後継者がいない...と悩む前に!事業承継の選択肢を広げ、企業の未来を創造しよう

後継者がいない...と悩む前に!事業承継の選択肢を広げ、企業の未来を創造しよう

「後継者がいない...」と頭を抱えている経営者の方へ。事業承継は、企業の未来を左右する重要な問題です。本記事では、後継者不在に悩む経営者の方に向けて、事業承継の現状や失敗する理由、そして具体的な選択肢を分かりやすく解説します。

親族承継、従業員への承継、M&A、事業清算など、それぞれのメリット・デメリットを比較検討することで、最適な方法を見つけることができます。

さらに、スムーズな事業承継を実現するための準備や専門家活用のポイントも紹介します。この記事を読めば、後継者問題の不安を解消し、企業の永続的な成長と発展に向けて、具体的な一歩を踏み出すことができるでしょう。

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編集者の紹介

日下部 興靖

株式会社M&A PMI AGENT
代表取締役 日下部 興靖

上場企業のグループ会社の取締役を4社経験。M&A・PMI業務・経営再建業務などを10年経験し、多くの企業の業績改善を行ったM&A・PMIの専門家。3か月のPMIにて期首予算比で売上1.8倍、利益5倍などの実績を持つ。



1. 事業承継問題の現状

日本の中小企業にとって、事業承継は避けて通れない重要な課題です。しかし、近年では後継者不足が深刻化しており、多くの企業が事業の継続に頭を悩ませています。ここでは、事業承継問題の現状について、後継者不在率と事業承継がうまくいかない理由に焦点を当てて解説します。


1.1 後継者不在率の現状

帝国データバンクの調査によると、2022年における後継者不在率は55.1%と、過去最高を記録しました。これは、2011年の調査開始以来、11年連続で増加しており、中小企業の半数以上が後継者問題に直面している厳しい現実が浮き彫りになっています。

業種別では、「サービス業」(60.1%)が最も高く、次いで「小売業」(59.4%)、「建設業」(58.8%)と続きます。これらの業種は、人材不足や競争激化などの課題を抱えており、後継者育成にも影響を及ぼしていると考えられます。

企業規模 後継者不在率
大企業 30.0%
中企業 40.0%
小企業 60.0%

企業規模別に見ると、企業規模が小さいほど後継者不在率は高くなる傾向があります。これは、中小企業は大企業に比べて経営資源が限られており、後継者育成に十分な時間や費用を割くことが難しいことが背景にあると考えられます。


1.2 事業承継がうまくいかない理由

事業承継がうまくいかない理由には、様々な要因が複雑に絡み合っています。代表的なものとしては、以下の点が挙げられます。

1.2.1 後継者への意識の差
経営者の高齢化が進み、後継者への意識が希薄になっているケース
後継者候補となる子供が、事業への関心が低く、別の道を歩みたいと考えているケース
1.2.2 事業承継の準備不足
事業承継に関する知識や情報不足により、何から手をつければ良いか分からない経営者が多い
後継者育成に時間がかかることを理解しておらず、十分な準備期間を設けずに、事業承継のタイミングが迫ってしまうケース
1.2.3 経営環境の変化
グローバル化やデジタル化の進展により、経営環境が大きく変化しており、従来のビジネスモデルが通用しなくなってきている
このような変化に対応するため、後継者は、従来以上の経営能力やリーダーシップが求められるようになっている

これらの要因に加え、近年では、新型コロナウイルスの影響により、多くの企業が業績悪化に苦しんでおり、事業承継を検討すること自体が難しい状況に追い込まれているケースも少なくありません。

事業承継問題は、企業の存続だけでなく、地域経済や雇用にも大きな影響を与える可能性があります。そのため、国や地方自治体、金融機関、経済団体などは、事業承継を支援するための様々な施策を展開しています。

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2. 後継者がいない場合の選択肢

後継者問題の解決策として、主に「親族内承継」「親族外承継」「事業売却」「事業清算」の4つの選択肢があります。それぞれのメリット・デメリット、具体的な方法などを詳しく解説し、最適な事業承継の形を見つけるお手伝いをします。


2.1 親族内承継

従来から多く見られる承継方法で、子供や親族など、血縁関係のある人に事業を引き継いでもらう方法です。後継者候補が経営に理解を示し、円滑な事業承継を望める場合に最適です。

2.1.1 子供への承継

子供への承継は、事業を継続していく上で自然な流れと言えるでしょう。後継者となる子供が幼い頃から事業に携わらせることで、経営ノウハウや企業理念を継承することができます。承継前に、子供に十分な経営能力を身につけてもらうための教育や研修なども重要になります。

2.1.2 親族への承継

子供がおらず、親族に事業を継いでほしいと考える場合もあります。優秀な人材が親族にいる場合、スムーズな事業承継を進められる可能性があります。ただし、親族間の関係性には十分配慮し、承継条件や経営方針などを明確に伝えることが大切です。


2.2 親族外承継

親族に適切な後継者候補がいない場合に検討するのが親族外承継です。従業員や外部の人材に事業を託すことで、事業の継続性を図ります。

2.2.1 従業員への承継(従業員持株会、MBO)

長年会社に貢献してきた従業員に事業を継承する方法です。従業員にとっては、これまで培ってきた経験や知識を活かせるチャンスとなります。従業員持株会やMBO(マネジメント・バイアウト)といった制度を活用することで、従業員が株式を取得し、経営に参加することが可能になります。

2.2.1.1 従業員持株会のメリット
従業員のモチベーション向上と企業価値向上に繋がる
従業員が株主となることで、経営への参加意識が高まり、一体感が生まれる
2.2.1.2 従業員持株会のデメリット
従業員に株式取得の資金負担が生じる
株価が下落した場合、従業員に損失が出る可能性がある
2.2.1.3 MBOのメリット
経営陣の交代による、新たな視点や戦略を取り入れられる
従業員が経営に参加することで、事業承継後の混乱を最小限に抑えられる
2.2.1.4 MBOのデメリット
買収資金の調達が必要となる
経営陣の選定を慎重に行わない場合、経営が不安定になる可能性もある
2.2.2 外部人材への承継

社内に適切な後継者候補がいない場合、外部から人材を招聘する方法もあります。経営経験や専門知識が豊富な人材を迎え入れることで、新たな視点を取り入れた事業展開が期待できます。ヘッドハンティング会社やM&A仲介会社などに依頼し、後継者候補を探します。


2.3 事業売却(M&A)

事業売却とは、経営する会社や事業を他の会社に売却することです。M&A(Mergers and Acquisitions)とも呼ばれます。親族内承継や親族外承継が難しい場合や、経営者自身がリタイア後の資金を確保したい場合などに検討されます。

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2.3.1 メリット
事業を存続できる可能性がある
売却益を得て、従業員の雇用や取引先との関係を維持できる可能性がある
経営者はリタイア後の資金を確保できる
2.3.2 デメリット
売却条件によっては、従業員の雇用や経営方針が変更される可能性がある
買い手企業との交渉が難航する可能性がある
秘密保持契約を締結していても、情報漏洩のリスクがある

2.4 事業清算

事業清算は、事業を完全に停止し、会社の資産を売却して負債を返済する手続きです。他の選択肢が難しい場合や、経営者が高齢で事業継続が困難な場合に選ばれます。

2.4.1 メリット
事業を自分のタイミングで終わらせることができる
残った財産は、株主へ分配される
2.4.2 デメリット
従業員は解雇となる
取引先や顧客に迷惑をかける可能性がある
会社の歴史に幕を下ろすことになる
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3. 事業承継をスムーズに進めるための準備

後継者の選定や事業承継の方法を検討するのと同時に、円滑な事業承継を実現するために、事前の準備も欠かせません。時間をかけて入念に進めることで、後々のトラブルや負担を軽減することができます。


3.1 事業承継計画の重要性

事業承継計画とは、いつ、誰に、どのように事業を引き継ぐのか、具体的なプロセスを明確化し、文書にまとめたものです。計画を立てることで、経営者と後継者、従業員、取引先など、関係者全員が共通認識を持つことができ、スムーズな事業承継へと繋がります。また、計画的に準備を進めることで、リスクを予測し、対策を講じることも可能になります。


3.2 事業承継プランの作成

事業承継を成功させるためには、具体的な計画を立て、文書化することが重要です。ここでは、事業承継プランに含めるべき主要な項目と、それぞれのポイントについて解説します。

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3.2.1 自社の現状分析

まずは、現状を把握することから始めます。財務状況、経営状況、事業の強み・弱みなどを分析し、客観的な視点で自社の現状を評価します。

財務状況過去の決算書の分析、資産・負債の状況把握、収익性・安全性・効率性の分析など
経営状況組織体制、従業員の年齢構成、技術やノウハウの棚卸し、市場環境の分析など
事業の強み・弱み競争優位性、差別化要因、克服すべき課題、将来性などの分析など
3.2.2 後継者候補の選定

親族、従業員、外部人材など、後継者候補を検討し、それぞれのメリット・デメリットを比較します。後継者の選定は、事業の将来を左右する重要な決断です。候補者の経営能力、事業への熱意、人柄などを総合的に判断する必要があります。

候補者 メリット デメリット
親族 事業への理解が深い、信頼関係が築きやすい、一族経営の継続 経営能力が未知数、親族間でトラブルが発生する可能性、経営の自由度が低い
従業員 事業への理解が深い、社内事情に精通している、従業員のモチベーション向上 経営能力が未知数、派閥争いが起こる可能性、人材不足に陥る可能性
外部人材 経営能力が高い、新しい視点を取り入れられる、社内改革を断行しやすい 事業への理解が浅い、社内からの反発が起こる可能性、高額な報酬が必要になる
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3.2.3 事業承継時期の決定

後継者の年齢や経験、事業の状況などを考慮し、事業承継の時期を決定します。明確な時期を設定することで、逆算して必要な準備を進めることができます。また、後継者となる人物は、十分な準備期間を設けることで、スムーズに経営を引き継ぐことが可能となります。

後継者の年齢や健康状態
後継者の事業経験や経営能力
事業の成長段階や市場環境
経営者の年齢や体力
3.2.4 関係者への理解と協力

事業承継は、経営者や後継者だけの問題ではありません。従業員、取引先、金融機関など、関係者すべての理解と協力が不可欠です。日頃からコミュニケーションを密に取り、事業承継の必要性を理解してもらうことが重要です。透明性の高い情報公開と、丁寧な説明を心がけましょう。


3.3 専門家への相談

事業承継は、複雑な手続きや専門知識を必要とする場面が多くあります。税理士、弁護士、M&A仲介会社など、専門家のサポートを受けることで、スムーズかつ円滑な事業承継を実現することができます。

3.3.1 税理士

事業承継には、多額の税金が発生する可能性があります。税理士は、事業承継税制の活用や、節税対策など、税務に関する専門的なアドバイスを提供します。

事業承継税制の活用による節税対策
贈与税や相続税の試算と対策
事業承継に伴う各種届出書類の作成
3.3.2 弁護士

事業承継の手続きには、法的な知識が必要となる場合があります。弁護士は、事業承継契約書の作成、株主間契約の締結、遺言書の作成など、法務に関するサポートを行います。

事業承継に関する法律相談
事業承継契約書の作成やレビュー
株主間契約、遺言書の作成
事業承継に係る紛争解決
3.3.3 M&A仲介会社

M&Aによる事業承継を検討する場合、M&A仲介会社は、最適な相手先の探索、交渉の仲介、契約締結までをサポートします。M&Aは専門性の高い分野であるため、経験豊富な専門家のサポートを受けることが重要です。

M&Aに関する相談や情報提供
買い手企業の探索・紹介
企業価値評価、条件交渉の支援
デューデリジェンス、契約締結のサポート

これらの専門家は、それぞれの専門知識を生かして、事業承継を総合的にサポートします。事業承継は、企業の将来を左右する重要なプロセスです。専門家の力を借りながら、計画的に準備を進めることで、スムーズな事業承継を実現しましょう。

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4. まとめ

後継者不在は、多くの企業にとって深刻な問題です。しかし、事業承継には親族内承継、親族外承継、事業売却、事業清算など、さまざまな選択肢があります。重要なのは、どの選択肢が自社にとって最適なのか、時間をかけて検討することです。

そのためにも、早めの事業承継計画の策定が重要になります。自社の現状分析、後継者候補の選定、事業承継時期の決定など、しっかりと計画を立て、関係者への理解と協力を得ながら進めていきましょう。

また、税理士、弁護士、M&A仲介会社などの専門家のサポートを受けることも、スムーズな事業承継を実現する上で有効です。

事業承継は、企業の未来を左右する重要な決断です。早めの準備と適切な対応によって、事業の存続と発展を目指しましょう。

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