事業売却の事業概要書作成ガイド|M&Aを成功させる作り方
事業売却を検討中で、M&Aで成功するための事業概要書の書き方が分からないとお悩みではありませんか?この記事では、事業概要書の目的やM&Aにおける役割から、作成の準備、構成要素、具体的な書き方、例文、注意点までを網羅的に解説します。
事業概要書は、買収希望企業にあなたの事業の魅力を伝え、M&Aを成功させるための重要なツールです。この記事を読むことで、事業概要書の書き方のポイントを理解し、効果的な事業概要書を作成できるようになります。結果として、M&Aプロセスをスムーズに進め、希望通りの条件で事業売却を実現できる可能性が高まります。ぜひ、この記事を参考に、M&A成功への第一歩を踏み出しましょう。
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編集者の紹介
株式会社M&A PMI AGENT
代表取締役 日下部 興靖
上場企業のグループ会社の取締役を4社経験。M&A・PMI業務・経営再建などを10年経験。3か月の経営支援サポートで、9か月後には赤字の会社を1億円の利益を計上させるなどの実績を多数持つ専門家。
1. 事業概要書とは?M&Aにおける重要性
事業概要書は、M&A(合併・買収)において、売却対象となる事業の魅力や価値を買い手候補に伝えるための重要な資料です。会社の概要や事業内容、財務状況、将来性などを簡潔かつ分かりやすくまとめることで、買い手候補の投資判断を促す役割を果たします。いわば、M&Aにおける「会社の顔」とも言える重要なドキュメントです。
1.1 事業概要書の目的
事業概要書を作成する主な目的は、以下の3点に集約されます。
買い手候補への情報提供 | 事業内容、財務状況、強み・弱み、将来性など、事業に関する重要な情報を網羅的に提供し、買い手候補の理解を深めます。 |
---|---|
投資判断の促進 | 魅力的な事業概要書を作成することで、買い手候補の投資意欲を高め、M&Aプロセスをスムーズに進めます。 |
適切な売却価格の設定 | 事業の価値を明確に示すことで、売却価格の交渉を有利に進めるための基盤を築きます。 |
1.2 M&Aプロセスにおける事業概要書の役割
M&Aのプロセスは、大きく分けて以下の段階に分けられます。事業概要書は、これらの各段階で重要な役割を果たします。
M&Aプロセス | 事業概要書の役割 |
---|---|
ノンネームシートによる打診 | 機密情報を伏せた概要版で、買い手候補の初期関心を高めます。 |
秘密保持契約締結 | 詳細な事業概要書を提供し、本格的な検討を促します。 |
デューデリジェンス | デューデリジェンスのベース資料として活用され、詳細な調査の足掛かりとなります。 |
最終契約交渉 | 最終的な契約条件の決定に際し、重要な判断材料となります。 |
このように、事業概要書はM&Aプロセス全体を通して、売却側と買い手候補の双方にとって重要な役割を担います。質の高い事業概要書を作成することで、M&Aを成功に導く可能性を高めることができるのです。例えば、事業の将来性や成長戦略を具体的に示すことで、買い手候補の期待値を高め、より高い評価を得られる可能性があります。また、リスクや課題についても誠実に記載することで、買い手候補との信頼関係を構築し、スムーズな交渉を進めることができます。
【関連】企業概要書(IM)でM&Aを有利に進める!作成ポイントとは?|目的・記載内容・注意点2. 事業概要書作成の準備段階
事業概要書の作成は、事業売却プロセスにおいて非常に重要なステップです。綿密な準備を行うことで、売却活動をスムーズに進め、買い手にとって魅力的な事業概要書を作成することができます。準備段階で特に重要なのは、情報収集、必要資料の把握、そしてスケジュール管理です。これらの要素をしっかりと理解し、準備を進めることで、M&Aプロセス全体の成功確率を高めることができます。
2.1 情報収集のポイント
情報収集は、事業概要書作成の基盤となる重要な作業です。網羅的かつ正確な情報を集めることで、買い手に対して事業の魅力を効果的に伝え、信頼関係を構築することができます。以下のポイントに留意して情報収集を行いましょう。
2.1.1 事業の現状分析まずは自社の事業の現状を客観的に分析します。SWOT分析などを活用し、強み・弱み・機会・脅威を明確に把握することで、事業の現状を多角的に理解することができます。財務状況、顧客基盤、市場シェア、競合他社との比較など、様々な角度から分析を行い、事業の全体像を把握しましょう。
2.1.2 市場動向の調査事業が属する市場の現状と将来的な動向を調査します。市場規模、成長率、競争状況、規制の有無など、市場に関する情報を収集し、事業の将来性やリスクを評価します。矢野経済研究所や富士経済などの市場調査レポートを活用するのも有効です。
2.1.3 M&A市場の動向把握M&A市場全体の動向や、類似の事業の売却事例についても調査します。M&A仲介会社や金融機関のウェブサイト、業界紙などを活用して情報を収集し、売却価格の相場感や、買い手のニーズを把握しましょう。レコフなどのM&Aデータベースも参考になります。
2.2 必要な資料
事業概要書作成に必要な資料は多岐にわたります。事前に必要な資料をリストアップし、準備を進めることで、作成プロセスを効率化できます。以下に代表的な資料を挙げます。
資料の種類 | 内容 | 補足 |
---|---|---|
定款 | 会社の目的、事業内容、資本金などが記載された基本的な書類 | 最新版を用意する |
登記簿謄本 | 会社に関する公式な情報が記載された書類 | 発行日から3ヶ月以内のもの |
財務諸表 | 貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書など | 過去3期分以上 |
事業計画書 | 今後の事業展開に関する計画 | 中期経営計画など |
顧客リスト | 主要顧客の情報 | 契約状況なども含める |
従業員リスト | 従業員の氏名、年齢、職種、勤続年数など | 個人情報は適切に扱う |
知的財産権関連資料 | 特許、商標、著作権など | 権利の範囲や有効期限などを明記 |
契約書 | 重要な取引先との契約書 | 契約期間や条件などを確認 |
2.3 事業売却におけるスケジュール感
事業売却は、準備からクロージングまで、多くの時間を要するプロセスです。適切なスケジュール管理は、売却活動をスムーズに進める上で不可欠です。以下の点を考慮してスケジュールを立てましょう。
2.3.1 準備期間事業概要書の作成、財務デューデリジェンスの準備、弁護士・会計士などの専門家との打ち合わせなど、売却開始までに必要な準備期間を確保します。一般的には数ヶ月程度の期間を要すると考えられます。
2.3.2 売却期間買い手候補の選定、交渉、デューデリジェンス、契約締結など、実際の売却活動にかかる期間です。市場環境や買い手の状況によって大きく変動しますが、半年から1年以上かかる場合もあります。
2.3.3 クロージング最終的な契約締結と事業の引き渡しが行われる段階です。必要な手続きや調整に時間を要する場合もあるため、余裕を持ったスケジュールを組むことが重要です。また、クロージング後も、一定期間のサポートが必要となる場合もあります。
これらの要素を考慮し、現実的なスケジュールを立て、各段階における進捗状況を定期的に確認することで、事業売却を成功に導くことができます。
3. 事業概要書の構成要素
事業概要書は、M&Aにおいて買収候補企業の全体像を把握するために不可欠な資料です。効果的な事業概要書を作成するためには、以下の構成要素を網羅的に盛り込むことが重要です。それぞれの要素について詳しく解説します。
3.1 会社概要
会社概要は、事業概要書の冒頭に記載し、企業の基本情報を簡潔に示す部分です。以下の情報を記載することで、買収検討企業は売却企業の基本的な情報を迅速に理解できます。
項目 | 内容 | 補足 |
---|---|---|
会社名 | 株式会社〇〇 | 正式名称を記載 |
所在地 | 東京都〇〇区〇〇 | 本社所在地を記載 |
設立年月日 | 19XX年X月X日 | 正確な日付を記載 |
代表者名 | 〇〇 〇〇 | 代表取締役の氏名を記載 |
資本金 | XXX億円 | 最新の資本金を記載 |
従業員数 | XXX名 | 正社員、契約社員、パートタイマーなどを含めた総数 |
事業内容 | 〇〇の製造・販売 | 簡潔に主要事業を記載 |
主要取引銀行 | 〇〇銀行、〇〇銀行 | メインバンクを記載 |
関連会社 | 株式会社△△、株式会社□□ | あれば記載、なければ「なし」と記載 |
ウェブサイトURL | https://www.example.com | 会社のウェブサイトがあれば記載 |
3.2 事業内容
事業内容は、売却対象となる事業の詳細を説明する重要なセクションです。事業の全体像を明確に伝えるために、以下の項目を詳細に記述する必要があります。
3.2.1 事業の沿革事業の開始時期から現在までの歴史、主要な出来事、転換期などを時系列で記述します。創業の経緯や事業展開の変遷を伝えることで、企業の成長過程や経営理念を理解するのに役立ちます。
3.2.2 事業ドメイン事業が属する業界や市場を明確に示します。ニッチ市場や特定の顧客層に特化している場合は、その範囲や特徴を具体的に説明します。市場規模や成長性についても言及することで、事業の将来性を示すことが重要です。
3.2.3 製品・サービス提供している製品やサービスの内容、特徴、競争優位性などを詳細に説明します。顧客にとってのメリットや独自の価値を提供している点を強調することで、事業の魅力を効果的にアピールします。図表や写真などを活用して視覚的に分かりやすく説明することも有効です.
3.2.4 顧客層主要な顧客層の属性(年齢、性別、職業、地域など)や、顧客との関係性などを記述します。主要顧客の企業名や取引実績などを具体的に示すことで、事業の安定性や信頼性をアピールできます。顧客獲得方法や維持戦略についても言及することで、今後の事業展開への期待感を持たせることができます。
3.2.5 販売チャネル製品やサービスの販売方法(実店舗、オンラインストア、代理店販売など)や、販売戦略について説明します。各販売チャネルの売上比率や今後の展開計画などを示すことで、事業の成長性を具体的に示すことができます。
3.3 財務情報
財務情報は、事業の収益性や健全性を判断するための重要な指標となります。過去3~5期程度の財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)を提供し、売上高、利益、資産、負債などの主要な財務指標を分かりやすく説明する必要があります。財務状況の推移や今後の見通しについても言及することで、事業の安定性や成長性を示すことが重要です。
3.3.1 財務諸表過去3〜5期分の貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書を掲載します。監査済みの財務諸表があれば、それを利用することで信頼性を高めることができます。
3.3.2 主要財務指標売上高、営業利益、経常利益、純利益、総資産、自己資本比率、ROA、ROEなどの主要な財務指標を分かりやすく説明します。指標の推移や業界平均との比較を示すことで、事業の収益性や健全性を客観的に評価することができます。
3.3.3 財務状況の推移と見通し過去の財務状況の推移を説明し、今後の財務見通しについても言及します。将来の売上高や利益の予測、設備投資計画などを示すことで、事業の成長性や将来性をアピールすることができます。市場動向や競合状況などを踏まえた上で、現実的な見通しを示すことが重要です。
3.4 強み・弱み
事業の強みと弱みは、SWOT分析などを用いて客観的に分析し、明確に示す必要があります。競合他社との比較や市場環境の分析結果を踏まえ、事業の競争優位性や課題を具体的に説明することで、買収検討企業は事業の潜在的なリスクと機会を理解することができます。
3.4.1 強み(Strengths)競合他社と比較して優れている点や、市場における競争優位性を具体的に記述します。独自の技術、強力なブランド力、効率的な生産体制、優秀な人材など、事業の強みを明確に示すことで、買収検討企業へのアピールポイントとなります。
3.4.2 弱み(Weaknesses)競合他社と比較して劣っている点や、事業における課題を正直に記述します。技術力の不足、ブランド力の弱さ、生産コストの高さ、人材不足など、事業の弱みを認識し、改善策についても言及することで、買収検討企業からの信頼を得ることができます。
3.5 将来性・成長戦略
事業の将来性や成長戦略は、買収検討企業にとって重要な判断材料となります。市場の成長性や競争環境の変化などを踏まえ、今後の事業展開の方向性や具体的な施策を説明する必要があります。目標とする市場シェアや売上高、利益などを提示することで、事業の成長性を具体的に示すことが重要です。
3.5.1 市場の成長性事業が属する市場の規模や成長性を示し、市場動向や将来展望について説明します。市場調査データや業界レポートなどを活用して、客観的なデータに基づいた分析結果を示すことが重要です。
3.5.2 競争環境競合他社の状況や競争環境の変化について分析し、事業が直面する競争上の課題や機会について説明します。競合他社の強み・弱みや市場シェアなどを分析することで、事業の競争力を評価することができます。
3.5.3 成長戦略今後の事業展開の方向性や具体的な施策を説明します。新規市場への参入、新製品の開発、M&A、海外展開など、具体的な成長戦略を示すことで、事業の将来性や成長ポテンシャルをアピールすることができます。
3.5.4 数値目標将来の売上高、利益、市場シェアなどの具体的な数値目標を設定し、達成するための計画を示します。目標達成のためのロードマップやKPIなどを明確にすることで、事業の成長性を具体的に示すことができます。
4. 事業売却を成功させる事業概要書の書き方
事業概要書は、M&Aを成功させるための重要なツールです。売却希望企業は、事業概要書を通じて買収希望企業に自社の魅力を効果的に伝え、適切な評価を受ける必要があります。そのため、事業概要書はただ情報を羅列するだけでなく、戦略的に作成することが重要です。ここでは、事業概要書の効果的な書き方について解説します。
4.1 事業概要書のターゲットを意識する
事業概要書を作成する上で最も重要なのは、誰に向けて書いているのかを意識することです。買収希望企業は、投資に見合うリターンを得られるか、自社の事業戦略とのシナジー効果があるかなどを検討します。そのため、事業概要書は、買収希望企業の視点に立ち、彼らのニーズや関心に応える内容でなければなりません。想定される買収希望企業の業種や規模、M&Aの目的などを事前に調査し、それに合わせた内容にすることで、より効果的に自社の魅力を伝えることができます。
4.2 分かりやすさ・読みやすさを重視する
事業概要書は、多忙な経営者や担当者が読むことを想定し、簡潔で分かりやすい文章で書くことが重要です。専門用語や業界特有の jargon は避け、誰にでも理解できる言葉で表現しましょう。また、文章だけでなく、図表やグラフなどを活用して視覚的に分かりやすく表現することも効果的です。情報の整理や箇条書きも活用し、読みやすさに配慮しましょう。フォントや文字サイズ、行間などにも注意し、読み疲れしないよう工夫することも大切です。
4.3 数値データを用いて客観的に説明する
事業概要書では、売上高や利益率、市場シェアなどの数値データを積極的に活用し、事業の現状や実績を客観的に示すことが重要です。過去数年間の推移を示すことで、事業の成長性や安定性をアピールできます。また、将来の予測についても、根拠となるデータに基づいて示すことで、事業の将来性への期待感を高めることができます。例えば、市場規模の成長率や競合状況などを示し、自社の優位性を明確に示しましょう。データの出所を明記することで、信뢰性も高まります。
4.4 魅力的な表現で伝える
事業概要書は、単なる事実の羅列ではなく、自社の魅力や将来性を効果的に伝えるための営業資料としての役割も担っています。そのため、魅力的な表現を用いて、読者の心を掴むことが重要です。例えば、独自の技術やノウハウ、競争優位性、将来の成長戦略などを、具体的に分かりやすく説明することで、買収希望企業の関心を高めることができます。成功事例や顧客の声などを紹介することも効果的です。ただし、過剰な表現や根拠のない将来予測は避け、信憑性を損なわないように注意しましょう。
4.5 事業売却におけるリスクと対処法も記載する
事業には必ずリスクが伴います。事業概要書では、事業のリスクについても誠実に開示することで、買収希望企業の信頼を得ることができます。例えば、競合激化や法規制の変更、主要顧客の依存度など、想定されるリスクとその影響度、そしてそれらに対する具体的な対処法を提示することで、リスク管理能力の高さをアピールできます。隠蔽したり過小評価したりするのではなく、真摯な姿勢を示すことが、M&Aの成功につながります。
リスク | 影響度 | 対処法 |
---|---|---|
競合激化 | 高 | 新製品開発、差別化戦略の強化、営業力強化 |
原材料価格高騰 | 中 | 仕入先 diversification、価格交渉、コスト削減 |
主要顧客の依存 | 高 | 新規顧客開拓、既存顧客との関係強化 |
法規制変更 | 低 | 法規制 compliance 強化、専門家との連携 |
上記以外にも、知的財産権の状況、従業員の状況、訴訟の有無など、買収希望企業が関心を持つ可能性のある情報は積極的に開示しましょう。また、事業概要書の内容は、M&Aの進捗状況に合わせて適宜更新していくことが重要です。秘密保持契約を締結した上で、買収希望企業からの質問や要望にも柔軟に対応し、円滑なコミュニケーションを図ることで、M&Aプロセスをスムーズに進めることができます。弁護士や会計士などの専門家のアドバイスを受けることも、M&Aを成功させる上で有効な手段です。
5. 事業概要書の例文と解説
ここでは、業種別に事業概要書の例文と解説を紹介します。あくまで例文なので、自身の事業に合わせて適宜修正してください。
5.1 製造業の事業概要書 5.1.1 株式会社〇〇製作所
項目 | 内容 |
---|---|
会社名 | 株式会社〇〇製作所 |
所在地 | 東京都千代田区〇〇 |
代表者 | 代表取締役社長 〇〇 〇〇 |
設立 | 19XX年X月 |
資本金 | XXX億円 |
従業員数 | XXX名 |
事業内容 | 自動車部品の製造・販売 |
主要取引先 | トヨタ自動車株式会社、日産自動車株式会社、本田技研工業株式会社 |
売上高 | XXX億円(直近決算期) |
営業利益 | XX億円(直近決算期) |
強み | 独自の精密加工技術、安定した顧客基盤、高品質な製品 |
弱み | 原材料価格の変動リスク、海外競合の台頭 |
将来性・成長戦略 | EV部品への進出、海外市場への展開 |
解説:製造業の場合、主要取引先、独自の技術、品質管理体制などを明確に記載することが重要です。財務情報は直近3期分を記載し、安定した収益性をアピールしましょう。また、将来の成長戦略を示すことで、買収後の展望を提示することが重要です。
5.2 IT企業の事業概要書 5.2.1 株式会社△△システム
項目 | 内容 |
---|---|
会社名 | 株式会社△△システム |
所在地 | 東京都渋谷区〇〇 |
代表者 | 代表取締役社長 〇〇 〇〇 |
設立 | 20XX年X月 |
資本金 | XX億円 |
従業員数 | XXX名 |
事業内容 | 業務システム開発、Webシステム開発、スマートフォンアプリ開発 |
主要顧客 | 大手金融機関、大手通信会社、官公庁 |
売上高 | XXX億円(直近決算期) |
営業利益 | XX億円(直近決算期) |
強み | 高い技術力、優秀なエンジニア、独自の開発手法 |
弱み | 人材不足、技術革新のスピードへの対応 |
将来性・成長戦略 | AI、IoT、クラウド技術への投資、新規事業開発 |
解説:IT企業の場合、技術力、開発実績、顧客基盤、優秀な人材などを強調することが重要です。今後の技術トレンドを踏まえた成長戦略を具体的に示すことで、買収後のシナジー効果をアピールしましょう。競合他社との差別化ポイントを明確にすることも重要です。
5.3 サービス業の事業概要書 5.3.1 株式会社□□サービス
項目 | 内容 |
---|---|
会社名 | 株式会社□□サービス |
所在地 | 東京都港区〇〇 |
代表者 | 代表取締役社長 〇〇 〇〇 |
設立 | 20XX年X月 |
資本金 | X億円 |
従業員数 | XXX名 |
事業内容 | 飲食店経営、ケータリングサービス、イベント企画 |
主要顧客 | 法人顧客、個人顧客 |
売上高 | XX億円(直近決算期) |
営業利益 | X億円(直近決算期) |
強み | 高い顧客満足度、独自のサービス、ブランド力 |
弱み | 人材確保の難しさ、競争の激化 |
将来性・成長戦略 | 新規店舗展開、フランチャイズ展開、オンラインサービス強化 |
解説:サービス業の場合、顧客満足度、ブランド力、独自のサービスなどをアピールすることが重要です。市場の成長性や競争環境についても分析し、今後の事業展開について具体的に説明しましょう。また、リスク管理体制についても言及することで、信頼性を高めることができます。これらの例文を参考に、事業の魅力を最大限に伝える事業概要書を作成しましょう。
6. 事業概要書作成の注意点
事業概要書の作成は、M&Aプロセスにおいて非常に重要なステップです。作成にあたっては、正確性はもちろんのこと、機密情報の取り扱いなど、様々な点に注意を払う必要があります。売却活動の成否を左右する可能性もあるため、慎重に進めましょう。
6.1 機密情報の取り扱い
事業概要書には、会社の財務状況や顧客情報、技術情報など、重要な機密情報が多く含まれます。これらの情報が外部に漏洩すると、会社に大きな損害を与える可能性があります。そのため、機密情報の取り扱いには細心の注意を払う必要があります。
6.1.1 具体的な対策アクセス制限 | 事業概要書へのアクセスを制限し、必要最低限の人員のみが閲覧できるようにする。 |
---|---|
パスワード設定 | 事業概要書を保存するファイルにパスワードを設定する。 |
NDA締結 | 事業概要書を閲覧する相手と秘密保持契約(NDA)を締結する。 |
ウォーターマーク | 事業概要書にウォーターマークを埋め込むことで、情報漏洩時の追跡を容易にする。 |
閲覧記録 | 誰がいつ事業概要書を閲覧したかを記録する。 |
M&Aのプロセスは段階的に進みます。初期段階では、すべての情報を公開する必要はありません。相手企業の信頼度やM&Aの進捗状況に応じて、開示する情報の範囲を調整しましょう。例えば、初期段階では概要のみを示し、詳細情報はより深い交渉段階に進んだ後に提供することも有効です。
6.2 専門家への相談
事業概要書の作成は、専門的な知識と経験が必要です。M&Aに精通した専門家に相談することで、より質の高い事業概要書を作成することができます。また、法的な問題や税務上の問題についてもアドバイスを受けることができます。
6.2.1 相談すべき専門家専門家 | 役割 |
---|---|
M&Aアドバイザー | M&Aに関する戦略立案、交渉支援、デューデリジェンス支援など |
弁護士 | 契約書の作成・審査、法務デューデリジェンスなど |
公認会計士 | 財務デューデリジェンス、財務諸表の作成支援など |
税理士 | 税務デューデリジェンス、税務戦略の策定など |
客観的な視点 | 事業概要書の内容を客観的に評価してもらい、改善点を指摘してもらうことができる。 |
---|---|
リスクの軽減 | 法的な問題や税務上の問題を事前に洗い出し、リスクを軽減することができる。 |
交渉力の向上 | 専門家のサポートを受けることで、売却交渉を有利に進めることができる。 |
時間と労力の節約 | 専門家に任せることで、事業概要書作成にかかる時間と労力を節約できる。 |
事業概要書は、M&Aの成否を左右する重要な資料です。機密情報の取り扱いに注意し、必要に応じて専門家のサポートを受けながら、慎重に作成を進めるようにしましょう。上記で解説した内容を参考に、より効果的な事業概要書を作成し、M&Aを成功に導きましょう。
7. まとめ
事業売却を成功させるためには、事業概要書が重要な役割を果たします。この記事では、事業概要書の目的やM&Aプロセスにおける役割、作成の準備段階から構成要素、書き方のポイント、例文、注意点までを網羅的に解説しました。事業概要書は、買収候補者にとって企業の価値を判断する重要な資料となるため、ターゲットを意識した分かりやすく客観的な内容である必要があります。
財務情報だけでなく、強み・弱み、将来性、リスクと対処法など、多角的な情報を盛り込むことで、買収候補者の理解を深め、M&Aの成功確率を高めることができるでしょう。機密情報の取り扱いに注意し、必要に応じてM&Aアドバイザーなどの専門家に相談することも重要です。この記事を参考に、効果的な事業概要書を作成し、スムーズな事業売却を実現してください。