M&Aアドバイザーの選び方|中小企業経営者が知っておくべきポイント

M&Aアドバイザーの選び方|中小企業経営者が知っておくべきポイント

M&Aアドバイザーの選定は、M&Aの成否を大きく左右する重要なプロセスです。適切なアドバイザーを選ぶことで、M&Aをスムーズに進め、企業価値の向上を実現できる一方、不適切なアドバイザーを選んでしまうと、時間とコストの浪費、さらにはM&Aの失敗に繋がる可能性があります。

この記事では、中小企業経営者に向けて、M&Aアドバイザーの選び方のポイントを徹底解説します。M&Aアドバイザーの種類、それぞれの役割や特徴、費用体系、そして面談時の注意点まで、網羅的に解説することで、読者の皆様が最適なM&Aアドバイザーを選定できるようサポートします。

この記事を読み終えることで、M&Aアドバイザー選定における不安を解消し、自信を持ってM&Aプロセスを進めることができるようになるでしょう。最適なM&Aアドバイザー選びは、企業の未来を左右する重要な決断です。この記事を参考に、成功するM&Aを実現してください。

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編集者の紹介

日下部 興靖

株式会社M&A PMI AGENT
代表取締役 日下部 興靖

上場企業のグループ会社の取締役を4社経験。M&A・PMI業務・経営再建業務などを10年経験し、多くの企業の業績改善を行ったM&A・PMIの専門家。3か月のPMIにて期首予算比で売上1.8倍、利益5倍などの実績を持つ。



1. M&Aアドバイザーとは?

M&Aアドバイザーとは、企業の合併・買収(M&A)を成功に導くための専門家です。M&Aは企業にとって重要な戦略的決断であり、複雑なプロセスを伴います。M&Aアドバイザーは、その専門知識と経験を活かし、企業のM&A戦略の立案から実行、クロージングまでをサポートします。

M&Aアドバイザーを活用することで、企業はM&Aに伴うリスクを最小限に抑え、スムーズかつ効率的な取引を実現できます。M&A市場の活性化に伴い、M&Aアドバイザーの需要はますます高まっており、多様な専門性を持つアドバイザーが活躍しています。

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1.1 M&Aアドバイザーの役割

M&Aアドバイザーの役割は多岐に渡り、企業のM&Aプロセス全体をサポートします。主な役割は以下の通りです。

M&A戦略の立案企業の経営目標や財務状況に基づき、最適なM&A戦略を策定します。
候補企業の探索買収または売却の対象となる候補企業を調査・選定します。
バリュエーション(企業価値評価)対象企業の価値を適切に評価します。
交渉支援売主または買主との交渉をサポートし、有利な条件での取引成立を目指します。
デューデリジェンス(買収対象調査)対象企業の財務状況、法務状況、事業状況などを詳細に調査します。
契約書作成M&A契約書の作成をサポートします。
クロージング(取引完了)M&A取引の完了までをサポートします。
PMI(Post Merger Integration:買収後統合)支援M&A後の統合プロセスを支援し、シナジー効果の最大化を目指します。
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1.2 M&Aアドバイザーの種類

M&Aアドバイザーには、それぞれ得意分野やサービス内容が異なる様々な種類があります。主な種類は以下の通りです。

種類 特徴 得意分野
1.2.1 FA(フィナンシャルアドバイザー) 独立系で、財務的なアドバイスを中心に、M&Aプロセス全体をサポート。 幅広い業種・規模のM&A案件。特に、クロスボーダーM&Aや大型M&Aに強みを持つFAも多い。例えば、野村證券、大和証券SMBC、SMBC日興証券など。
1.2.2 仲介会社 売主と買主の間に入り、M&Aの仲介を行う。 中小企業のM&A案件に強く、地域密着型の仲介会社も多い。日本M&Aセンター、ストライクなど。
1.2.3 M&Aブティック 特定の業種やM&A手法に特化した専門性の高いアドバイザー。 特定の業種やニッチな分野のM&A案件に強みを持つ。GCAサヴィアン、レコフなど。
1.2.4 会計事務所・税理士法人 財務デューデリジェンス、税務アドバイス、会計処理などを専門とする。 M&Aにおける財務・税務面のサポート。PwC、デロイト トーマツなど。
1.2.5 法律事務所 法務デューデリジェンス、契約書作成・審査、法的アドバイスなどを専門とする。 M&Aにおける法務面のサポート。西村あさひ法律事務所、森・濱田松本法律事務所など。

これらのアドバイザー以外にも、事業再生コンサルタントや投資銀行などもM&Aアドバイザーとして関わるケースがあります。企業は、自社のM&Aの目的や規模、状況に応じて最適なアドバイザーを選ぶことが重要です。


2. M&Aアドバイザーが必要な理由

M&A(企業合併・買収)は、企業の成長戦略において重要な役割を果たしますが、同時に複雑で高度な専門知識を必要とするプロセスです。そのため、M&Aを成功に導くためには、M&Aアドバイザーのサポートが不可欠です。M&Aアドバイザーを活用する主な理由を以下に詳しく解説します。

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2.1 M&Aは複雑なプロセス

M&Aは、単なる企業間の売買契約ではなく、財務デューデリジェンス、法務デューデリジェンス、事業デューデリジェンス、バリュエーション、契約交渉、PMI(Post Merger Integration:合併後統合)など、多岐にわたるプロセスを経て実行されます。これらのプロセスはそれぞれ専門的な知識と経験を必要とし、一つでも欠陥があればM&A全体の成否に影響を及ぼす可能性があります。M&Aアドバイザーは、これらの複雑なプロセスを円滑に進めるための専門的なサポートを提供します。

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2.2 専門知識と経験の不足を補う

多くの企業、特に中小企業にとって、M&Aは日常的に行う業務ではありません。そのため、社内にM&Aに関する専門知識や経験を持つ人材が不足しているケースが少なくありません。M&Aアドバイザーは、M&Aに関する豊富な知識と経験を活かし、企業のM&A戦略策定から実行、PMIまでを包括的にサポートします。例えば、買収対象企業の価値評価や適切な買収価格の算定、デューデリジェンスにおけるリスクの洗い出し、契約交渉における有利な条件の獲得など、専門家ならではの視点で企業を支援します。


2.3 適切なM&A戦略の立案

M&Aを成功させるためには、自社の経営戦略に基づいた明確なM&A戦略を立案することが重要です。M&Aアドバイザーは、企業の経営目標や事業計画を理解した上で、最適なM&A戦略の立案を支援します。例えば、市場シェアの拡大を目指す企業には競合他社の買収を、新技術の獲得を目指す企業には技術系ベンチャー企業の買収を提案するなど、企業のニーズに合わせたM&A戦略を提案します。また、M&A後のシナジー効果の最大化に向けたPMI計画の策定もサポートします。


2.4 交渉を有利に進める

M&Aにおける交渉は、企業の将来を左右する重要な局面です。M&Aアドバイザーは、豊富な交渉経験と専門知識を駆使し、企業にとって有利な条件で交渉を進めるためのサポートを提供します。例えば、買収価格の交渉や契約条件の調整、リスク管理など、専門的な視点から交渉戦略を立案し、企業の利益を最大限に守ります。また、M&Aにおける情報開示や秘密保持契約など、法的な側面についても適切なアドバイスを提供します。相手企業との良好な関係を構築しながら、交渉をスムーズに進めるためのコミュニケーション支援も行います。

M&Aアドバイザーの活用メリット 詳細
時間とリソースの節約 M&Aプロセスは非常に時間と労力を要します。アドバイザーに委託することで、経営資源をコアビジネスに集中できます。
客観的な視点の提供 M&A当事者は感情的な判断に陥りがちです。アドバイザーは客観的な視点から適切なアドバイスを提供します。
情報収集力の活用 アドバイザーは幅広いネットワークと情報収集力を持つため、非公開情報を含む有益な情報を入手できます。
リスク管理の徹底 M&Aには様々なリスクが伴います。アドバイザーはリスクを特定し、適切な対策を講じることでリスクを軽減します。
取引の円滑化 アドバイザーはM&Aプロセス全体を管理し、関係者間の調整を行うことで、取引を円滑に進めます。

3. M&Aアドバイザーを選ぶ際のポイント

M&Aアドバイザー選びは、M&Aの成否を大きく左右する重要な決定です。最適なアドバイザーを選ぶためには、実績と経験、専門性、費用体系の透明性といった複数のポイントを総合的に判断する必要があります。これらのポイントを踏まえ、自社に最適なパートナーを見つけることが、M&A成功への第一歩となります。


3.1 実績と経験

M&Aアドバイザーの実績と経験は、信頼性の重要な指標となります。過去のM&Aの成約件数や、成約金額だけでなく、どのような業種や規模のM&Aを手がけてきたか、そしてPMI(Post Merger Integration:合併後統合)の経験値も確認しましょう。実績が豊富で、自社と類似のM&Aを成功させた経験を持つアドバイザーを選ぶことで、M&Aプロセスをスムーズに進めることができます。

3.1.1 得意とする業種・規模

M&Aアドバイザーには、それぞれ得意とする業種や規模があります。例えば、製造業に強いアドバイザー、IT企業に強いアドバイザー、中小企業のM&Aに特化したアドバイザーなどです。自社の業種や規模に精通したアドバイザーを選ぶことで、より専門的なアドバイスを受けることができます。M&Aの成約実績だけでなく、具体的な事例についても確認することで、アドバイザーの得意分野をより深く理解できます。

3.1.2 PMIの経験値

M&Aは、契約締結がゴールではありません。M&A後の統合プロセス(PMI)を成功させることが、真の成功と言えるでしょう。PMIの成否は、M&A後の企業価値向上に大きく影響します。そのため、M&AアドバイザーのPMIに関する経験値も重要な選定基準となります。PMIの計画策定、実行支援、組織文化の統合、人事制度の統合など、PMIに関する具体的な実績やノウハウを持つアドバイザーを選ぶことが重要です。

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3.2 専門性

M&Aには、財務、法務、税務など、様々な専門知識が必要です。M&Aアドバイザーの専門分野や、経験豊富な専門家チームの有無を確認しましょう。自社のニーズに合った専門性を備えたアドバイザーを選ぶことで、M&Aプロセス全体を効率的かつ効果的に進めることができます。

3.2.1 M&Aアドバイザーの専門分野

M&Aアドバイザーには、財務デューデリジェンス、バリュエーション、契約交渉、PMIなど、様々な専門分野があります。自社のM&Aにおける課題やニーズを明確にし、それに対応できる専門分野を持つアドバイザーを選ぶことが重要です。例えば、クロスボーダーM&Aを検討している場合は、国際的なM&Aに精通したアドバイザーを選ぶ必要があります。

3.2.2 経験豊富な専門家チームの有無

複雑なM&Aプロセスを円滑に進めるためには、多様な専門知識を持つチームが必要です。M&Aアドバイザーが、経験豊富な弁護士、公認会計士、税理士などの専門家チームを擁しているか確認しましょう。ワンストップで必要な専門知識を提供できる体制が整っているアドバイザーを選ぶことで、M&Aプロセスを効率化し、リスクを軽減することができます。


3.3 費用体系の透明性

M&Aアドバイザーの費用体系は、アドバイザーによって異なります。料金体系や成功報酬の有無などを事前に確認し、透明性の高いアドバイザーを選びましょう。不明瞭な費用体系は、後々のトラブルにつながる可能性があります。契約前にしっかりと確認し、納得した上で契約を締結することが重要です。

3.3.1 料金体系

M&Aアドバイザーの料金体系は、主に以下の3つのタイプがあります。

料金体系 内容 メリット デメリット
タイムチャージ制 作業時間に応じて費用が発生 費用が明確 総費用が予測しにくい
レティナーフィー制 月額固定報酬 予算管理がしやすい 作業量に関わらず費用が発生
サクセスフィー制 M&A成約時に報酬が発生 成功した場合のみ費用が発生 アドバイザーのインセンティブが成約に偏る可能性

これらの料金体系を理解し、自社の状況に合った体系を選択することが重要です。また、各料金体系における具体的な金額についても、事前に確認しておく必要があります。

3.3.2 成功報酬の有無

成功報酬とは、M&Aが成約した場合に支払われる報酬のことです。成功報酬の有無や料率は、アドバイザーによって異なります。成功報酬の料率が高すぎる場合は、アドバイザーが成約を急ぐあまり、自社にとって最適ではないM&Aを進めてしまう可能性もあります。成功報酬の有無や料率について、事前にしっかりと確認し、納得した上で契約を締結することが重要です。


4. M&Aアドバイザーの種類別の特徴と選び方のポイント

M&Aアドバイザーには様々な種類があり、それぞれ得意分野や特徴が異なります。ここでは、主要なM&Aアドバイザーの種類ごとの特徴と、それぞれを選ぶ際のポイントを解説します。


4.1 FA(フィナンシャルアドバイザー)の選び方

FAは、M&Aに関する幅広い専門知識と経験を持ち、戦略立案から実行まで包括的なサポートを提供します。大規模なM&Aから中小企業のM&Aまで、様々な案件に対応可能です。

4.1.1 FAを選ぶ際のポイント
実績M&Aの成約実績数や、得意とする業種・規模を確認しましょう。例えば、IT業界や製造業など、特定の業界に強いFAもいます。
ネットワーク幅広いネットワークを持つFAは、最適な買い手候補や売り手候補を見つけ出す可能性が高くなります。国内だけでなく、海外ネットワークの有無も確認しましょう。例えば、クロスボーダーM&Aを検討している場合は、海外ネットワークが豊富なFAが有利です。
専門性M&Aの専門チームの有無や、デューデリジェンス、バリュエーション、交渉、契約締結、PMIなど、各フェーズにおける専門性を確認しましょう。財務、税務、法務など、多岐にわたる専門知識を持つFAが望ましいです。
費用FAの費用体系は、リテーナーフィーとサクセスフィーの組み合わせが一般的です。費用体系の透明性や、費用の妥当性を確認しましょう。

4.2 仲介会社の選び方

仲介会社は、売り手と買い手のマッチングを主な役割とするアドバイザーです。比較的小規模なM&A案件を中心に、地域密着型のサポートを提供するケースが多いです。

4.2.1 仲介会社を選ぶ際のポイント
地域性特定の地域に特化した仲介会社は、その地域の企業情報やネットワークに精通しているため、地域に根ざしたM&Aを検討している場合に有効です。例えば、地方の中小企業のM&Aを検討している場合は、その地域に強い仲介会社が適しています。
規模仲介会社には、大手から中小まで様々な規模があります。自社のM&Aの規模やニーズに合わせて、適切な規模の仲介会社を選びましょう。
対応力迅速かつ丁寧な対応をしてくれる仲介会社を選びましょう。M&Aは機密性の高い情報を取り扱うため、情報管理の徹底も重要なポイントです。

4.3 M&Aブティックの選び方

M&Aブティックは、M&Aに特化した専門性の高いアドバイザーです。特定の業界やM&A手法に特化している場合が多く、高度な専門知識と経験を活かしたアドバイスを提供します。

4.3.1 M&Aブティックを選ぶ際のポイント
専門分野M&Aブティックは、特定の業界やM&A手法に特化している場合が多いです。自社のM&Aの目的に合った専門分野を持つブティックを選びましょう。例えば、事業承継に特化したブティックや、クロスボーダーM&Aに特化したブティックなどがあります。
実績M&Aブティックの実績や、過去のM&A案件の成功事例を確認しましょう。ニッチな分野に特化したブティックは、その分野での豊富な実績とノウハウを持っている可能性が高いです。
独立性独立系のM&Aブティックは、特定の金融機関や企業の影響を受けずに、中立的な立場でアドバイスを提供することができます。公平なアドバイスを求める場合は、独立系のブティックが適しています。

4.4 会計事務所・税理士法人の選び方

会計事務所・税理士法人は、財務デューデリジェンスや税務アドバイス、M&A後の税務申告などをサポートします。M&Aにおける財務・税務面の専門家として重要な役割を担います。

4.4.1 会計事務所・税理士法人の選び方
M&Aに関する経験M&Aの経験が豊富な会計事務所・税理士法人は、M&A特有の税務処理や財務デューデリジェンスに精通しています。M&Aの経験の有無を確認しましょう。
専門性M&Aに特化した専門チームや、国際税務に精通した専門家がいるかを確認しましょう。クロスボーダーM&Aを検討している場合は、国際税務の専門家が不可欠です。
ネットワーク他の専門家とのネットワークが豊富な会計事務所・税理士法人は、必要に応じて弁護士や司法書士などの専門家を紹介してもらうことができます。
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4.5 法律事務所の選び方

法律事務所は、M&A契約書の作成やレビュー、法的デューデリジェンス、各種法的手続きなどをサポートします。M&Aにおける法的リスクを最小限に抑えるために不可欠な存在です。

4.5.1 法律事務所を選ぶ際のポイント
M&Aに関する経験M&Aや企業法務に精通した弁護士が在籍している法律事務所を選びましょう。M&Aの経験が豊富な弁護士は、M&A特有の法的な問題点やリスクを把握しています。
専門性M&Aに特化した専門チームや、特定の業界に精通した弁護士がいるかを確認しましょう。例えば、医療業界のM&Aを検討している場合は、医療法に精通した弁護士が在籍している法律事務所が適しています。
国際対応クロスボーダーM&Aを検討している場合は、国際法務に精通した弁護士が在籍している法律事務所を選びましょう。海外の法律事務所とのネットワークを持っていることも重要なポイントです。

それぞれのM&Aアドバイザーは得意分野や専門性が異なるため、M&Aの目的や規模、業種などを考慮し、最適なアドバイザーを選びましょう。複数のアドバイザーを組み合わせることで、より効果的なM&Aを実現できる可能性があります。

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5. M&Aアドバイザーとの面談のポイント

M&Aアドバイザーを選ぶ上で、面談は非常に重要なプロセスです。面談を通して、アドバイザーの専門性や相性、企業文化などを確認し、自社との適合性を判断します。ここでは、M&Aアドバイザーとの面談を効果的に行うためのポイントを解説します。


5.1 準備すべき事項

面談をスムーズに進め、有益な情報を得るためには、事前の準備が不可欠です。以下の事項を準備することで、面談の質を高めることができます。

5.1.1 自社の現状分析

M&Aの目的、自社の強み・弱み、財務状況、事業計画などを整理しておきましょう。これらを明確にすることで、アドバイザーに適切なアドバイスを求めることができます。

5.1.2 M&Aに関する情報収集

M&Aの基本的な知識や業界の動向、類似のM&A事例などを事前に調べておくことで、アドバイザーとの議論を深めることができます。日本M&AセンターやストライクなどのM&A情報サイトを活用するのも有効です。

5.1.3 質問事項のリストアップ

疑問点や確認したい事項をリスト化しておきましょう。面談中に忘れてしまうことを防ぎ、効率的に情報収集できます。


5.2 確認すべき事項

面談では、アドバイザーの能力や経験、費用、相性などを多角的に確認することが重要です。以下の項目を参考に、質問を準備しましょう。

確認事項 具体的な質問例
実績と経験
  • 過去の実績(成約件数、規模、業種など)は?
  • PMI(Post Merger Integration、合併後統合)の支援経験は?
  • 自社と類似のM&Aの経験は?
専門性
  • 得意とする業種やM&Aの種類は?
  • 専門家チームの構成は?(弁護士、会計士、税理士など)
  • デューデリジェンスの進め方は?
費用体系
  • 料金体系(着手金、中間金、成功報酬など)は?
  • 費用の内訳は?
  • 追加費用の可能性は?
相性・信頼性
  • 担当者の対応は迅速かつ丁寧か?
  • 経営理念や企業文化は自社と合うか?
  • 長期的な関係を築けそうか?
その他
  • M&Aプロセスにおける役割分担は?
  • 秘密保持に関するポリシーは?
  • 想定されるリスクと対応策は?
  • 競合他社の状況は?

5.3 面談後の対応

面談後は、各アドバイザーの提案内容や印象を比較検討し、自社にとって最適なパートナーを選びましょう。面談内容を記録し、比較表を作成するのも有効です。また、疑問点があれば、再度面談を設定したり、メールで問い合わせたりして解消しておきましょう。最終的には、実績、専門性、費用だけでなく、信頼関係を築けるアドバイザーを選ぶことが重要です。複数のアドバイザーと面談し、慎重に検討することで、M&Aを成功に導く適切なパートナーを見つけられるでしょう。


6. まとめ

M&Aアドバイザーは、M&Aを成功させるための重要なパートナーです。M&Aのプロセスは複雑で専門的な知識が必要となるため、アドバイザーの選定は慎重に行うべきです。この記事では、M&Aアドバイザーの選び方について、中小企業経営者が知っておくべきポイントを解説しました。

M&Aアドバイザーには、FA、仲介会社、M&Aブティック、会計事務所、法律事務所など様々な種類があります。それぞれ得意分野や費用体系が異なるため、自社のニーズに合ったアドバイザーを選ぶことが重要です。実績と経験、専門性、費用体系の透明性などを基準に、複数のアドバイザーを比較検討しましょう。

面談時には、準備すべき事項や確認すべき事項を事前に整理し、アドバイザーとの相性も確認することが大切です。最適なM&Aアドバイザーを選ぶことで、M&Aを成功に導き、企業価値の向上を目指しましょう。

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