PMI(Post Merger Integration)業務に役立つ実践ツールとは?【前編】

PMI(Post Merger Integration)業務に役立つ実践ツールとは?【前編】

PMI(Post Merger Integration)は、M&A後の成否を分ける重要なプロセスです。しかし、異なる企業文化や業務プロセスを統合するには、多くの課題が伴います。

本記事では、【前編】【後編】に分けて、PMIを成功に導くための実践的なツールを、情報共有、業務プロセス統合、組織文化統合の3つの観点からご紹介します。

チャットツールやプロジェクト管理ツール、RPAツールなど、具体的なツール名や導入事例を交えながら解説していくので、自社に最適なツール選定の参考になるはずです。

PMI業務の効率化、そしてM&A後のシナジー創出にお役立てください。

【※注意事項】この記事で紹介している各種サービスの内容は、この記事を作成日の段階での情報となります。変更される場合もありますので、各サービスサイトにてご確認ください。

PMI支援サービスはこちら
1. M&A後のPMI(Post Merger Integration)とは?
icon
M&Aとは、Mergers and Acquisitionsの略で、日本語では企業の合併・買収を意味します。そして、M&A後のPMI(Post Merger Integration)とは、合併・買収後の統合プロセスを指します。
PMIは、M&Aの成功を左右する重要なプロセスであり、その目的は、2つの企業の経営資源や組織文化を統合し、シナジー効果を最大化することです。

1.1 PMIの3つの統合プロセス PMIは、大きく分けて以下の3つの統合プロセスに分類されます。

統合プロセス内容
組織統合 人事制度、給与体系、評価制度など、両社の組織構造を統合します。統合に伴い、新たな組織体制や役割分担を明確にし、従業員への説明や配置転換などを実施します。
業務統合 生産、販売、物流、経理など、両社の重複する業務を統合し、効率化を図ります。業務プロセスやシステムの標準化、統合後の業務フローの設計などが行われます。
システム統合 基幹システムや情報システムなど、両社のシステムを統合します。システムの選定、データ移行、運用体制の構築などが行われます。

1.2 PMIの進め方 PMIは、一般的に以下の流れで進められます。

1.計画フェーズ M&A契約締結後、速やかにPMI計画を策定します。統合後の企業ビジョンや戦略、統合スケジュール、組織体制、統合における課題やリスクなどを明確にします。

2.実行フェーズ 計画に基づき、具体的な統合活動を行います。組織統合、業務統合、システム統合など、多岐にわたる統合活動を、計画に沿って実行していきます。

3.安定化フェーズ 統合活動を完了し、新たな体制で安定的な事業運営を目指します。統合後の業績モニタリング、課題への対応、組織文化の融合などを推進します。

1.3 PMIが重要な理由
icon
PMIが重要な理由は、M&Aの成否を大きく左右するからです。PMIが適切に行われなければ、期待したシナジー効果が得られないばかりか、以下のようなリスクが生じる可能性があります。
PMIの失敗によるリスク
従業員のモチベーション低下
顧客の離反
ブランドイメージの低下
統合コストの増大
訴訟リスク
PMIを成功させるためには、綿密な計画と、関係者間のコミュニケーション、そして、統合プロセスを円滑に進めるための適切なツールや手法の導入が不可欠です。

【関連】PMIコンサルティングとPMIエージェントの違いとは?PMI支援を頼む前に知るべき内容

2. PMI業務における課題と解決策 M&A後のPMI(Post Merger Integration)は、企業価値向上のための重要なプロセスですが、多くの課題が存在します。それぞれの課題に対して、適切な解決策を講じる必要があります。

2.1 統合計画の策定 課題
統合目標やシナジー効果が明確になっていない
統合プロセスが複雑で、関係部署間での連携が不足している
時間やリソースが不足している

解決策
買収の目的や統合後のビジョンを明確化し、具体的な目標を設定する
関係部署からなる統合推進チームを立ち上げ、責任と権限を明確にする
プロジェクト管理ツールを活用し、進捗状況や課題を共有する
外部のPMI支援会社の活用も検討する

2.2 組織文化の統合 課題
企業文化や価値観の違いにより、従業員の間に摩擦や混乱が生じる
コミュニケーション不足により、不信感や不安感が高まる

解決策
経営層が率先して、統合後の企業文化やビジョンを明確に示す
従業員同士の交流機会を設け、相互理解を深める
社内コミュニケーションツールやイベントなどを活用し、積極的な情報共有を促進する
人事制度や評価制度を統合し、公平性を担保する

2.3 業務プロセス・システムの統合 課題
業務プロセスやシステムの重複や非効率が生じる
システム統合に伴うコストやリスクが大きい

解決策
現状分析を行い、最適な業務プロセスやシステムを設計する
段階的な統合計画を策定し、リスクを最小限に抑える
システム統合の専門家の知見を活用する
従業員への十分なトレーニングを実施する

2.4 コミュニケーション 課題
統合プロセスや今後の見通しに関する情報が従業員に十分に伝わらない
従業員からの意見や不安を吸い上げる仕組みがない

解決策
統合に関する情報を集約し、従業員向けポータルサイトなどを活用して発信する
経営層や統合推進チームによる説明会や対話集会を定期的に開催する
従業員からの質問や意見を収集する窓口を設置する

2.5 人材マネジメント 課題
統合による人員整理や配置転換が発生する可能性がある
優秀な人材の流出

解決策
統合後の組織構造や人員計画を早期に策定し、従業員に丁寧に説明する
従業員のスキルや経験を活かせるような配置転換を行う
従業員のキャリアパスを明確化し、研修や自己啓発の機会を提供する
従業員のモチベーション維持とエンゲージメント向上に取り組む

2.6 PMIの成功には、これらの課題を克服することが重要です。 そのためには、経営層がリーダーシップを発揮し、全社一丸となってPMIに取り組む体制を構築することが不可欠です。また、外部の専門家の知見やツールを活用することも有効です。

3. PMI支援のプロの独自ツール M&A後のPMI(Post Merger Integration)を成功させるには、統合プロセスを円滑に進め、さまざまな課題を解決するための適切なツールや戦略が不可欠です。

近年、PMI支援を専門とするコンサルティング会社やIT企業が、独自のノウハウや経験に基づいた実践的なツールをクライアントに提供しており、企業の間で注目を集めています。

これらの独自ツールは、一般的なプロジェクト管理ツールやコミュニケーションツールとは一線を画し、PMI特有の課題やニーズに対応できるよう設計されています。

icon
当社でも独自のツール数種類を活用し、PMI支援の際にはクライアントに合わせてカスタマイズし、PMIの効率化を高めています。このようなツールを使うことでM&A後の成長に大きく影響するため、費用対効果を考えても100日プランの期間だけでもPMI支援会社の活用をオススメしています。
【関連】PMIの100日プランとは?具体的な作業内容、費用、M&A後の成功に導くポイントを解説

例えば 統合シナジーの実現に向けた進捗管理・コミュニケーションの促進・文化の違いによる摩擦の軽減など、多岐にわたる機能が搭載されている点が特徴です。

経験がないままPMIを行うのと、経験に裏打ちされたツールを活用するのでは、対象企業のその後の業績にも大きく影響する可能性があります。

3.1 独自ツールの種類と機能 PMI支援のプロが提供する独自ツールは、その目的や機能によって大きく以下の3つに分類できます。

統合プロセス管理ツール M&A後の統合プロセス全体を可視化し、進捗状況や課題をリアルタイムに把握するためのツールです。統合計画の策定から実行・モニタリング・評価まで、一元的に管理することができます。主な機能は以下の通りです。

統合計画の策定・管理 統合計画の立案、タスク管理、スケジュール管理、進捗状況の可視化などが行えます。ガントチャートカンバン方式など、視覚的にわかりやすいインターフェースを採用しているツールも多いです。

シナジー効果の測定・分析 売上増加やコスト削減など、統合によって期待されるシナジー効果を、定量的に測定・分析する機能です。統合の成果を可視化することで、PDCAサイクルを回しながら、より効果的なPMIを実現することができます。

リスク管理 統合プロセスにおける潜在的なリスクを特定し、対応策を検討するための機能です。リスク発生時の影響度や発生確率を分析し、優先順位をつけて対応することで、リスクを最小限に抑えることができます。

コミュニケーション・コラボレーションツール 統合プロセスに関わる関係者間のコミュニケーションを円滑にし、情報共有や共同作業を促進するためのツールです。部門や拠点、文化の異なる人々が集まるPMIにおいては、円滑なコミュニケーションが不可欠です。主な機能は以下の通りです。

セキュアな情報共有 機密性の高い情報も安全に共有できるよう、アクセス権限の設定や暗号化などのセキュリティ対策が施されています。統合プロセスでは、人事情報や顧客情報など取り扱いに注意が必要な情報も共有する必要があるため、セキュリティ対策は非常に重要です。

多言語対応 海外企業とのクロスボーダーM&Aでは、言葉の壁が大きな課題となります。多言語対応のコミュニケーションツールを導入することで、言葉の壁を乗り越え、スムーズなコミュニケーションを実現することができます。翻訳機能や多言語対応のチャット機能などを備えたツールもあります。

コミュニティ機能 統合後の社員同士が交流し、組織文化の融合を促進するためのコミュニティ機能を提供するツールもあります。掲示板やチャット、イベント情報などを共有することで、社員同士の相互理解を深め、一体感を醸成することができます。

組織文化統合支援ツール 企業文化や価値観の異なる組織を統合する上で発生する摩擦や抵抗を最小限に抑え、スムーズな組織文化統合を支援するためのツールです。主な機能は以下の通りです。

文化評価・分析 統合する企業の文化や価値観の違いを分析し、潜在的な摩擦ポイントを特定するための機能です。アンケート調査やインタビューなどを実施し、定量的なデータに基づいて文化の違いを可視化します。その上で、それぞれの文化の強みを活かしながら、新たな組織文化を構築するための計画策定を支援します。

従業員エンゲージメント向上 統合プロセスにおいて、従業員の不安や不満を解消し、エンゲージメントを高めるための機能です。統合に関する情報発信や意見交換の場を提供することで、従業員の不安や不信感を払拭し、統合への参加意識を高めることができます。

3.2 独自ツールの導入効果 PMI支援のプロの独自ツールを導入することで、以下のような効果が期待できます。

1.統合プロセス全体の効率化・可視化統合プロセス全体をシステム化することで、タスク管理や進捗状況の把握が容易になり、業務効率化につながります。また、統合プロセスを可視化することで、関係者全員が現状を共有し、共通認識を持って業務を進めることができます。
2.コミュニケーションの円滑化・活性化統合後の社員同士が気軽にコミュニケーションを取れる環境を整備することで、部門や拠点を超えた情報共有や連携が促進されます。また、経営層からのメッセージをタイムリーに発信することで、従業員の不安や不信感を解消し、統合に対する理解と協力を得ることができます。
3.組織文化統合の促進統合する企業の文化や価値観の違いを分析し、それぞれの文化の強みを活かしながら、新たな組織文化を構築することができます。また、統合後の社員同士の交流を促進することで、相互理解を深め、一体感を醸成することができます。
4.シナジー効果の最大化統合プロセスを効率的かつ効果的に進めることで、統合によるシナジー効果を早期に創出し、最大化することができます。統合による売上増加やコスト削減などの目標達成度を測定し、PDCAサイクルを回しながら、より効果的なPMIを実現することができます。

3.3 独自ツールの選定ポイント 数多くのPMI支援ツールが存在する中で、自社にとって最適なツールを選定するには、以下のポイントを考慮することが重要です。

選定ポイント詳細
機能性 自社のPMIの課題やニーズを明確化し、それらを解決できる機能が備わっているかを確認する必要があります。統合プロセス管理、コミュニケーション・コラボレーション、組織文化統合など、必要な機能を網羅しているか、自社の規模や業種に適した機能が搭載されているかなどを検討しましょう。
使いやすさ 統合プロセスに関わるメンバーは、ITスキルに長けているとは限りません。直感的に操作できる分かりやすいインターフェースであるか、導入後のサポート体制が充実しているかなどを確認しましょう。
費用対効果 導入費用だけでなく、運用費用や保守費用なども含めたトータルコストで評価する必要があります。無料トライアルやデモ版などを利用して、実際に使い勝手を試してから導入を検討することも有効です。
セキュリティ PMIでは、機密性の高い情報を取り扱うことが多いため、セキュリティ対策は非常に重要です。アクセス権限の設定やデータの暗号化など、セキュリティ対策が万全であるかを確認しましょう。ISMS認証やプライバシーマークを取得しているかなども参考になります。
拡張性・柔軟性 M&A後の企業規模や事業内容の変化に合わせて、ツールを柔軟に拡張・カスタマイズできるかを確認しましょう。API連携が可能であるか、将来的な機能追加やアップデートの予定なども確認しておくとよいでしょう。
実績・評判 実際にそのツールを導入した企業の事例や評判を参考にしましょう。導入事例や顧客の声などを参考に、自社と同様の課題やニーズを抱える企業が、どのようにツールを活用して成果を上げているのかを把握することが重要です。

3.4 プロの独自ツールまとめ
icon
PMI支援のプロの独自ツールはM&A後の統合プロセスを効率化し、シナジー効果の最大化を支援する上で、非常に有効な手段となります。自社の課題やニーズに合ったツールを導入することで、PMIを成功に導くことができるでしょう。
4. 情報共有に役立つツール PMIにおいて、関係者間の円滑な情報共有は非常に重要です。統合プロセスは複雑で、多くの関係者が関与するため、リアルタイムな情報共有が不可欠となります。

情報共有不足は、誤解、遅延、非効率性を招き、最終的にPMIの失敗につながる可能性があります。適切な情報共有ツールを導入することで、これらのリスクを軽減し、統合プロセスを円滑に進めることができます。

4.1 チャットツール チャットツールは、リアルタイムなコミュニケーションを可能にし、迅速な意思決定や問題解決に役立ちます。また、従来のメールに比べて、より円滑なコミュニケーションを促進し、チームメンバー間の距離を縮める効果も期待できます。

icon
当社としても自社ツールを除けば、まず最初に導入をすすめるのはこのチャットツールになります。それだけPMI関係者の情報共有が重要になるということです。
チャットツールのメリット
迅速なコミュニケーションリアルタイムなメッセージのやり取りが可能となり、迅速な情報共有を実現できます。
円滑なコミュニケーションメールよりも気軽にコミュニケーションを取ることができ、チームメンバー間の心理的な距離を縮める効果も期待できます。
情報共有の効率化ファイル共有やタスク管理などの機能が統合されており、情報共有を一元化できます。

チャットツールの選び方 チャットツールを選ぶ際には、以下の点を考慮すると良いでしょう。

セキュリティレベル
利用可能な機能(ファイル共有、ビデオ通話など)
他システムとの連携機能
価格
使い勝手の良さ

4.2 プロジェクト管理ツール
icon
統合プロセスは、複数のプロジェクトが同時並行で進行する複雑なものです。プロジェクト管理ツールは、タスク管理、スケジュール管理、進捗管理などを一元化することで、プロジェクト全体の可視化を実現し、関係者間での情報共有をスムーズにします。
統合プロセスにおける進捗状況や課題を共有することで、関係者全員が状況を把握し、適切な対応を取ることが可能になります。

こちらはエクセルやスプレットシートで管理する場合もありますが、セキュリティを考えると有料にはなりますがWEBシステムのものを選ぶ方がいいでしょう。

プロジェクト管理ツールのメリット
タスク管理の効率化タスクの進捗状況や担当者を一元管理することで、作業の抜け漏れや遅延を防ぎます。
スケジュール管理の共有プロジェクト全体のスケジュールを共有することで、関係者全員が最新の情報を確認できます。
進捗状況の可視化ガントチャートなどを用いて進捗状況を可視化することで、問題発生時の迅速な対応を可能にします。

プロジェクト管理ツールの選び方 プロジェクト管理ツールを選ぶ際には、以下の点を考慮すると良いでしょう。

プロジェクトの規模や複雑さに対応できる機能
使いやすさ
他システムとの連携機能
価格
情報共有を円滑にすることで、PMIを成功に導くための基盤を築くことができます。企業は、自社のニーズや状況に合わせて、最適な情報共有ツールを選定する必要があります。

5. 業務プロセス統合に役立つツール
icon
M&A後の企業統合において、業務プロセス統合は非常に重要なプロセスです。統合前の2社がそれぞれ異なる業務プロセスを持っている場合、統合後の業務プロセスをいかにスムーズに統一していくかが、統合後の企業の成長を大きく左右します。
業務プロセスを可視化し、標準化、簡素化することで、業務効率の向上、コスト削減、そして従業員の負荷軽減を実現することができます。

こうした業務プロセス統合を強力にサポートしてくれるのが、BPMツールとRPAツールです。

5.1 BPMツール BPMツールとは BPMツールとは、Business Process Managementツールの略称で、業務プロセスを可視化し、分析・設計・実行・監視・改善までを一元的に管理するためのツールです。

BPMツールを活用することで、現状の業務プロセスの問題点を明確化し、改善策を検討・実行・評価することができます。

結果として、業務の効率化や標準化・自動化によるコスト削減・業務の属人化の解消といった効果が期待できます。

BPMツールの機能 BPMツールには、多くの機能が搭載されていますが、主な機能は以下の通りです。

プロセスモデリング機能業務プロセスをフローチャートで可視化します。業務フローの全体像を把握できるため、問題点の発見や改善点の検討が容易になります。
業務フロー実行機能定義した業務プロセスに従って、タスクを自動的に割り当て、実行状況をリアルタイムに追跡・管理します。進捗状況の共有や遅延の防止に役立ちます。
アクセス権限管理機能ユーザーや部署ごとに、アクセスできる情報や実行できるタスクを制限できます。情報漏洩のリスクを抑制し、セキュリティを確保します。
シミュレーション機能業務プロセスの変更を加えた場合の結果をシミュレーションできます。変更による影響を事前に予測することで、リスクを最小限に抑えられます。
分析・レポート機能業務プロセスに関するデータを収集し、分析・レポートを作成します。ボトルネックの特定や改善策の効果検証に役立ちます。

BPMツールの導入メリット BPMツールを導入することで、企業は以下のようなメリットを得られます。

業務の効率化業務プロセスを標準化・自動化することで、業務の効率化を図り、人為的なミスを削減できます。
コスト削減業務の効率化や資源の最適化により、コスト削減を実現できます。
業務の可視化業務プロセスを可視化することで、問題点や改善点を明確化し、組織全体の業務プロセス最適化を促進できます。
コンプライアンス強化内部統制や法令遵守に対応した業務プロセスを構築、運用することで、コンプライアンスを強化できます。
顧客満足度向上業務プロセスを改善することで、顧客へのサービス提供の質が向上し、顧客満足度向上に繋がります。

BPMツールの選定ポイント BPMツールを選ぶ際には、以下のポイントを考慮することが重要です。

導入目的との適合性BPMツールを導入することで、どのような課題を解決したいのかを明確にし、その目的に合致した機能を持つツールを選ぶ必要があります。例えば、業務の可視化を目的とするならば、プロセスモデリング機能が充実したツールを選ぶべきです。
使いやすさ現場の担当者が抵抗なく使いこなせるよう、操作性やインターフェースが優れたツールを選ぶことが重要です。無料トライアルなどを活用し、実際に使い勝手を確認することが大切です。
コストパフォーマンス初期費用だけでなく、運用費用や保守費用なども考慮し、予算に見合ったツールを選ぶ必要があります。機能が豊富でも、高額で導入が難しい場合は、必要な機能を絞り込むなど、検討が必要です。
導入・運用サポート体制導入後のサポート体制が充実しているベンダーを選ぶことは、スムーズな導入と安定稼働のために重要です。特に、初めてBPMツールを導入する場合は、導入支援やトレーニングなどのサポートが充実しているベンダーを選ぶと安心です。
セキュリティ重要な業務情報を扱うため、セキュリティ対策が万全なツールを選ぶことは必須です。アクセス権限の設定やデータの暗号化など、セキュリティ機能が充実しているかを確認しましょう。

主なBPMツール 代表的なBPMツールをいくつかご紹介します。

ツール名ベンダー名特徴
Questetra BPM Suite 株式会社クエステトラ ノーコードで簡単に業務プロセスを設計、実行できるクラウド型BPMツール。直感的な操作で、プログラミングの知識がなくても利用できる。
intra-mart BPM 株式会社NTTデータ イントラマート 大規模な業務プロセスにも対応可能な、豊富な機能と高い拡張性を備えたBPMツール。Javaベースで開発されており、柔軟なカスタマイズが可能。
BizRobo! BPM Cloud オープングループ株式会社 RPAツールとの連携に強みを持つBPMツール。業務の自動化を推進したい企業におすすめ。
上記以外にも、多くのBPMツールが存在します。自社のニーズや課題に合わせて、最適なツールを選定することが重要です。BPMツールの導入は、業務プロセスを改善し、企業の競争力を強化するための有効な手段の一つと言えるでしょう。

5.2 RPAツール RPAツールとは RPAツールとは、「Robotic Process Automation」の略で、人間が行っている定型業務をソフトウェアロボットに代行させる自動化ツールです。

RPAツールは、従来、人間の手作業で行われていたデータ入力・データ集集・データ転記・ファイル作成・システム間連携などの定型業務を自動化することで、業務効率化、コスト削減・ヒューマンエラーの削減・従業員の業務負担軽減を実現します。

ホワイトカラーの業務効率化に大きく貢献する技術として注目されています。

RPAツールの種類 RPAツールは、主に以下の3つの種類に分類されます。

サーバー型RPAサーバーにインストールして利用するRPAツールです。複数のロボットを一元管理し、スケジューリング実行や集中管理が可能です。大規模な業務自動化に適しています。
デスクトップ型RPA従業員が使用するパソコンにインストールして利用するRPAツールです。導入コストが比較的安価で、手軽に導入できるのがメリットです。個別の業務自動化に適しています。
クラウド型RPAインターネット経由で利用するRPAツールです。サーバーやパソコンへのインストールが不要で、導入が容易なのが特徴です。月額課金制の料金体系であることが多く、初期費用を抑えることができます。中小企業や個人事業主にも導入しやすいRPAツールです。

RPAツールの機能 RPAツールには、様々な機能が搭載されていますが、代表的な機能は以下の通りです。

画面操作の記録・実行パソコンの画面操作を記録し、その操作を自動で再現する機能です。Webサイトへのログインやデータ入力など、定型的な画面操作を自動化できます。
Excel操作Excelファイルのデータ抽出、データ入力、集計、表計算、書式設定などを自動化する機能です。Excelを使った業務が多い現場で特に役立ちます。
メール処理メールの送受信、転送、添付ファイルの保存などを自動化する機能です。顧客からの問い合わせ対応など、メール処理が多い業務の効率化に貢献します。
OCR連携OCR(Optical Character Recognition)と連携し、紙文書の文字を読み取ってデータ化する機能です。紙文書の電子化やデータ入力の自動化に役立ちます。
AI連携AI(人工知能)と連携し、より高度な業務自動化を実現する機能です。例えば、AIによる画像認識や自然言語処理をRPAと組み合わせることで、従来は自動化が難しかった業務にも対応できるようになります。

RPAツールの導入メリット RPAツールを導入することで、企業は以下のようなメリットを得られます。

業務の効率化RPAツールによって定型業務を自動化することで、従業員はより創造的な業務に集中できるようになり、業務全体の効率化が期待できます。人材不足の解消にも貢献します。
コスト削減人件費削減・残業時間削減・ミスによる損失削減など、様々な面でコスト削減を実現できます。ROI(投資対効果)の高い投資と言えるでしょう。
ヒューマンエラー削減RPAツールは、設定したルールに従って正確に業務を実行するため、人為的なミスを大幅に削減できます。データ入力ミスや転記ミスによる損失を防ぐことができます。
従業員満足度向上単純作業から解放されることで、従業員のモチベーション向上や仕事への満足度向上に繋がります。従業員がよりやりがいを感じられる仕事に集中できる環境作りに貢献します。
24時間365日稼働RPAツールは、人間のように疲れたり、休んだりすることがないため、24時間365日稼働させることが可能です。夜間や休日に業務を行うことで、業務の効率化をさらに促進できます。

RPAツールの選定ポイント RPAツールを選ぶ際には、以下のポイントを考慮することが重要です。

自動化したい業務との適合性RPAツールは、全ての業務を自動化できるわけではありません。まずは、自動化したい業務を明確にし、その業務に適した機能を持つRPAツールを選ぶ必要があります。例えば、Webサイトを使った業務を自動化したい場合は、Webブラウザ操作に強いRPAツールを選ぶべきです。
使いやすさ現場の担当者が容易に操作できるよう、操作性やインターフェースが優れたRPAツールを選ぶことが重要です。プログラミングの知識がなくても使える、ノーコードで操作できるRPAツールも増えています。
コストパフォーマンス初期費用だけでなく、ライセンス費用や保守費用なども考慮し、予算に見合ったRPAツールを選ぶ必要があります。機能が豊富で高価格なRPAツールよりも、必要な機能に絞り込み、コストを抑えたRPAツールを選ぶ方が良い場合もあります。
導入・運用サポート体制導入後のサポート体制が充実しているベンダーを選ぶことは、スムーズな導入と安定稼働のために重要です。RPAツールの導入経験が豊富なベンダーや、導入後のトレーニングやサポート体制が充実しているベンダーを選ぶと安心です。
セキュリティ重要な業務情報を扱うため、セキュリティ対策が万全なRPAツールを選ぶことは必須です。アクセス権限の設定やデータの暗号化など、セキュリティ機能が充実しているかを確認しましょう。

主なRPAツール 日本国内で有名なRPAツールをいくつかご紹介します。

ツール名ベンダー名特徴
WinActor 株式会社NTTアドバンステクノロジ 国内シェアNo.1のRPAツール。プログラミング不要で、簡単に自動化シナリオを作成できる。日本語のサポートが充実している点も魅力。
UiPath UiPath株式会社 世界シェアNo.1のRPAツール。豊富な機能と高い拡張性を備えており、大規模な業務自動化にも対応可能。AIやOCRとの連携機能も充実。
Automation Anywhere オートメーション・エニウェア・ジャパン株式会社 クラウド型RPAの先駆け的存在。サーバー型、デスクトップ型、クラウド型の3つの形態を提供しており、企業のニーズに合わせて柔軟に選択可能。
BizRobo! オープングループ株式会社 国産RPAツール。直感的な操作でシナリオ作成が可能なため、プログラミング未経験者でも扱いやすい。AIとの連携機能も充実しており、高度な業務自動化にも対応可能。

上記以外にも、多くのRPAツールが存在します。自社のニーズや課題に合わせて、最適なツールを選定することが重要です。

RPAツールの導入は、業務効率化・コスト削減・従業員満足度向上を実現するための有効な手段の一つと言えるでしょう。しかし、RPAツールはあくまでツールであり、導入すれば全てが解決するわけではありません。

RPAツールを効果的に活用するためには、業務プロセスの見直しや標準化、従業員への教育など、総合的な取り組みが必要となります。

業務プロセス統合を成功させるためには、現状のプロセスを分析し、課題を明確にした上で、適切なツールを導入することが重要です。BPMツールとRPAツールは、業務プロセス統合を強力にサポートするツールです。

これらのツールを効果的に活用することで、業務効率の向上、コスト削減、従業員満足度向上を実現し、統合後の企業の成長に大きく貢献することができます。

6. まとめ【前編】 PMIに使用するツールについて解説してまいりましたが、このページで約半分の内容をご説明したにすぎません。

この記事の内容を見ていると「プロジェクトマネジメントに使われるツールが多い」と感じられる方もいらっしゃるかもしれません。確かにその通りです。

多くの関係者が関わるPMIというプロジェクトになりますので、プロジェクトマネジメントと同様のツールを使うケースが多くなります。

しかし、最も異なるのは、PMI支援会社は「PMIに特化した独自のツール」を持っているため、そのツールを活用することでM&A後の対象企業の成長を、より確実なものにしていくことができるのです。

後編でも役立つ情報をお届けしますので、是非ご覧いただければ幸いです。

icon
▼後編はこちら
PMI(Post Merger Integration)業務に役立つ実践ツールとは?【後編】


編集者の紹介

日下部 興靖

株式会社M&A PMI AGENT
代表取締役 日下部 興靖

上場企業のグループ会社の取締役を4社経験。M&A・PMI業務・経営再建業務などを10年経験し、多くの企業の業績改善を行ったPMIのエキスパート。3か月のPMIにて期首予算比で売上1.8倍、利益5倍などの実績を持つ。

メニュー