変更の可能性についても確認しておくことが重要です。
4.6 秘密保持契約の締結
M&Aを進める際には、会社の機密情報が外部に漏洩するリスクがあります。アドバイザーとの間で秘密保持契約を締結し、情報漏洩のリスクを最小限に抑えることが重要です。秘密保持契約の内容をしっかりと確認し、自社の情報が適切に保護されるようにしましょう。
注意点 | 詳細 |
---|---|
複数社比較 | 最低3社以上のアドバイザーを比較検討し、提案内容や手数料を比較する。 |
契約内容精査 | 手数料体系、成功報酬の条件、契約期間などを詳細に確認し、不明点は専門家に相談する。 |
過大な価格提示への警戒 | 市場の動向や類似企業のM&A事例を参考に、現実的な売却価格を把握する。 |
専門性と経験 | 自社の事業内容や規模に合った経験を持つアドバイザーを選ぶ。過去のM&A事例も確認する。 |
担当者との相性 | 信頼関係を築き、スムーズにコミュニケーションを取れる担当者を選ぶ。担当者の変更の可能性も確認する。 |
秘密保持契約 | アドバイザーとの間で秘密保持契約を締結し、情報漏洩のリスクを最小限に抑える。 |
これらの点に注意し、慎重にアドバイザーを選ぶことで、M&Aを成功に導く可能性を高めることができます。焦らず、時間をかけて最適なパートナーを見つけましょう。
5. 会社売却を成功に導くための準備
会社売却は、綿密な準備なくしては成功を掴むことはできません。売却活動をスムーズに進め、望ましい条件で取引を成立させるためには、事前の準備が不可欠です。準備不足は売却価格の低下や取引の破綻に繋がりかねません。ここでは、会社売却を成功に導くための重要な準備項目を解説します。
【関連】会社を売る?会社売却・事業売却を成功させるための5つのポイント5.1 財務状況の把握と改善
買収希望企業は、必ず対象企業の財務状況を詳細に調べます。財務状況の透明性と健全性は、売却価格に大きく影響します。不透明な会計処理や不明瞭な資金の流れは、買収側の不信感を招き、取引を阻害する要因となる可能性があります。財務諸表の信頼性を高めるためには、過去の財務データを整理し、不明瞭な点を解消しておくことが重要です。
5.1.1 財務デューデリジェンスへの備え
買収希望企業は、財務デューデリジェンスを実施して対象企業の財務状況を徹底的に調査します。この調査に備えて、以下の点を事前に確認し、必要に応じて改善しておきましょう。
直近3~5期分の決算書(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書) | |
総勘定元帳、補助元帳 | |
固定資産台帳 | |
契約書(売買契約、賃貸借契約、雇用契約など) | |
税務申告書 |
これらの資料を整理し、すぐに提示できるように準備しておくことで、デューデリジェンスをスムーズに進めることができます。また、潜在的な問題点を事前に把握し、対策を講じることで、売却プロセスにおけるリスクを軽減できます。
【関連】財務デューデリジェンスの目的・内容・進め方を初心者にもわかりやすく解説!5.2 事業計画の策定と将来性の提示
将来性のある事業計画は、会社の魅力を高め、売却価格の向上に繋がります。買収希望企業は、投資に対するリターンを期待しています。そのため、将来の成長性や収益性を示す明確な事業計画を提示することが重要です。市場の成長性、競争優位性、今後の戦略などを具体的に示すことで、買収側の投資意欲を高めることができます。
5.2.1 事業計画書の作成ポイント
事業計画書には、以下の項目を盛り込むことが重要です。
項目 | 内容 |
---|---|
事業概要 | 事業内容、ターゲット市場、競合他社との差別化ポイント |
市場分析 | 市場規模、成長性、トレンド、競争環境 |
経営戦略 | 今後の事業展開、成長戦略、リスク管理 |
財務計画 | 売上高、利益、キャッシュフローの予測 |
これらの情報を明確かつ具体的に示すことで、買収希望企業の理解を深め、信頼感を醸成することができます。
5.3 従業員への説明と理解の促進
会社売却は、従業員に大きな不安を与える可能性があります。売却に関する情報を適切に伝え、従業員の理解と協力を得ることは、売却プロセスを円滑に進める上で非常に重要です。従業員の不安や動揺は、生産性の低下や退職につながる可能性があります。そのため、売却の目的、今後の事業展開、雇用への影響などについて、丁寧に説明する必要があります。
5.3.1 適切な情報開示の重要性
適切な情報開示は、従業員の不安を軽減し、会社への信頼感を維持するために不可欠です。以下の点に注意して、従業員への説明を行いましょう。
売却の理由と目的を明確に伝える | |
買収後の事業展開や雇用への影響について説明する | |
従業員の質問や concerns に真摯に対応する | |
情報伝達のタイミングと方法を適切に選択する |
従業員の理解と協力を得ることで、売却プロセスをスムーズに進め、成功へと導くことができます。
6. まとめ
中小企業にとって、会社売却は経営の大きな転換点となります。成功のためには、適切なアドバイザー選びが不可欠です。この記事では、M&A仲介会社、事業承継士、会計事務所、弁護士など、様々な種類のアドバイザーの特徴を解説し、それぞれどのようなメリット・デメリットがあるのかを比較検討しました。
特に、実績と経験、手数料体系の透明性、担当者との相性、中小企業への理解、アフターフォローの充実度といったポイントは、アドバイザーを選ぶ上で重要な基準となります。これらのポイントを踏まえ、複数社の比較検討をしっかりと行うことで、自社に最適なアドバイザーを見つけることができるでしょう。契約内容の精査や過大な売却価格提示への警戒も怠らないようにしましょう。
さらに、会社売却を成功させるためには、事前の準備も重要です。財務状況の把握、事業計画の策定、従業員への説明など、しっかりと準備を進めることで、売却プロセスをスムーズに進めることができます。この記事を参考に、最適なアドバイザーを選び、万全の準備を整え、会社売却を成功に導きましょう。