M&A仲介会社の利益相反問題とは?譲渡企業が失敗しないM&A仲介会社の選び方

M&A仲介会社の利益相反問題とは?譲渡企業が失敗しないM&A仲介会社の選び方

M&A仲介会社を選ぶ際に、利益相反の問題を見過ごしていませんか?実は、M&A仲介会社の中には、自社の利益を優先し、譲渡企業にとって不利な条件でM&Aを進めてしまうケースも存在し、マスコミがニュースなどで取り上げています。

この記事では、M&A仲介会社における利益相反問題の実態を分かりやすく解説し、譲渡企業が失敗しないためのM&A仲介会社の選び方のポイントを、具体的な事例を交えながら紹介します。

本記事を参考に、信頼できるM&A仲介会社を見つけ、納得のいくM&Aを実現しましょう。


M&A PMI AGENTは上場企業・中堅・中小企業の「M&AからPMI支援までトータルサポート」できるM&A仲介会社です。詳しくはコンサルタントまでお気軽にご相談ください。

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1. M&A仲介会社における利益相反問題とは?

M&A仲介会社は、企業の合併や買収を仲介する役割を担っています。企業買収を検討している企業と、売却を希望する企業の間に入り、条件交渉や契約締結などをサポートします。

しかし、M&A仲介会社は、その立場上、利益相反問題を抱えている可能性があることを認識しておく必要があります。


1.1 譲渡企業の利益相反によるリスクとは

M&A仲介会社は、常に中立的な立場で業務を行うことが求められますが、実際には、特定の企業との関係性や過去の取引実績などから、中立性を保てない場合があります。

このような場合、譲渡企業は、自社にとって不利な条件でM&Aを進められてしまうリスクがあります。


M&A仲介会社の両手取引における利益相反とは

M&A仲介会社の中には、買収企業と譲渡企業の両方から仲介手数料を受け取る「両手取引」を行う場合があります。

両手取引自体は違法ではありませんが、仲介会社がどちらか一方の企業に有利なように偏った情報提供や交渉を行う可能性があり、利益相反が発生しやすいため注意が必要です。

取引形態 メリット デメリット
片手取引 仲介会社が、依頼企業の利益を最大限に追求してくれる可能性が高い 相手企業を探すのに時間がかかる場合がある
両手取引 取引がスムーズかつ短期間で成立しやすい 仲介会社が中立性を保てず、利益相反が発生するリスクがある

過去の取引相手との関係による利益相反

M&A仲介会社が、過去の取引で関係の深かった企業の案件を優先的に扱うことで、現在の取引相手である譲渡企業にとって不利な状況になる可能性があります。

例えば 例えば、過去に高額な手数料を支払ってくれた企業の案件を優先し、現在の譲渡企業の案件に対しては十分な情報提供や交渉を行わないといったことが考えられます。
1.2 利益相反が引き起こす問題点 不適切なM&A相手との成約 利益相反が発生すると、M&A仲介会社は、譲渡企業にとって最適な相手ではなく、自社にとって都合の良い相手を紹介する可能性があります。

結果として、譲渡企業は、不適切な相手とM&Aを行い、経営上のシナジー効果が得られない、企業文化の衝突が発生するなど、様々な問題に直面する可能性があります。

不当な価格でのM&A 利益相反を抱えたM&A仲介会社は、自社の利益を優先するために譲渡企業に対して不当に低い売却価格を提示する可能性があります。また、買収企業に対しては、不当に高い買収価格を提示する可能性もあります。

M&A後のトラブル 利益相反によって不適切なM&Aが行われた場合、M&A後も様々なトラブルが発生する可能性があります。例えば、当初合意していた条件が守られない、重要な情報が開示されていなかったなどの問題が発生し、訴訟に発展するケースも考えられます。

2. 譲渡企業がM&A仲介会社を選ぶ際に注意すべきポイント 2.1 仲介会社の専門性・実績
実績数の公開の有無

M&A仲介会社を選ぶ際には、実績数を確認することが重要です。実績数の多さは、その会社の経験値の高さを示す指標となります。ウェブサイトなどで公開されている実績数を確認しましょう。

ただし、実績数が多いだけで安心できるわけではありません。実績数が多くても、特定の業界や規模の案件に偏っている場合もあるため、自社のM&A案件と親和性が高い実績を持っているかどうかも併せて確認することが大切です。

また、実績が多い会社ほど、過去の取引数が多いため利益相反問題を抱えている可能性があります。

専門分野

M&A仲介会社は、それぞれ得意とする業界や規模、M&A手法などが異なります。例えば、製造業に強みを持つ会社、IT業界に特化した会社・クロスボーダーM&Aを得意とする会社などがあります。

自社のM&Aの目的や規模、業界に合った専門性を持つ会社を選ぶことが重要です。自社のニーズと仲介会社の専門分野の一致がM&A成功の可能性を高めます。


2.2 手数料体系の透明性

M&A仲介会社によって手数料体系は異なります。成功報酬型・着手金型・時間報酬型など、さまざまな料金体系があります。

また、手数料の料率も会社によって異なります。事前に手数料体系について詳しく説明を受け、不明点があれば解消しておくことが重要です。

さらに、追加費用が発生する可能性についても確認しておきましょう。透明性の高い手数料体系を持つ会社を選ぶことが、後々のトラブル防止につながります。


2.3 PMIサービス対応の有無

M&Aは、成約した後が重要です。M&A後の統合プロセス(PMI)をスムーズに進めることが、M&A成功の鍵となります。

PMIには、組織文化の統合・人事制度の統一・システムの統合など、多岐にわたる業務が発生します。PMIサービスを提供しているM&A仲介会社であれば、これらの業務をサポートするために無理な取引を行わない可能性が高く、M&A後の統合プロセスをスムーズに進めることができます。

PMIサービスの有無は、M&A後の成功を大きく左右する要素の一つと言えるでしょう。

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2.4 セカンドオピニオンの活用

M&A仲介会社を一つに絞らず複数の会社から提案を受けることで、より客観的な視点で判断することができます。

また、セカンドオピニオンを活用することで、より有利な条件を引き出せる可能性もあります。セカンドオピニオンは、M&Aを成功させるための有効な手段の一つと言えるでしょう。


3. 利益相反を避けるためにできること 3.1 M&Aの仲介契約の内容確認

M&Aの仲介契約を締結する前に、契約内容をしっかりと確認することが重要です。特に、利益相反に関する条項は注意深く確認しましょう。

利益相反が発生した場合の対処法や、仲介会社が負うべき責任などが明確に記載されているかを確認することが大切です。契約内容に不明点があれば、必ず解消してから契約を締結するようにしましょう。


3.2 複数の仲介会社からの提案比較

M&A仲介会社を選ぶ際には、複数の会社から提案を受けることをおすすめします。複数の提案を比較検討することで、それぞれの会社の強みや弱み・手数料体系・専門分野・PMIサポートの有無などを客観的に判断することができます。

また、複数の会社と交渉することで、より有利な条件を引き出せる可能性もあります。時間と手間はかかりますが、複数の会社から提案を受けることは、最適なM&A仲介会社選びに不可欠なプロセスと言えるでしょう。


3.3 中小企業にも対応できるPMI支援会社の活用

M&A後の統合プロセス(PMI)を専門に支援する会社があります。これらの会社は、M&A後の組織文化の統合・人事制度の統一・システムの統合など、さまざまな業務をサポートしてくれます。

特に、リソースが限られている中小企業にとって、PMI支援会社の活用は有効な手段となります。PMI支援会社を活用することで、M&A後の統合プロセスをスムーズに進め、M&Aの成功率を高めることができます。

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4. 利益相反を避けるためにできること

M&Aにおける利益相反は、仲介会社選びや契約内容の確認など、譲渡企業側が適切な対策を講じることでリスクを軽減できます。ここでは、具体的な対策方法について詳しく解説していきます。


4.1 M&Aの仲介契約の内容確認

M&A仲介契約を締結する前に契約内容を精査し、利益相反に関する条項が盛り込まれているかを確認することが重要です。具体的には、以下のような項目に注意しましょう。

利益相反に関する定義 契約書において、どのような場合を利益相反とみなすのか、明確な定義が記載されているかを確認しましょう。曖昧な表現や定義が欠落している場合は、後々のトラブルに繋がりかねません。契約書に明確な定義がない場合は、仲介会社に説明を求め納得いくまで協議することが大切です。

利益相反の開示義務 仲介会社には、潜在的な利益相反の可能性を含め、譲渡企業にとって重要な情報を全て開示する義務があります。契約書に、開示義務の範囲や方法・違反した場合の責任などが明確に定められているかを確認しましょう。

利益相反発生時の対応 万が一、利益相反が発生した場合の対処法について、契約書に明記されているかを確認しましょう。

例えば 譲渡企業の事前の同意を得ること、利益相反が生じないように取引構造を変更すること、場合によっては契約を解除できることなどが考えられます。具体的な対応策とその手順を事前に定めておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。

4.2 複数の仲介会社からの提案比較

複数のM&A仲介会社から提案を受けることで、それぞれの専門性や手数料体系・利益相反のリスクなどを比較検討することができます。一社だけに絞らず複数の選択肢を持つことで、より有利な条件でM&Aを進められる可能性が高まります。例えば、以下の観点から比較検討を行いましょう。

項目 内容
専門分野 各社が得意とする業界やM&Aの形態は異なるため、自社のニーズに合致した専門性を持つ会社を選ぶことが重要です。例えば、製造業のM&Aに強みを持つ会社、IT企業のM&Aに実績がある会社など、それぞれの専門分野を比較検討しましょう。
実績 過去のM&A成約実績は、仲介会社の力量を測る上で重要な指標となります。特に、自社と同じ業界や規模の企業とのM&A実績が豊富であれば、より安心して取引を任せられるでしょう。実績数の公開の有無も確認し、非公開の場合は、実績数や事例について質問してみましょう。
手数料体系 M&A仲介会社の手数料体系は、成功報酬型、着手金型、月額固定型など、会社によってさまざまです。それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、自社にとって最適な体系を選ぶことが大切です。手数料体系の透明性は、後々のトラブル防止にも繋がるため、不明点があれば必ず確認しましょう。
PMIサービス M&A後の統合プロセス(PMI)をスムーズに進めるためには、PMIサービスへの対応も重要な要素となります。PMIサービスを提供している会社であれば、M&A後の統合までサポートを受けられるため、安心して取引を進められます。

4.3 中小企業にも対応できるPMI支援会社の活用

M&A後の統合プロセス(PMI)を専門に支援するPMI支援会社を活用するのも有効な手段です。PMI支援会社は、M&A後の組織統合・システム統合・人事制度統合などを専門的にサポートする企業です。

外部の専門家の知見を活用することで、PMIを成功に導く可能性を高められます。特に、リソースが限られる中小企業にとって、PMI支援会社の活用は大きなメリットとなります。

PMI支援会社を選ぶ際には、以下のポイントを参考にしましょう。

業界経験 自社の属する業界のPMI経験が豊富な会社を選ぶことで、より実践的なアドバイスやサポートを受けられます。例えば、製造業のPMIに強みを持つ会社、小売業のPMIに実績がある会社など、専門性の高い会社を選ぶようにしましょう。

PMI支援の内容 PMI支援会社のサービス内容は、会社によってそれぞれ異なります。会計資料などからアドバイスを行うだけの支援会社から、会計資料での分析をもとに現場での情報収集を行い改善案を導き出す支援会社など、サービス内容は様々です。

アドバイスだけを行うPMI支援では対象企業の業績向上まで見込めない場合もあるため、PMIによって業績向上させることを得意としているPMI支援会社を選びましょう。

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実績 過去のPMI支援実績数や成功事例を確認することで、その会社の信頼性を判断することができます。実績が豊富であれば、安心して任せられる可能性が高いでしょう。

コミュニケーション能力 PMIは、企業文化や従業員の感情に配慮しながら進めていくことが重要です。そのため、コミュニケーション能力が高く、円滑な人間関係を築けるPMI支援会社を選ぶようにしましょう。

M&Aは、企業の成長を大きく左右する重要な経営判断です。利益相反のリスクを理解し、適切な対策を講じることで、成功の可能性を高めましょう。

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5. まとめ

M&A仲介会社を選ぶ際には、利益相反の可能性を理解し、自社の利益を最優先に考えてくれるパートナー選びが重要です。そのためには、仲介会社の専門性や実績、手数料体系の透明性などを比較検討する必要があります。

実績数の公開状況や専門分野をチェックし、不明瞭な手数料体系でないかを確認しましょう。また、M&A後の統合プロセスであるPMIを支援してくれるかどうかも重要なポイントです。

利益相反を避けるためには、M&A仲介契約の内容をしっかりと確認し、複数の仲介会社から提案を受けることが有効です。

さらに、近年注目されている、中小企業にも対応可能なPMI支援会社の活用も検討してみましょう。PMI支援会社は、M&A後の統合プロセスを専門的に支援することで、M&Aの成功率を高める役割を担います。

M&Aは企業にとって大きな決断です。信頼できるパートナーを選び、綿密な準備と計画を進めることで、M&Aを成功に導きましょう。


編集者の紹介

日下部 興靖

株式会社M&A PMI AGENT
代表取締役 日下部 興靖

上場企業のグループ会社の取締役を4社経験。M&A・PMI業務・経営再建業務などを10年経験し、多くの企業の業績改善を行ったPMIのエキスパート。3か月のPMIにて期首予算比で売上1.8倍、利益5倍などの実績を持つ。

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