小規模PMIの必要性!小規模M&AでもPMIは必要?スモールPMIの支援サービスもご紹介

小規模PMIの必要性!小規模M&AでもPMIは必要?スモールPMIの支援サービスもご紹介

M&A後のPMI(Post Merger Integration)は、企業規模に関わらず、統合後の成功に不可欠です。特に、リソースや時間的制約の大きい小規模M&Aでは、PMIの重要性を見落としがちですが、適切な計画と実行によって、シナジー効果の最大化、従業員の不安解消、リスクの最小化を実現できます。

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本記事では、小規模M&AにおけるPMIの必要性を解説し、スムーズな統合を支援するサービスや具体的な進め方をご紹介します。
PMI支援サービスの専門家などの活用も視野に入れ、自社に最適なPMI戦略を検討しましょう。

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1. M&AにおけるPMI(Post Merger Integration)とは? 1.1 PMI(Post Merger Integration)の目的

PMIとは、M&A(合併・買収)後の統合プロセスを指し、買収企業と被買収企業の経営資源を統合し、シナジー効果を最大化することを目的とします。

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PMIは、M&A後の企業価値向上に不可欠なプロセスであり、その成否がM&A全体の成功を大きく左右すると言っても過言ではありません。

PMIの主な目的は以下の点が挙げられます。

シナジー効果の早期実現

M&Aの目的である売上増加・コスト削減・新規市場進出などを実現するために、両社の強みを活かし弱みを補完し合い、シナジー効果を最大限に引き出すことを目指します。

統合リスクの最小化

M&A後には、組織文化の違い・システムの不整合・従業員の不安など、様々なリスクが伴います。PMIを通じてこれらのリスクを事前に予測し、適切な対策を講じることで統合プロセスを円滑に進め事業の安定化を図ります。

企業価値の向上

PMIを通じて統合後の新しい企業文化やビジョンを構築し、従業員のエンゲージメントを高めることで企業全体の競争力を強化し、持続的な成長を目指します。

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1.2 PMIの進め方

PMIは、一般的に以下の4つのフェーズに分けられます。

フェーズ 内容
フェーズ1: 計画立案段階
  • PMI戦略の策定
  • 統合計画の策定
  • PMIチームの編成
フェーズ2: 準備段階
  • 現状分析
  • 統合計画の詳細化
  • 従業員へのコミュニケーション
フェーズ3: 実行段階
  • 組織統合
  • システム統合
  • 業務プロセス統合
フェーズ4: 評価・改善段階
  • PMIの進捗状況のモニタリング
  • 効果測定
  • 必要に応じた改善策の実施

PMIは企業の規模や業種、M&Aの目的などによって、その進め方や期間は異なります。経験豊富な専門家の支援を受けながら、適切な計画と準備のもとに進めることが重要です。

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2. 大規模M&Aと小規模M&AにおけるPMIの違い 2.1 規模によるPMIの難易度
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M&A後の統合プロセスであるPMIは、その規模によって難易度が大きく異なります。一般的に大規模M&Aは、小規模M&Aに比べてその規模と複雑さゆえに、PMIはより困難になるとされています。
  • 2.1.1 大規模M&AにおけるPMIの複雑性
    • 膨大な数の従業員・部門・システム・プロセスを統合する必要があるため、調整すべき範囲が広く複雑性が高まります。
    • 企業文化や価値観の衝突が起こる可能性も高くなるため、組織的な統合をスムーズに進めることが課題となります。
    • 統合プロセスが長期化する傾向があり、その間、従業員の不安や顧客の混乱が生じるリスクも高まります。
  • 2.1.2 小規模M&AにおけるPMIの特性
    • 大規模M&Aに比べて統合対象となる範囲が狭く、意思決定のスピードも速いというメリットがあります。
    • 経営陣同士の距離が近くコミュニケーションが密接になりやすいため、迅速な意思決定や問題解決が期待できます。
    • ただし、リソースや専門知識が不足している場合、PMIが円滑に進まない可能性もあるため注意が必要です。
2.2 必要なリソースと期間

PMIに必要なリソースと期間は、M&Aの規模によって大きく異なります。

規模 必要なリソース 期間
大規模M&A
  • 専任のPMIチーム(プロジェクトマネージャー、財務、人事、IT、法務など)
  • 大規模な予算(システム統合、コンサルティング費用、従業員研修など)
  • 経営層の強力なコミットメントとリーダーシップ
数年単位
小規模M&A
  • 兼任のPMI担当者(経営者、人事担当者など)
  • 限られた予算
  • 外部専門家との連携(必要に応じて)
数ヶ月〜1年程度

大規模M&Aでは統合プロセスを円滑に進めるために、専任のPMIチーム・大規模な予算・経営層のコミットメントが不可欠となります。一方、小規模M&Aでは、限られたリソースと期間で効率的にPMIを進めることが求められます。外部専門家の活用も有効な手段となります。

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3. 小規模M&AにおけるPMIの必要性
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小規模M&Aにおいても、PMIは決して軽視できるものではありません。むしろ、シナジー創出や企業成長の成否を大きく左右する重要なプロセスと言えます。

ここでは、小規模M&AにおけるPMIの重要性を、具体的な側面から解説していきます。

3.1 シナジー実現の鍵

M&Aの主な目的は、企業価値の向上にあります。そして、その実現のために欠かせないのが、両社の経営資源やノウハウを融合させ、1+1を2以上の成果に結び付ける「シナジー効果」です。

特に小規模M&Aの場合、大企業のような豊富な経営資源を持つわけではないため、シナジー効果を最大限に引き出すことが成長の鍵となります。

PMIはこのシナジー効果を実現するための計画、実行、そして効果検証を行うプロセスであり、小規模M&Aにおいてもその重要性は非常に高いと言えるでしょう。

シナジー効果の具体例

例えば、販売網の共有による売上拡大・製造コスト削減・共同研究開発による新製品開発などが挙げられます。

3.2 従業員満足度への影響

小規模M&Aでは、経営陣や従業員同士の距離が近く、企業文化や価値観も根付きやすい傾向にあります。そのため、M&Aによる環境変化が従業員に与える影響は、大企業の場合よりも大きくなる可能性があります。

PMIにおいては、従業員への丁寧なコミュニケーション・新体制へのスムーズな移行・企業文化の融合などを重視することで、従業員の不安や混乱を最小限に抑えモチベーションやエンゲージメントを維持することが重要です。

従業員満足度の向上は、結果として企業の業績向上にも繋がるため軽視することはできません。

従業員満足度向上のための取り組み例

統合後のキャリアパスに関する説明会の実施・人事評価制度の統合・交流イベントの開催などが考えられます。

3.3 リスクマネジメント

M&Aには常に様々なリスクが伴います。特に小規模M&Aの場合、経営資源やノウハウが限られているため、リスクへの対応が遅れたり対応を誤ったりすることで企業経営に大きなダメージを受ける可能性があります。

PMIでは、事前に想定されるリスクを洗い出し、適切な対策を講じることで、リスクを最小限に抑えることが重要です。また、統合プロセスにおいて発生する問題や課題にも、迅速かつ柔軟に対応できる体制を構築しておく必要があります。

リスク 内容 対策例
顧客流出 統合によるサービス低下やブランドイメージの変化 統合後のサービス体制に関する顧客への丁寧な説明、ブランドイメージを維持するための広報活動
キーパーソンの退職 統合後の処遇やキャリアへの不安 統合後のキャリアパスに関する面談の実施、処遇改善
システム統合の遅延 システムの互換性の問題、開発リソース不足 事前に綿密なシステム連携計画を策定、外部の専門企業への委託

これらのリスクを適切に管理し、スムーズな統合プロセスを実現することが、小規模M&Aの成功には不可欠です。PMIは単なる統合プロセスではなく、リスクを管理し企業価値を最大化するための戦略的な取り組みと言えるでしょう。


4. 小規模M&AにおけるPMIの進め方
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小規模M&AにおいてもPMIを成功させるためには、限られたリソースと期間の中で効率的に統合を進めていく必要があります。そのためには、以下の3つのポイントを意識することが重要です。
4.1 優先順位を明確にする

小規模M&Aでは、大規模M&Aと比較して、人員や資金などのリソースが限られている場合が多いです。そのため、PMIの全プロセスを網羅的に行うのではなく、自社の成長戦略やシナジー実現のために、どの業務領域の統合を優先すべきかを明確化することが重要となります。

例えば 営業部門の統合を優先し、早期に売上拡大を目指すケースやバックオフィス業務の統合を優先し、間接コスト削減を目指すケースなどが考えられます。
  • 統合によるシナジー効果が最も高いと考えられる業務領域から着手する
  • 統合によるリスクが高いと考えられる業務領域から着手する

このように、限られたリソースを有効活用するためには、優先順位を明確にした上で、PMI計画を策定する必要があります。

4.2 コミュニケーションを重視する

M&A後の企業統合では、文化や慣習の異なる組織間で様々な衝突や摩擦が生じやすくなります。特に、従業員にとっては、企業文化の変化や雇用不安など、大きなストレスを感じやすい時期です。

そのため、経営陣は、従業員に対して、統合の目的や今後の事業計画などを丁寧に説明し、不安を取り除くためのコミュニケーションを積極的に行うことが重要です。

また、従業員同士の相互理解を深めるための交流の場を設けることも有効です。従業員間のコミュニケーションを密にすることで、一体感を醸成し円滑な統合を促進することができます。

コミュニケーションの例 目的 内容
経営陣による説明会 統合の目的や今後の事業計画を共有する ・統合の背景
・統合後の事業ビジョン
・従業員への影響
部門交流会 統合後の部門メンバー間の相互理解を深める ・懇親会
・合同研修
社内報やイントラネットでの情報発信 統合に関する情報を随時共有する ・統合の進捗状況
・人事制度の変更
・新会社の文化や価値観
4.3 外部PMI専門家の活用

小規模M&Aでは、PMIの専任担当者を置くことが難しい場合や、PMIの経験が不足している場合も少なくありません。このような場合には、外部のPMI専門家に支援を依頼することを検討するのも有効な手段です。

外部の専門家は、豊富な経験と専門知識に基づいて、PMI計画の策定から実行までをサポートしてくれるため、企業は本業に集中しながら効率的にPMIを進めることができます。

PMI専門のコンサルティング会社
会計事務所や法律事務所

外部専門家の活用は、PMIを成功に導くための有効な選択肢の一つと言えます。

これらのポイントを踏まえ、自社の状況に合わせて適切なPMIを進めていくことが重要です。


5. 小規模PMIを支援するサービス
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小規模M&AにおいてもPMIを成功させるためには、専門的な知識や経験を持った外部の支援サービスを活用することが有効です。ここでは、具体的なサービス内容を紹介します。
5.1 PMI支援専門サービス

PMI支援を専門とするコンサルティングファームでは、小規模M&A特有の課題やニーズに対応したサービスを提供しています。主なサービス内容は以下の通りです。

PMI戦略策定支援

現状分析や課題抽出に基づき、具体的な目標設定やロードマップ作成、KPI設定などを支援します。

PMI実行支援

統合計画に基づき、組織・人事、システム、業務プロセスなどの統合実務を支援します。

コミュニケーション支援

経営層、従業員、ステークホルダーへの適切な情報伝達やコミュニケーション活動を支援します。

リスクマネジメント支援

統合プロセスにおける潜在的なリスクを特定し、対策を講じることでスムーズな統合を支援します。

これらのサービスは、企業の状況やニーズに合わせてカスタマイズされるため、より効果的なPMIを実現できます。

例えば 人員や予算が限られる小規模M&Aでは、特に注力すべき分野を絞った支援や実務レベルでのハンズオン支援が求められます。PMI支援専門サービスはこうしたニーズに対応することで、小規模M&Aの成功をサポートします。
5.2 PMIに役立つシステム導入支援

PMIを円滑に進めるためには、適切なITシステムの導入が欠かせません。特に異なるシステム環境の統合は、PMIにおける大きな課題となります。システム導入支援サービスでは、以下の様なサポートを提供しています。

現状システム分析買収企業と被買収企業のシステム環境を分析し、統合における課題や要件を明確化します。
システム選定・導入支援統合に最適なシステムの選定、導入計画策定、ベンダー選定、導入作業などを支援します。
データ移行支援既存システムから新システムへのスムーズなデータ移行を支援します。
システム運用・保守支援統合後のシステム運用・保守体制の構築、運用マニュアル作成などを支援します。

小規模M&Aでは、大規模なシステム投資が難しい場合もあるため、既存システムを活用した統合や、クラウドサービスの導入などを検討する必要があります。システム導入支援サービスは、コストを抑えつつ、効率的なシステム統合を実現するためのサポートを提供します。

5.3 PMI人材の人材紹介サービス

PMIを成功させるためには、専門的な知識や経験を持った人材が不可欠です。しかし、小規模企業では、社内にPMI経験者が不足しているケースも少なくありません。

そこで、PMI人材の人材紹介サービスを利用することで、必要なスキルを持った人材を確保することができます。主なサービス内容は以下の通りです。

【注目】 転職市場でPMI経験者を探しても、ほとんど見つかりません。その理由は、PMI担当を企業の役員クラスが担うことが多く、役員クラスは転職することが少ないため採用することが困難となるのです。

M&Aを積極的に行う企業であれば、PMI経験者の採用を時間をかけて行うことも有効ですが、小規模のPMIを行う場合は、採用するよりもPMI支援サービスの利用をすることで、M&Aの投資対効果を最大化させることにつながります。

PMI経験者の紹介

豊富なPMI経験を持つコンサルタントやプロジェクトマネージャー・人事・労務・経理・財務などの専門人材を紹介してくれます。企業は、必要なスキルや経験、期間などを指定して人材を依頼することができます。

人材育成支援

PMIに関する研修やセミナーなどを実施し、自社の従業員のPMIスキル向上を支援します。また、PMI経験者をメンターとして派遣し、OJTによる人材育成を支援するサービスもあります。

人材紹介サービスを利用するメリットは、即戦力となる人材を確保できるだけでなく、採用活動にかかる時間やコストを削減できる点にあります。また、PMI経験者から直接指導を受けることで、自社の従業員のPMIスキル向上も期待できます。小規模M&Aにおいて、外部の専門知識や経験を取り入れることはPMI成功の鍵となります。

サービス 内容 メリット
PMI支援専門サービス PMI戦略策定から実行までを総合的に支援 専門家のノウハウを活用し、効率的かつ効果的にPMIを進めることができる。
PMIに役立つシステム導入支援 異なるシステム環境の統合や、PMIに最適なシステム導入を支援 円滑なシステム統合を実現し、PMI後の業務効率化を促進できる。
PMI人材の人材紹介サービス PMI経験者を必要な期間だけ確保することができる。 即戦力となる人材を確保することで、PMIをスムーズに進めることができる。また、採用コストの削減にも繋がる。

上記以外にも、法務・会計・税務などの専門家によるアドバイスや、従業員向け研修プログラムの提供など、様々なサービスが存在します。企業は、自社のニーズや課題に合わせて、最適なサービスを組み合わせることで、小規模M&AにおけるPMIを成功に導くことができます。

6. まとめ 「小規模のM&Aだから、PMIは行わない」という企業がまだまだ多いのですが、買収企業が小規模の場合、対象企業の経営状態が悪化すると、大手に比べそのダメージも大きくなります。

そのため、小規模のM&AだとしてもしっかりとPMIを行い、経営統合後も業績を上げられるようにするべきであり、ダメージを考えると小規模M&Aほど、正しいPMIを行うべきなのです。

M&A後のPMIは、規模の大小に関わらず、統合後の企業の成功に不可欠です。特に小規模M&Aにおいては、限られたリソースと期間の中でシナジー創出とリスクマネジメントを効率的に行う必要があり、PMIの重要性は一層高まります。

優先順位を明確にし、コミュニケーションを重視しながら、必要に応じて外部の専門家やサービスを活用することで、スムーズな統合プロセスを実現できるでしょう。

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編集者の紹介

日下部 興靖

株式会社M&A PMI AGENT
代表取締役 日下部 興靖

上場企業のグループ会社の取締役を4社経験。M&A・PMI業務・経営再建業務などを10年経験し、多くの企業の業績改善を行ったPMIのエキスパート。3か月のPMIにて期首予算比で売上1.8倍、利益5倍などの実績を持つ。

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