PMIでの法務・コンプライアンス考慮事項!M&A担当者必見!
M&A後のPMI(Post Merger Integration:経営統合)において、法務・コンプライアンスを軽視すると、予期せぬ訴訟リスクや企業価値の毀損に繋がることがあります。本記事では、PMIにおける法務・コンプライアンスの重要性を踏まえ、デューデリジェンスのポイントや体制統合における具体的な方法、そして、よくある問題と対策を解説します。
M&A担当者はもちろん、PMIに関わる全ての方にとって、スムーズかつ安全な統合プロセスを実現するための必読書と言えるでしょう。
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編集者の紹介
株式会社M&A PMI AGENT
代表取締役 日下部 興靖
上場企業のグループ会社の取締役を4社経験。M&A・PMI業務・経営再建業務などを10年経験し、多くの企業の業績改善を行ったM&A・PMIの専門家。3か月のPMIにて期首予算比で売上1.8倍、利益5倍などの実績を持つ。
1. PMIにおける法務・コンプライアンスの重要性
M&A(合併・買収)後のPMI(Post Merger Integration:統合プロセス)において、法務とコンプライアンスは、統合の成否を左右する重要な要素です。
PMIは、単なる企業結合ではなく、異なる企業文化、組織構造、ビジネス慣習を持つ組織を統合し、シナジー効果を生み出すプロセスです。この過程で、法務・コンプライアンス上の問題が発生すると、訴訟リスク、レピュテーションリスク、財務リスクなど、企業価値を毀損する重大な事態に発展する可能性があります。
PMIにおける法務・コンプライアンスの重要性は、以下の3つの観点から説明できます。
1.1 リスクの予防と軽減
PMIは、企業にとって大きな変化を伴うプロセスであり、様々な法務・コンプライアンスリスクが潜んでいます。例えば、買収対象会社の法令違反や不正行為が判明した場合、多額の制裁金や損害賠償金の支払い義務が生じる可能性があります。
また、統合後の組織体制や業務プロセスが法令に適合していない場合、行政処分や業務停止命令を受ける可能性もあります。さらに、従業員による不正行為や情報漏洩が発生した場合、企業のレピュテーションや顧客からの信頼を失墜させる可能性があります。PMIにおける法務・コンプライアンス体制の構築は、これらのリスクを未然に防ぎ、企業価値を守るために不可欠です。
1.2 統合の円滑化
異なる企業文化や組織体制を持つ企業同士の統合は、スムーズに進むとは限りません。特に、法務・コンプライアンスに関する認識や慣習が異なる場合、統合プロセスにおいて摩擦が生じやすくなります。
例えば、契約書の締結プロセス、コンプライアンス教育の内容、内部通報制度の運用方法などが異なる場合、混乱や誤解が生じ、統合の遅延や失敗につながる可能性があります。PMIにおいて、事前に法務・コンプライアンスに関する統一的なルールを策定し、周知徹底しておくことは、統合プロセスを円滑に進めるために重要です。
1.3 シナジー効果の最大化
PMIの目的は、企業価値を高めるシナジー効果を生み出すことです。しかし、法務・コンプライアンスリスクが存在する場合、シナジー効果を最大限に発揮できない可能性があります。例えば、買収対象会社の法務・コンプライアンス体制が脆弱な場合、統合後の事業展開において制約を受ける可能性があります。
また、従業員が法令遵守意識や倫理観を欠いている場合、不正行為やコンプライアンス違反が発生し、企業価値を毀損する可能性があります。PMIにおいて、法務・コンプライアンスを重視した統合プロセスを進めることは、シナジー効果を最大化するために不可欠です。
1.4 具体的に考慮すべき法務・コンプライアンス事項
PMIにおいて具体的に考慮すべき法務・コンプライアンス事項は多岐にわたりますが、主なものとしては以下が挙げられます。
分野 | 具体的な考慮事項 |
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契約関係 |
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労働関係 |
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知的財産 |
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個人情報保護 |
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独占禁止法 |
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コンプライアンス体制 |
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PMIにおける法務・コンプライアンスは、企業の持続的な成長を支える基盤となります。企業は、PMIの各段階において、法務・コンプライアンスの専門家の助言を得ながら、適切な対応策を講じていく必要があります。
2. PMIにおける法務デューデリジェンスのポイント
PMIにおける法務デューデリジェンスは、M&A取引のリスクを最小限に抑え、統合プロセスを円滑に進めるために不可欠です。ここでは、PMIにおける法務デューデリジェンスの主要なポイントを紹介します。
【関連】法務デューデリジェンスとは?目的・確認事項・進め方【初心者向け】2.1 契約書・規程類の確認
対象会社の権利義務関係やコンプライアンス状況を把握するために、契約書・規程類のレビューは非常に重要です。具体的には、以下の様な確認を行います。
確認事項 | 詳細 | 留意点 |
---|---|---|
売買契約書等の重要な契約書 | 契約当事者、契約期間、契約内容、解除条項、表明保証条項などを確認します。特に、M&A契約における表明保証条項との整合性や潜在的なリスクを精査する必要があります。 | 契約書の内容によっては、専門家のサポートが必要となる場合があります。 |
取引先との契約書(売買契約、業務委託契約など) | 契約期間、契約内容、取引条件、解除条項などを確認し、M&A後も継続可能かどうか、再交渉が必要かどうかを判断します。特に、独占契約や競業避止義務に関する条項は、PMI後の事業計画に影響を与える可能性があります。 | 契約書の変更や解約に関する費用や手続きについても確認が必要です。 |
従業員との雇用契約書、就業規則 | 雇用条件、給与体系、退職金制度、競業避止義務などを確認し、M&A後の統合における課題やリスクを洗い出します。特に、労働組合の存在や団体交渉の必要性についても確認が必要です。 | 労働法に関する専門家のサポートが必要となる場合があります。 |
許認可証、登録証 | 対象会社の事業に必要な許認可証や登録証が全て揃っているか、有効期限はいつまでかを確認します。M&A後に事業を継続するために必要な許認可が不足している場合は、取得手続きが必要になります。 | 許認可の取得には時間と費用がかかるため、事前に確認しておくことが重要です。 |
社内規程(コンプライアンスマニュアル、内部統制規程など) | 対象会社のコンプライアンス体制や内部統制の状況を把握します。特に、反社会的勢力排除、贈収賄防止、個人情報保護などに関する規程は、M&A後の統合においても重要な要素となります。 | 既存の規程を統合する際の手順や、従業員への周知方法なども検討する必要があります。 |
2.2 従業員に関する事項
従業員は企業にとって重要な資産です。M&A後のスムーズな事業統合のため、従業員に関する以下の事項についてデューデリジェンスを実施します。
確認事項 | 詳細 | 留意点 |
---|---|---|
従業員数、年齢構成、勤続年数、スキルマップ | 従業員の全体像を把握し、M&A後の組織統合や人材配置計画に役立てます。特に、キーパーソンの存在や退職リスクなどを分析する必要があります。 | 従業員に関するデータは、個人情報保護法に配慮して取り扱う必要があります。 |
給与水準、賞与制度、退職金制度、福利厚生制度 | 買収企業と被買収企業間で給与水準や福利厚生に差がある場合、従業員のモチベーション低下や離職に繋がる可能性があります。統合後の待遇や制度設計について事前に検討する必要があります。 | 退職金制度の統合は複雑な場合があり、専門家のサポートが必要となるケースもあります。 |
労働組合の有無、団体交渉協定の内容 | 労働組合が存在する場合、M&A後の統合プロセスにおいて、労働組合との交渉が必要となる場合があります。団体交渉協定の内容を確認し、統合後の影響を分析する必要があります。 | 労働組合との関係構築は重要であり、事前にコミュニケーション計画を策定しておくことが重要です。 |
過去の人事労務関連の訴訟やトラブルの有無 | 過去に労働問題やハラスメント問題などが発生している場合、M&A後に同様のトラブルが発生するリスクがあります。原因究明を行い、再発防止策を検討する必要があります。 | 訴訟やトラブルの内容によっては、専門家のサポートが必要となる場合があります。 |
2.3 知的財産権の確認
知的財産権は、企業の競争優位性を築く上で重要な要素です。M&Aにおいては、以下の様な知的財産権に関するデューデリジェンスを実施します。
確認事項 | 詳細 | 留意点 |
---|---|---|
特許権、実用新案権、意匠権、商標権の有無、内容、権利範囲 | 対象会社が保有する知的財産権の内容や権利範囲を把握し、M&A後の事業への影響を分析します。特に、重要な知的財産権が第三者に侵害されていないかを確認する必要があります。 | 権利化されていない技術やノウハウについても、保護の方法を検討する必要があります。 |
著作権、ノウハウ、営業秘密などの保護状況 | 契約書や社内規程などにより、適切に保護されているかを確認します。M&A後の事業継続にあたり、重要な知的財産権が流出するリスクを最小限に抑える必要があります。 | 従業員に対する守秘義務契約の締結状況なども確認が必要です。 |
知的財産権に関する訴訟や紛争の有無 | 過去に知的財産権に関する訴訟や紛争が発生している場合、M&A後に同様のトラブルが発生するリスクがあります。原因究明を行い、再発防止策を検討する必要があります。 | 訴訟や紛争の内容によっては、専門家のサポートが必要となる場合があります。 |
知的財産権の利用許諾契約の有無、内容 | 対象会社が第三者から知的財産権の利用許諾を受けている場合、M&A後もその許諾契約が継続されるかを確認する必要があります。継続されない場合は、代替案を検討する必要があります。 | 許諾契約の内容によっては、M&A後の事業に制限がかかる可能性があります。 |
2.4 許認可・届出の確認
事業によっては、法令に基づき、許認可の取得や届出が必要となる場合があります。M&Aにおいては、以下の様な許認可・届出に関するデューデリジェンスを実施します。
確認事項 | 詳細 | 留意点 |
---|---|---|
事業に必要な許認可・届出の有無 | 対象会社の事業内容に応じて、必要な許認可・届出が全て揃っているかを確認します。M&A後に事業を継続するために必要な許認可が不足している場合は、取得手続きが必要になります。 | 許認可の取得には時間と費用がかかるため、事前に確認しておくことが重要です。 |
許認可・届出の有効期限 | 取得済みの許認可・届出について、有効期限がいつまでかを確認します。有効期限が切れている場合は、更新手続きが必要になります。 | 更新手続きには、一定の期間や費用がかかる場合があります。 |
許認可・届出に関する法令遵守状況 | 許認可・届出に関する法令が遵守されているかを確認します。法令違反がある場合は、是正措置が必要になります。 | 法令違反の内容によっては、行政処分を受ける可能性があります。 |
これらのデューデリジェンス項目はあくまで一般的なものであり、個々のM&A案件によって、確認すべき事項は異なります。専門家のサポートを得ながら、適切なデューデリジェンスを実施することが重要です。
【関連】M&Aで失敗しないデューデリジェンス!目的・種類・費用は?【前編】3. PMIにおけるコンプライアンス体制の統合
PMIにおいては、買収企業と被買収企業の企業文化や価値観、ビジネス慣習の違いを乗り越え、統合後の新たな企業グループとしての一体性を確立していくことが重要となります。これは、コンプライアンス体制においても同様です。統合プロセスにおいては、以下の点を考慮し、統一されたコンプライアンス体制を構築していく必要があります。
3.1 コンプライアンス方針・規程の統合
買収企業と被買収企業それぞれにコンプライアンス方針や規程が存在する場合、統合後の新しい企業グループに則した内容に統合する必要があります。その際、以下の点を考慮する必要があります。
両社のコンプライアンス方針・規程の内容を比較し、差異点を明確にする | |
統合後の企業グループの事業内容や規模、リスク特性などを踏まえ、最適なコンプライアンス方針・規程の内容を検討する | |
統合後のコンプライアンス方針・規程を、従業員に対して周知徹底する |
3.2 コンプライアンス教育の実施
統合後の新しいコンプライアンス方針・規程に基づき、従業員に対してコンプライアンス教育を実施する必要があります。特に、被買収企業の従業員に対しては、買収企業の企業文化やコンプライアンスに対する考え方などを理解してもらうことが重要です。コンプライアンス教育の内容としては、以下の点が挙げられます。
コンプライアンスの重要性 | |
コンプライアンス違反が発生した場合の影響 | |
具体的なコンプライアンス違反事例 | |
コンプライアンスに関する相談窓口 |
また、階層別研修やテーマ別研修などを実施し、従業員の理解を深めることも効果的です。
3.3 内部通報制度の整備
コンプライアンス違反を早期に発見・是正するためには、従業員からの通報を受け付ける内部通報制度の整備が不可欠です。統合後の企業グループにおいては、以下の点を考慮して内部通報制度を整備する必要があります。
3.3.1 内部通報窓口の一元化買収企業と被買収企業それぞれに内部通報窓口が存在する場合、窓口を一元化することで、従業員がより通報しやすい環境を作る必要があります。窓口の一元化にあたっては、言語対応なども考慮する必要があります。
3.3.2 通報者の保護通報者が不利益な扱いを受けることがないよう、通報者の秘密を厳守する仕組みを構築する必要があります。具体的には、通報者の氏名などの個人情報を適切に管理する体制を整備する必要があります。
3.3.3 通報内容の調査通報された内容について、迅速かつ適切に調査を行う体制を整備する必要があります。調査の結果、コンプライアンス違反が認められた場合には、厳正な処分を行うとともに、再発防止策を講じる必要があります。
3.4 リスクアセスメントの実施
統合後の企業グループにおけるコンプライアンスリスクを洗い出し、評価するリスクアセスメントを実施する必要があります。リスクアセスメントの結果に基づき、リスクの高い分野から優先的に、コンプライアンス体制の強化を図る必要があります。
リスクアセスメントの実施にあたっては、以下の点を考慮する必要があります。
統合後の企業グループの事業内容や規模、リスク特性などを踏まえる | |
法令改正や社会情勢の変化などを踏まえ、定期的にリスクアセスメントの内容を見直す | |
リスクアセスメントの結果を、コンプライアンス体制の整備・運用に反映させる |
PMIにおけるコンプライアンス体制の統合は、容易な作業ではありませんが、統合後の企業グループが健全な経営を継続していくためには、非常に重要なプロセスです。買収企業と被買収企業が協力し、時間をかけて、統合後の企業グループにとって最適なコンプライアンス体制を構築していくことが重要です。
4. PMIにおけるよくある法務・コンプライアンス問題と対策
PMIは、企業文化や法務・コンプライアンス体制が異なる企業同士が統合するプロセスであるため、様々な法務・コンプライアンス上の問題が発生する可能性があります。ここでは、PMIにおけるよくある法務・コンプライアンス問題と、その対策について詳しく解説します。
4.1 労働問題
企業文化や雇用慣行の違いから、労働問題が発生するケースは少なくありません。特に、以下の点には注意が必要です。
4.1.1 労働条件の統一統合前の両社の労働条件に差異がある場合、統一化が求められます。労働時間、賃金、休日、福利厚生など、統合後の新たな基準を設定する必要があります。労働基準法などの関連法令に準拠し、不利益変更とならないよう、十分に検討する必要があります。
4.1.2 人事制度の統合評価制度、昇進・昇格制度など、人事制度も統合する必要があります。統合に伴い、従業員の処遇が不利益にならないよう、透明性のある制度設計が重要となります。
4.1.3 雇用維持と整理解雇PMIに伴い、事業の選択と集中や業務効率化のために、人員整理が必要となる場合があります。整理解雇を行う場合は、労働基準法上の要件を満たしている必要があり、客観的で合理的な理由と、解雇回避努力が求められます。また、希望退職者を募集する場合も、募集条件や手続きについて、法的に問題がないか確認する必要があります。
4.2 個人情報保護法違反
PMIでは、顧客情報や従業員情報など、大量の個人情報が取り扱われます。個人情報保護法違反のリスクを最小限に抑えるためには、以下の対策が重要です。
4.2.1 個人情報保護体制の統合統合後の新たな個人情報保護方針を策定し、個人情報保護管理者を設置するなど、個人情報保護体制を早期に統合する必要があります。また、個人情報の取扱いに関する社内規程を整備し、従業員への教育を徹底する必要があります。
4.2.2 個人データの統合と管理統合に伴い、顧客データベースや人事データベースなども統合する必要があります。個人データの移転や統合を行う際には、個人情報保護法に基づいた手続きを踏む必要があります。また、統合後の個人データの保管場所やアクセス権限を見直し、セキュリティ対策を強化する必要があります。
4.2.3 プライバシーポリシーの改定統合後の事業内容や個人情報の利用目的などを反映した、新たなプライバシーポリシーを策定する必要があります。ウェブサイトやサービス利用規約などで、プライバシーポリシーを公開する必要があります。
4.3 独占禁止法違反
PMIによって市場における競争が制限され、独占禁止法違反となる可能性があります。統合前に、公正取引委員会への届出が必要となるケースもあります。
4.3.1 市場シェアの確認統合後の市場シェアが大きくなりすぎる場合は、独占禁止法上の問題となる可能性があります。事前に市場調査を行い、競合他社の状況などを把握しておく必要があります。
4.3.2 競争制限的な行為の禁止統合後も、価格カルテルや顧客の囲い込みなど、競争制限的な行為を行ってはいけません。公正取引委員会のガイドラインなどを参照し、独占禁止法遵守を徹底する必要があります。
4.4 腐敗防止
PMIでは、贈収賄や利益相反など、腐敗リスクが高まる可能性があります。透明性と倫理性を確保するために、以下の対策が重要です。
4.4.1 腐敗防止体制の統合統合後の新たな腐敗防止方針を策定し、従業員への教育を徹底する必要があります。また、贈答や接待に関する社内ルールを明確化し、違反行為に対しては厳正な処分を行うなど、実効性のある体制を構築する必要があります。
4.4.2 内部通報制度の整備従業員が安心して不正行為を報告できるよう、内部通報制度を整備する必要があります。通報窓口の設置や保護規定の整備などを行い、通報者への報復措置を禁止する必要があります。
4.4.3 リスクアセスメントの実施PMIに伴う腐敗リスクを特定し、適切なコントロールを検討するために、リスクアセスメントを実施する必要があります。リスクの高い取引や部門などを特定し、重点的にモニタリングや監査を行うなど、リスクに応じた対策を講じる必要があります。
4.5 その他の法務・コンプライアンス問題
上記の他にも、PMIにおいては、以下のような法務・コンプライアンス問題が発生する可能性があります。
問題 | 内容 |
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知的財産権の承継 | 統合に伴い、特許権や商標権などの知的財産権を適切に承継する必要があります。契約書や登録情報の変更手続きなど、必要な法的措置を講じる必要があります。 |
契約関係の整理 | 統合対象会社の取引先との契約関係を整理し、統合後の契約条件などを決定する必要があります。契約の解約や変更に伴う違約金なども考慮する必要があります。 |
訴訟リスクの把握 | 統合対象会社が抱える訴訟リスクを把握し、適切な対応策を検討する必要があります。係争中の訴訟や潜在的な訴訟リスクなど、事前に調査しておく必要があります。 |
環境規制への対応 | 統合対象会社の事業内容によっては、環境関連法令の遵守状況を確認する必要があります。工場や事業所の環境汚染対策など、必要な措置を講じる必要があります。 |
これらの問題に対しては、専門家のアドバイスを受けながら、適切な対策を講じることが重要です。弁護士や会計士、税理士などの専門家に相談し、法務・コンプライアンスリスクを最小限に抑えるように努めましょう。
5. まとめ
PMIにおける法務・コンプライアンスへの対応は、M&A後の事業統合を成功させるために非常に重要です。デューデリジェンスでリスクを洗い出し、適切な対策を講じることで、訴訟リスクや事業損失を最小限に抑えられます。また、統合後のコンプライアンス体制の構築も重要です。組織文化の違いを考慮しながら、統一された方針・規程の策定、教育の実施、内部通報制度の整備などを行い、法令遵守の意識を浸透させることが重要です。