M&Aでの詐欺対策!大手M&A仲介会社以外で会社売却を成功させる方法

M&Aでの詐欺対策!大手M&A仲介会社以外で会社売却を成功させる方法

最近、大手M&A仲介会社による仲介で、買収後に連帯保証が解除されず資金を抜かれてしまうなどの詐欺事件が増えています。この記事ではM&A詐欺の実態や理由を明らかにし、詐欺に巻き込まれないための対策を理解できます。また、大手M&A仲介会社以外でも成功する方法や注意すべき契約書のポイントについても紹介しています。これにより、安心してM&Aを進めるための知識と戦略を手に入れることができます。

M&A PMI AGENTは上場企業・中堅・中小企業の「M&AからPMI支援までトータルサポート」できるM&A仲介会社です。詳しくはコンサルタントまでお気軽にご相談ください。

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編集者の紹介

日下部 興靖

株式会社M&A PMI AGENT
代表取締役 日下部 興靖

上場企業のグループ会社の取締役を4社経験。M&A・PMI業務・経営再建業務などを10年経験し、多くの企業の業績改善を行ったM&A・PMIの専門家。3か月のPMIにて期首予算比で売上1.8倍、利益5倍などの実績を持つ。



1. M&A詐欺の実態と中小企業が狙われやすい理由

M&Aは、中小企業にとって事業継続や成長戦略の重要な手段の一つですが、その一方で詐欺的行為が横行しています。特に中小企業は資源が限られているため、詐欺のターゲットになりやすいです。詐欺による経済的ダメージは致命的であり、企業の信用と長年築いたブランドを失墜させる危険性があります。ここでは、具体的な詐欺の手口と、その背景について詳しく説明します。


1.1 M&A詐欺の手口

M&A詐欺は多岐にわたる手口が存在し、被害を未然に防ぐためにはそれらの手法を理解することが重要です。

1.1.1 仲介手数料詐欺

仲介手数料詐欺は、偽装したM&A仲介者が獲物となる企業から手数料を要求し、支払いが完了するとともに姿を消す詐欺手法です。この詐欺の罠にかかると、被害額が数百万円に上ることも珍しくありません。契約書を交わす前に、必ず相手企業や担当者の信頼性をチェックすることが求められます。

1.1.2 情報漏洩詐欺

情報漏洩詐欺は、M&Aの取引過程で取得した機密情報を悪用されるリスクを伴います。データルームへのアクセス管理や情報流出防止策の強化が不可欠です。特にM&A取引の際には、情報漏洩の防止策を講じることで算出されるコストと情報流出による潜在的損失を十分に比較検討しなければなりません。

1.1.3 架空買収詐欺

得体の知れない企業が買収話を持ちかけ、交渉が進むにつれて登場する多様な手数料や初期費用名目で金銭をだまし取る詐欺です。結果として、実際の買収は進まず、騙された側だけが支払いを続けるという結末を迎えます。契約を結ぶ前には、企業デューデリジェンスを徹底し、相手企業の実態を必ず確認する必要があります。


1.2 中小企業がM&A詐欺の標的になりやすい理由

中小企業が詐欺に巻き込まれやすい背景には、特定の要因があります。これらを理解し、事前に対策を講じることで被害を防ぐことが可能です。

1.2.1 M&Aに関する知識や経験の不足

多くの場合、中小企業はM&Aに関する専門知識を持つスタッフを抱えることが難しく、過去にM&Aを経験していないことが多いです。そのため、初めて直面する具体的な提案に対して十分な判断ができず、詐欺の危険を見極めることが困難になります。専門家のアドバイスを得ることが一つの解決策となります。

1.2.2 社内リソースの不足

中小企業は、日常業務に忙殺されがちで、M&Aに十分なリソースを割くことが難しいことが多いです。そのため、信頼できる外部のアドバイザーに依存せざるを得ず、この隙を詐欺業者につけ込まれるリスクがあります。社内外の協力体制を確立し、適切なサポートを受けることが重要です。

1.2.3 事業承継問題への焦り

特に少子高齢化の進展により、後継者難を背景とする事業承継問題が深刻です。このため、経営者は早急なM&Aを模索しがちで、慎重な審査を経ずに取引を進めることがあります。急ぐ気持ちを抑え、安易な取引を避けることが大切です。

詐欺を未然に防ぐためには、日頃からの情報収集と適切なアドバイザーの選択が重要です。また、契約段階では十分な交渉と内容確認を徹底することで、リスクを最小限に抑えることができます。


2. 大手M&A仲介会社以外で会社売却を成功させる方法

中小企業にとってM&Aは企業の未来を左右する大きな出来事です。そのため、詐欺被害を避け、成功を収めるためには、選択肢を広げて考えることが重要となります。特に、信頼できる専門家を活用し、慎重にプロセスを進めることが求められます。


2.1 中小規模M&Aアドバイザリーの活用

中小規模M&Aアドバイザリーは、特に中小企業向けに特化したサービスを提供し、大手M&A仲介会社にはない柔軟性と親身な対応が特徴です。

2.1.1 中小規模M&Aアドバイザリーとは

中小規模M&Aアドバイザリーは、中小企業の要求や特性に寄り添う専門家チームで構成されています。企業の背景や市場状況を詳細に分析し、企業の最大価値を引き出すための提案を行います。

2.1.1.1 具体的なサービス内容

通常、フィージビリティスタディ、売却価格の評価、潜在的買収者のリストアップ、交渉支援などが含まれます。

2.1.1.2 M&Aの流れ

以下の表に一般的な中小規模M&Aアドバイザリーが提供する流れを示します。

ステップ 内容
1. 初期相談 経営者との面談、目的と希望条件の確認
2. 売却戦略 市場分析と適切な戦略の立案
3. マーケティング 売却先企業のリストアップとアプローチ
4. 経済条件交渉 価格および条件交渉のサポート
5. 契約締結 社内外専門家との連携による契約書作成と締結
2.1.2 中小規模M&Aアドバイザリーを選ぶポイント

アドバイザリー選びでは、次のような要素を考慮しましょう。過去の実績、業界での専門性、提供されるサービスの範囲、料金体系の透明性は重要な判断基準です。

2.1.2.1 選定時の注意点
経営者インタビューを通じたフィット感の確認
提供するデューデリジェンスノウハウの詳細把握
アドバイザリーの候補が属するネットワークや提携先の確認

2.2 弁護士・公認会計士との連携

法的および財務的なリスクを回避するため、弁護士と公認会計士との連携は不可欠です。彼らは各プロセスで具体的かつ専門的なアドバイスを提供し、会社の安全を守ります。

2.2.1 弁護士の役割

弁護士は法的に重要なドキュメントのレビューや作成、法的リスクの識別と軽減を支援します。さらに、契約締結後の義務の履行とモニタリングを行います。

2.2.1.1 法的リスクの防止

契約前のデューデリジェンスを徹底することで、潜在的な法的問題を事前に洗い出し、対策を講じることが可能です。

2.2.2 公認会計士の役割

公認会計士は企業の財政状態を詳細に分析し、正確な価値評価を提供します。その結果、適切な価格設定と交渉材料の提供を支援します。

2.2.2.1 価値評価と交渉

交渉中の価格妥当性の検証や、買収価格の提示に際してのデータ支持を提供します。


3. M&A契約書の注意点と詐欺対策

M&Aを進めるにあたって、契約書は非常に重要です。契約書は、関係者間の役割や義務を明確にし、M&Aプロセスのあらゆる部分で発生しうる不確実性を管理するための文書です。しかし、中小企業がしばしば詐欺に遭うのは、契約書の内容に精通していないためです。以下では、契約書作成時の留意点と具体的な詐欺対策について詳しく説明します。


3.1 M&A契約書の重要性

契約書はすべてのM&A取引における基盤となる文書です。その目的は、移転する企業価値やリスクを明確にし、各当事者の期待と責任を明示し、将来の紛争を予防することです。中小企業の場合、準備不足から曖昧な契約条件が設定されることがあり、それが詐欺の温床となることがあります。確実な内容を盛り込むことで、これを回避することができます。


3.2 契約書に含まれるべき必須項目

契約書には特に次の項目をしっかりと記載する必要があります:

項目名 説明
売買価格 企業価値評価の結果に基づいた適正な価格を明記することが重要です。
支払い条件 支払いの方法や時期、通貨、および具体的な条件について明記する必要があります。
保証事項 売手の財務状況や業務上の保証を具体的に記載します。
責任の範囲 違反や不履行時の責任範囲とその対応策を明確に示し、紛争時の指針とします。

3.3 不利な条件を回避するための交渉術

不利な条件を避けるためには、慎重な交渉が必要です。まず、自社の財務状況やビジネスモデルを基に価格交渉を行います。また、複数の買い手候補を比較検討することで、提案内容の適正性を確認できます。これにはディーディリジェンスプロセスが不可欠で、買収先企業の実態を把握する努力が必要です。


3.4 専門家による契約書チェックの重要性

M&A契約書の最終段階では、専門家の関与が推奨されます。弁護士や公認会計士の専門知識を利用して、契約書が法律的、経済的に問題ないかどうかを確認します。このステップにより、隠れたリスクを特定し、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。専門家の目は、見落としがちな細かな条項やリスクを浮き彫りにし、安心して取引を進行させる強力なバックアップとなります。


4. 中小企業がM&Aで成功するためのポイント
4.1 適切なM&A戦略の策定

中小企業がM&Aを成功させるためには、戦略的計画が肝要です。具体的には、経営目標とM&Aの目的を明確にすることから始め、長期ビジョンに向けた行動計画を策定します。企業価値を高めるためのターゲット設定や、M&A後のシナジー効果を最大化する施策を具体化することが求められます。市場調査や競合企業の分析を通じて、競争優位性を維持するための具体的な行動指針を明示し、戦略策定の基盤とします。特に、M&A後の統合過程(PMI)にも焦点を当て、事前の準備を徹底することが重要です。


4.2 社内体制の整備

M&Aを成功に導くためには、企業内部の環境を整備し、変革に対応できる体制を構築することが不可欠です。各部門の連携を強化し、一貫した方針のもと、迅速かつ確実な意思決定が行える環境を整えます。特に、PMIにおいて各部門が円滑に統合できるよう、人材の育成や適切なリーダーシップの発揮が求められます。社内のコミュニケーションチャネルを整備し、透明性のある情報共有を図ることで、全社員が共通のゴールに向かって歩む姿勢を醸成します。さらに、役員会や経営層のサポートを受け、各部門が協力し合う組織文化の構築も重要です。


4.3 情報管理の徹底

M&Aプロセスのなかで、情報管理は極めて重要な要素です。情報漏洩を防ぐために、情報セキュリティを強化し、必要な情報だけを適切なタイミングで関係者に提供することが不可欠です。まず、機密情報を管理するためのポリシーを策定し、データルームの活用や暗号化技術を駆使して、情報の保護を図ります。サイバー攻撃から守るため、ITインフラの見直しを行い、安全性を高める施策を導入します。情報管理の責任者を明確にし、情報が正確かつ迅速に伝わる体制を築くことで、リスクを最小化します。


4.4 信頼できるパートナー選び

M&Aの成功を左右する要因の一つに、信頼できるパートナーの選定があります。M&Aは複雑なプロセスであり、多岐にわたる専門知識が求められます。そのため、M&Aアドバイザリーや法律、会計の専門家を選ぶ際には、過去の実績や信頼性を重視します。特に、業界内での評判や顧客のフィードバックを参考にし、専門知識とサービスの質を確認します。加えて、長期的なパートナーシップを構築するために、価値観やビジョンの共有も検討材料とします。具体的なチェックポイントを以下の表に示します。

4.4.1 信頼できるパートナー選びにおける重要なチェック項目
チェック項目 説明
実績 過去の成功事例やクライアントのリストを確認します。
評判 業界内での評判やフィードバックを調査し、信頼性を判断します。
専門性 M&Aの各プロセスにおける専門知識があるか確認します。
価値観 お互いの価値観やビジョンの合致を確認し、長期的な関係構築が可能か判断します。

5. M&A詐欺の事例と対策
5.1 事例1 不当に低い価格での買収

中小企業のM&Aが進む中、一部の企業は市場の無知や焦りを悪用され、著しく低い価格で買収されるケースがあります。小規模な企業ほど、M&Aや企業価値評価に関する専門知識を持つ人材が不足しており、また時間的にも余裕がないことで、提供される価格が適切であるか判断に苦しむことが多いです。ある調査によれば、M&Aの交渉を十分に行わずに早期に合意してしまう企業の約40%が、本来の企業価値よりも低い額で買収されていると言います。

このような事例を回避するためには、信頼できる第三者機関による公正な価値評価を依頼することが必須です。特に、各種数値データや業界標準を考慮に入れた詳細な企業価値評価を行うことで、客観的な評価を得ることができます。また、弁護士や公認会計士を交えた交渉を通じ、契約内容の透明性を確保し、交渉の過程でも偏った意見が反映されないようにすることが重要です。


5.2 事例2 虚偽の情報による買収

最近では、虚偽の情報を提示することで企業の業績や資産を過大評価し、売り手を惑わせる手法も見られます。買収側が提供する情報が虚偽であったために、予期せぬ負債を引き継いだケースも報告されています。こうした手口は特に、技術系やソフトウェア系のスタートアップで多く見られ、売上の架空計上や顧客数の過大報告を行い信用を得ようとするものです。

対抗するためには、事前に複数の情報源を確認し、各項目について詳細なデューデリジェンスを行うことが推奨されます。そして、専門家の意見を元に、偽りのない情報に基づく判断を心がけることが必要です。特に、企業の財務諸表に細心の注意を払い、不審な点が見つかった場合には詳細な調査を実施することが不可欠です。


5.3 事例3 契約後のトラブル

M&A成立後に発生するトラブルの一例として、買収契約で合意された条件が履行されないケースがあります。連帯保証の変更が行われず、旧経営者に負債が残されるなどの詐欺も報告されています。また、一定期間内に支払われるべき代金が未払いのままであったり、合意された合併後の経営計画が実施されなかったりするトラブルもあります。

これを防ぐためには、契約条項には実行の具体的な日付や条件履行を確認するメカニズムを盛り込む必要があります。トラブルを未然に防ぐため、契約前にすべての当事者間での詳細な合意を形成し、信頼できる法律専門家による精査を受けることが不可欠です。契約内容が明確であればあるほど、後々の紛争の予防に繋がります。


5.4 対策
対策項目 内容
価値評価の依頼 信頼できる第三者機関による企業価値の評価を行います。業界の慣行と比較し、独立した評価を得ることが肝要です。
情報確認とデューデリジェンス 複数の情報源から情報を確認し、詳細な調査を実施します。財務データや顧客リストなど、重要な情報項目に対する重点的な確認が求められます。
法律専門家の参加 契約内容を精査し、交渉を法律専門家とともに進めます。
契約条項の詳細化 契約に履行確認の具体的な条件を盛り込みます。具体的な条件の明確化は、リスクを軽減し、双方に有益な取引を確保します。

6. まとめ

M&Aにおける詐欺対策は、中小企業にとって特に重要な課題です。詐欺の危険を避けるためには、信頼できる中小規模M&Aアドバイザリーの活用や弁護士・公認会計士との連携が不可欠です。これにより、知識や経験の不足を補い、安心して会社売却を進めることができます。また、M&A契約書の注意点を把握し、不利な条件を回避するための交渉術を磨くことも重要です。契約書のチェックには専門家の助言を得ることで、リスクを最小限に抑えることができます。さらに、社内体制の整備や情報管理の徹底、信頼できるパートナー選びもM&Aを成功させるための鍵となります。これらのポイントを押さえることで、中小企業はM&Aを安全かつ効果的に進めることができるでしょう。

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