会社売却で連帯保証を解除のポイント!中小企業のM&A成功の虎の巻

会社売却で連帯保証を解除のポイント!中小企業のM&A成功の虎の巻

会社売却を検討している中小企業経営者の方にとって、連帯保証問題は大きな悩みの種です。売却後も連帯保証債務が残ってしまうリスクがあるため、M&Aを躊躇してしまうケースも少なくありません。この記事では、会社売却と連帯保証の関係性、そしてM&Aを成功させ、連帯保証を解除するための具体的な方法を3つ解説します。

債権者との交渉、保証協会の活用、第三者による債務引受、それぞれのメリット・デメリット、そして交渉を成功させるためのポイントを分かりやすく説明します。さらに、M&Aアドバイザーの活用方法やM&A成功事例、その他M&Aにおける注意点も紹介することで、安心してM&Aを進められるようサポートします。

この記事を読めば、あなたも連帯保証問題をクリアし、M&Aを成功に導くための具体的な方法を理解できるでしょう。

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編集者の紹介

日下部 興靖

株式会社M&A PMI AGENT
代表取締役 日下部 興靖

上場企業のグループ会社の取締役を4社経験。M&A・PMI業務・経営再建業務などを10年経験し、多くの企業の業績改善を行ったM&A・PMIの専門家。3か月のPMIにて期首予算比で売上1.8倍、利益5倍などの実績を持つ。



1. 連帯保証と中小企業M&Aの関係

中小企業のM&Aにおいて、連帯保証問題は経営者にとって大きな懸念事項です。M&Aを検討する経営者の多くは、会社の借入に対して個人保証を提供しているケースが少なくありません。この連帯保証は、会社が売却された後も、買収先企業の経営状況が悪化した場合などに、売却した側の経営者に請求される可能性があります。

M&Aという大きな転換期において、将来のリスクを最小限に抑え、安心して取引を進めるためには、連帯保証問題への適切な対処が不可欠です。本項では、連帯保証の基礎知識から中小企業M&Aにおける具体的な問題点、そしてその解決策までを詳しく解説します。


1.1 連帯保証の基礎知識

連帯保証とは、主たる債務者とともに債務を弁済する責任を負う保証契約の一種です。債務者が債務を履行できない場合、債権者は連帯保証人に対して、債務の全額を請求することができます。これは、単なる保証とは異なり、債権者が債務者と連帯保証人のどちらに請求するかの選択権を持つという点で大きな違いがあります。

1.1.1 連帯保証人の責任範囲

連帯保証人は、主たる債務者と同様に債務の全額を弁済する責任を負います。債務者が一部しか弁済できなかった場合、残りの債務についても連帯保証人が責任を負うことになります。また、債務者が破産した場合でも、連帯保証人は免責されず、債務を弁済する義務があります。

1.1.2 連帯保証の種類

連帯保証には、主に以下の種類があります。

種類 説明
根保証 将来発生する不特定の債務を保証する契約。極度額が設定されることが多い。
特定保証 既に発生している特定の債務を保証する契約。
普通保証 債権者が債務者に対してまず請求を行い、それでも弁済されない場合に保証人に請求できる保証契約。連帯保証とは異なり、保証人に請求する前に債務者への請求が必要。

1.2 中小企業M&Aにおける連帯保証問題

中小企業のM&Aでは、経営者が会社の借入に対して個人保証を提供しているケースが一般的です。この個人保証は、M&A後も引き続き有効であるため、買収後の企業経営がうまくいかず、債務不履行に陥った場合、売却した側の経営者に債務が請求されるリスクが残ります。

1.2.1 会社売却時に残る連帯保証リスク

会社を売却しても、売却前に発生した債務に対する連帯保証は、原則としてそのまま残ります。つまり、買収後の企業が債務不履行を起こした場合、売却した側の元経営者は、個人として債務を弁済する責任を負う可能性があります。これは、M&A後の生活設計にも大きな影響を与える可能性があるため、事前に十分な対策を講じる必要があります。

1.2.2 なぜ中小企業M&Aで連帯保証が問題になるのか

中小企業では、金融機関からの融資を受ける際に、経営者の個人保証を求められることが一般的です。これは、中小企業の信用力が大手企業に比べて低いため、金融機関がリスクを軽減するために個人保証を求めるためです。そのため、M&Aを検討する際には、この連帯保証問題をどのように解決するかが重要なポイントとなります。

後継者不足、事業承継問題を抱える中小企業にとって、M&Aは有効な選択肢となりますが、連帯保証の存在がM&Aを阻害する要因となるケースも少なくありません。M&A成立後も、買収先企業の業績悪化、倒産などによって、売却企業の元経営者に連帯保証に基づく請求がなされるリスクがあるため、M&A成立前にこの問題をクリアにしておく必要があります。

また、買収企業側も、将来的なリスクを避けるため、売却企業の連帯保証問題の解決をM&Aの条件とするケースもあります。


2. 会社売却で連帯保証を解除するための3つの方法

会社売却に伴うM&Aにおいて、経営者の頭を悩ませるのが連帯保証の問題です。多くの場合、経営者は会社の借入に対して個人保証、特に連帯保証人となっています。会社を売却しても、この連帯保証は自動的に解除されるわけではなく、売却後も債務の返済義務を負い続ける可能性があります。

連帯保証は、主たる債務者と同じ責任を負うため、会社が返済できなくなった場合、債権者は経営者に直接請求することができます。そのため、M&Aを成功させるためには、連帯保証を適切に処理することが不可欠です。以下に、会社売却で連帯保証を解除するための3つの方法を解説します。


2.1 方法1 債権者との交渉による解除

最も一般的な方法は、債権者と直接交渉し、連帯保証を解除してもらうことです。会社売却によって得た資金で借入金を一括返済するのであれば、債権者も応じる可能性が高くなります。また、売却後も会社の財務状況が健全であると見込まれる場合、連帯保証を解除してもらう交渉の余地があります。

2.1.1 交渉を成功させるためのポイント
売却後の事業計画を明確に提示し、返済能力を証明する
誠実な態度で交渉に臨む
M&Aアドバイザーなどの専門家を介して交渉する
2.1.2 交渉時の注意点
債権者との交渉は、売却契約締結前に開始することが重要です。
債権者が複数いる場合は、それぞれの債権者との交渉が必要になります。
交渉が難航する場合は、代替案を検討する必要があります。

2.2 方法2 保証協会の利用

信用保証協会は、中小企業の資金調達を支援する公的機関です。信用保証協会が保証している借入であれば、会社売却時に保証協会と交渉することで連帯保証を解除できる可能性があります。特に、経営者保証に関するガイドラインに基づき、一定の条件を満たせば、保証協会による保証債務の代位弁済と求償権放棄による連帯保証解除が期待できます。

2.2.1 保証協会の種類と特徴
信用保証協会都道府県ごとに設立されている、最も一般的な保証協会です。
中小企業基盤整備機構国が設立した機関で、信用保証協会よりも規模の大きい事業者も対象となります。
2.2.2 保証協会を利用するメリット・デメリット
メリット デメリット
債権者との交渉がスムーズに進む可能性がある 保証料などの費用が発生する
一定の要件を満たせば、連帯保証を解除できる可能性が高い 審査に時間がかかる場合がある

2.3 方法3 第三者による債務引受

買収企業や第三者に債務を肩代わりしてもらう方法です。買収企業が債務を引き受けることで、売却企業の経営者は連帯保証から解放されます。ただし、買収企業が債務引受に同意するかどうかは、買収条件や売却企業の財務状況などによって異なります。

2.3.1 債務引受の仕組み

債務引受には、以下の2つの種類があります。

重畳的債務引受元の債務者と債務引受人が連帯して債務を負う
免責的債務引受元の債務者が債務を免れ、債務引受人が単独で債務を負う

連帯保証解除のためには、免責的債務引受が必要です。

2.3.2 債務引受契約の注意点
債務引受契約は、債権者の同意が必要となります。
債務引受の条件を明確に定める必要があります。
税務上の影響を考慮する必要があります。

これらの3つの方法はそれぞれメリット・デメリットがあり、状況に応じて最適な方法を選択する必要があります。M&Aアドバイザーに相談することで、最適な方法を選択し、スムーズな連帯保証解除を実現できる可能性が高まります。自己判断で進めず、専門家のアドバイスを受けることを強くお勧めします。これらの方法を適切に活用することで、M&Aを成功に導き、事業のさらなる発展を目指しましょう。


3. M&Aアドバイザーの活用

M&Aは複雑なプロセスであり、専門知識と経験が必要です。特に、中小企業にとっては、社内にM&Aの専門家がいない場合が多く、外部の専門家であるM&Aアドバイザーの活用が不可欠です。M&Aアドバイザーは、売却側、買収側どちらの立場でも、M&Aプロセス全体をサポートし、成功へと導く役割を担います。


3.1 M&Aアドバイザーの役割

M&Aアドバイザーは、M&Aに関する様々な業務をサポートします。主な役割は以下の通りです。

役割 内容
企業価値評価対象企業の財務状況、事業内容、将来性などを分析し、適正な企業価値を算定します。
M&A戦略の立案売却価格、買収条件、交渉戦略など、M&A全体の戦略を立案します。
候補先の探索売却側であれば最適な買収先を、買収側であれば最適な売却先を探索します。
交渉支援価格や条件交渉など、M&Aにおける交渉をサポートします。
デューデリジェンス支援買収対象企業の財務、法務、事業などの調査をサポートします。
契約書作成支援M&A契約書の作成、レビューをサポートします。
クロージング支援M&A成立までの手続きをサポートします。
PMI支援M&A成立後の統合プロセスをサポートします。

3.2 M&Aアドバイザーを選ぶポイント

M&Aアドバイザーを選ぶ際には、以下のポイントを考慮することが重要です。

3.2.1 実績と経験

M&Aの実績、特に同業種や同規模の企業のM&Aの経験が豊富なアドバイザーを選ぶことが重要です。実績は、M&A成約数や成約金額だけでなく、M&A後のPMI支援の実績も確認しましょう。

3.2.2 専門性

M&Aには、財務、法務、税務など、様々な専門知識が必要です。アドバイザーの専門分野を確認し、自社のニーズに合った専門家を選びましょう。例えば、連帯保証の解除に強いアドバイザーや、事業承継に特化したアドバイザーなど、専門分野に特化したアドバイザーも存在します。

3.2.3 費用

M&Aアドバイザーの費用は、成功報酬型、時間報酬型、固定報酬型など、様々な体系があります。費用体系や料金の目安を確認し、自社の予算に合ったアドバイザーを選びましょう。料金だけでなく、提供されるサービス内容とのバランスも重要です。

3.2.4 コミュニケーション能力

M&Aは、企業の将来を左右する重要な意思決定です。アドバイザーとの信頼関係が不可欠です。コミュニケーション能力が高く、相談しやすいアドバイザーを選びましょう。密なコミュニケーションをとり、疑問点や不安点を解消しながらM&Aを進めることが重要です。

3.2.5 ネットワーク

M&Aアドバイザーは、幅広いネットワークを持っていることが重要です。金融機関、投資家、弁護士、会計士など、様々な分野の専門家とのネットワークが、M&Aをスムーズに進める上で役立ちます。特に、中小企業のM&Aでは、地域に密着したネットワークを持つアドバイザーが有利な場合があります。

これらのポイントを踏まえ、複数のM&Aアドバイザーに相談し、比較検討することで、自社にとって最適なアドバイザーを見つけることができます。 M&Aアドバイザーの活用は、M&Aを成功させるための重要な鍵となります。特に、連帯保証の解除や事業承継といった複雑な問題を抱える中小企業にとっては、M&Aアドバイザーのサポートが不可欠です。適切なアドバイザー選びが、M&Aの成否を大きく左右すると言えるでしょう。


4. M&A成功事例紹介(中小企業)

M&Aを成功に導くためには、綿密な計画と適切な実行が不可欠です。ここでは、中小企業のM&Aにおける成功事例を2つご紹介し、成功要因を分析します。これらの事例は、連帯保証の解除をスムーズに進めた点も注目すべきポイントです。


4.1 事例1 製造業A社のM&A(事業承継型M&A)

従業員数50名、売上高10億円の老舗金属加工会社A社は、後継者不在の問題を抱えていました。社長の高齢化に伴い、事業継続が危ぶまれる中、M&Aによる事業承継を検討。A社社長は、長年積み上げてきた取引先との関係や従業員の雇用維持を重視していました。

4.1.1 M&Aの経緯と成功要因

A社は、M&Aアドバイザーのサポートを受けながら、適切な買収先を探しました。最終的に、事業シナジーが見込める大手製造業B社と交渉を進め、M&Aが成立。B社はA社の技術力と顧客基盤を高く評価し、従業員の雇用も維持することを約束しました。A社社長の連帯保証も、B社との交渉により、M&A成立後に解除されました。

項目 詳細
売却企業 A社(金属加工業)
買収企業 B社(大手製造業)
M&Aの形態 株式譲渡
連帯保証の解除 買収企業との交渉による解除
成功要因 適切な買収先の選定、M&Aアドバイザーの活用、連帯保証の事前交渉

4.2 事例2 IT企業B社のM&A(成長戦略型M&A)

従業員数20名、売上高3億円のIT企業B社は、独自の技術力を持つものの、資金調達と販路拡大に課題を抱えていました。更なる成長を目指し、M&Aによる経営資源の獲得を検討。

4.2.1 M&Aの経緯と成功要因

B社は、M&Aアドバイザーを通じて、大手通信会社C社とのM&Aを実現しました。C社はB社の技術力と成長性に魅力を感じ、B社はC社の資金力と販路を活用することで、事業拡大を加速させることができました。B社社長の連帯保証は、保証協会の制度を利用することで、M&A成立前に解除することができました。この迅速な対応が、M&A交渉をスムーズに進める上で重要な役割を果たしました。

項目 詳細
売却企業 B社(IT企業)
買収企業 C社(大手通信会社)
M&Aの形態 株式譲渡
連帯保証の解除 保証協会の利用
成功要因 事業シナジーの高い買収先とのマッチング、M&Aアドバイザーによる戦略立案、保証協会の活用による迅速な連帯保証解除

これらの事例から、中小企業のM&A成功には、適切な買収先の選定、M&Aアドバイザーの活用、そして連帯保証問題への事前の対策が重要であることが分かります。特に、連帯保証の解除は、M&A交渉をスムーズに進める上で大きな影響力を持つため、事前に綿密な計画を立て、適切な方法を選択することが大切です。


5. 連帯保証解除以外のM&Aにおける注意点

M&Aは、連帯保証の解除以外にも様々な注意点が存在します。これらを理解していないと、M&A後の事業運営に支障をきたしたり、予期せぬ損失を被る可能性があります。スムーズな事業統合とシナジー効果の最大化のためにも、以下の点に留意することが重要です。


5.1 デューデリジェンスの重要性

デューデリジェンスとは、M&A対象企業の財務状況、事業内容、法務コンプライアンス等を詳細に調査するプロセスです。買収後のトラブルを未然に防ぐために、デューデリジェンスは非常に重要です。

財務デューデリジェンスでは、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書といった財務諸表を分析し、企業の収益性、安全性、成長性を評価します。

事業デューデリジェンスでは、市場環境、競合状況、事業計画などを分析し、企業の将来性を評価します。

法務デューデリジェンスでは、契約書、許認可、訴訟リスクなどを調査し、法的な問題がないかを確認します。

税務デューデリジェンスでは、税務申告の状況や過去の税務調査の結果などを確認し、税務リスクを評価します。

環境デューデリジェンスでは、環境規制への compliance 状況や環境リスクを調査します。

これらのデューデリジェンスを適切に行うことで、M&Aのリスクを最小限に抑えることができます。


5.2 従業員への影響

M&Aは、従業員の雇用、待遇、キャリアパスに大きな影響を与える可能性があります。M&A後の組織体制、人事制度、企業文化の変化によって、従業員のモチベーション低下や離職につながる可能性も懸念されます。従業員への丁寧な説明、適切なケア、不安解消への取り組みは、M&A後の円滑な事業統合のために不可欠です。

例えば、M&A後の経営方針や人事制度について、従業員説明会などを開催し、透明性の高い情報開示を行うことが重要です。また、従業員の不安や疑問に真摯に耳を傾け、適切な対応策を講じることも重要です。従業員代表との定期的な面談や、相談窓口の設置なども有効な手段です。従業員の協力なくしてM&Aの成功はあり得ないため、従業員を重要なステークホルダーとして認識し、適切な対応を行う必要があります。


5.3 事業継続性

M&A後も事業を円滑に継続していくためには、事業計画の策定、システム統合、顧客との関係維持などが重要です。M&Aによって、事業戦略、経営体制、業務プロセスなどが変更される場合があり、これらが事業継続性に影響を与える可能性があります。例えば、システム統合においては、旧システムと新システムの互換性、データ移行、セキュリティ対策などを綿密に計画する必要があります。

また、顧客との関係維持においては、M&Aによるサービス内容の変更や担当者の変更などを顧客に丁寧に説明し、理解を得ることが重要です。取引先との契約内容の見直しや、新たな契約締結が必要になる場合もあります。M&A後の事業継続性を確保するためには、事前に綿密な計画を立て、関係者との調整を図ることが重要です。


5.4 PMI(Post Merger Integration)の重要性

PMIとは、M&A成立後に買収企業と被買収企業の統合を円滑に進めるための活動です。PMIの成否がM&Aの成功を大きく左右します。PMIには、組織統合、人事制度統合、システム統合、文化統合など、多岐にわたる活動が含まれます。

統合プロセスをスムーズに進めるためには、明確な目標設定、綿密な計画立案、関係者間のコミュニケーション、進捗状況のモニタリング、柔軟な対応が重要です。PMIを成功させるためには、専門の担当者を配置し、十分なリソースを投入する必要があります。


5.5 買収後のシナジー効果

M&Aの目的は、買収企業と被買収企業の統合を通じてシナジー効果を生み出し、企業価値を高めることです。シナジー効果には、売上増加、コスト削減、技術革新、市場拡大など様々なものがあります。シナジー効果を最大化するためには、M&Aの目的を明確にし、統合プロセスにおいてシナジー創出を意識した取り組みを行うことが重要です。

例えば、両社の営業部門を統合することで、顧客基盤の拡大やクロスセルによる売上増加が期待できます。また、生産拠点や物流網を統合することで、コスト削減を実現できる可能性があります。シナジー効果を定量的に測定し、目標達成度合いを評価することも重要です。


5.6 M&Aにおけるコンプライアンス

M&Aにおいては、独占禁止法、金融商品取引法、会社法など、様々な法律を遵守する必要があります。コンプライアンス違反は、M&Aの無効や巨額の罰金、企業の評判失墜につながる可能性があります。M&Aを進める際には、弁護士や会計士などの専門家の助言を得ながら、法令遵守を徹底することが重要です。


5.7 株主への説明責任

M&Aは、企業の将来に大きな影響を与えるため、株主に対してM&Aの目的、内容、リスクなどを適切に説明する必要があります。株主の理解と支持を得ることは、M&Aを成功させる上で重要な要素です。株主総会や投資家向け説明会などを開催し、透明性の高い情報開示を行うことが求められます。

注意点 内容 対策
デューデリジェンスの不足 対象企業の財務状況や法務リスクを十分に把握しないままM&Aを進めると、想定外の負債や訴訟リスクが発覚し、損失を被る可能性があります。 経験豊富な専門家チームを編成し、財務、法務、事業、税務、環境など多角的なデューデリジェンスを実施する。
従業員への配慮不足 M&Aによる組織変更や雇用不安により、従業員のモチベーションが低下し、離職や生産性低下につながる可能性があります。 M&A後の経営方針や人事制度について従業員に丁寧に説明し、不安解消に努める。従業員代表との協議の場を設ける。
事業統合の失敗 異なる企業文化やシステムの統合がうまくいかず、業務効率の低下や顧客離れにつながる可能性があります。 統合計画を綿密に策定し、段階的に実行する。文化の違いを尊重し、相互理解を深めるための研修などを実施する。
シナジー効果の発揮不足 M&Aの目的が明確でなく、シナジー効果を創出するための具体的な施策が不足していると、期待した成果が得られない可能性があります。 M&Aの目的を明確にし、シナジー効果を最大化するための統合計画を策定する。進捗状況を定期的にモニタリングし、必要に応じて軌道修正を行う。
コンプライアンス違反 独占禁止法や金融商品取引法などに抵触すると、M&Aが無効となるだけでなく、巨額の罰金や企業イメージの低下につながる可能性があります。 弁護士や会計士などの専門家の助言を得ながら、法令遵守を徹底する。コンプライアンス研修を実施し、従業員の意識向上を図る。

6. まとめ

中小企業のM&Aにおいて、経営者の大きな懸念事項の一つが連帯保証の解除です。この記事では、会社売却と連帯保証の関係性、そしてM&Aにおける連帯保証問題の解決策について解説しました。連帯保証は、企業の資金調達において重要な役割を果たしますが、M&Aにおいては売却後も責任が残り続けるリスクがあります。特に中小企業では、経営者が個人保証しているケースが多く、M&Aを躊躇する要因となることも少なくありません。

連帯保証を解除する方法としては、大きく分けて「債権者との交渉」「保証協会の利用」「第三者による債務引受」の3つがあります。債権者との交渉は、最も直接的な方法ですが、交渉を成功させるには綿密な準備と戦略が必要です。保証協会のセーフティネット保証を活用する方法も有効な手段となります。

また、第三者による債務引受は、買収企業などが債務を引き受けることで連帯保証を解除する方法です。それぞれの方法にはメリット・デメリットがあり、企業の状況やM&Aの条件に合わせて最適な方法を選択することが重要です。

これらの手続きは複雑で専門的な知識を要するため、M&Aアドバイザーの活用が非常に有効です。M&Aアドバイザーは、連帯保証解除に向けた交渉や手続きをサポートするだけでなく、M&A全体をスムーズに進めるためのアドバイスを提供してくれます。M&Aアドバイザーを選ぶ際には、実績や専門性、そして企業との相性などを考慮することが大切です。

成功事例からもわかるように、適切なM&Aアドバイザーの選定は、M&Aの成否を大きく左右します。

最後に、連帯保証の解除以外にも、M&Aにはデューデリジェンスの実施、従業員への影響、事業継続性など、様々な注意点があります。M&Aを成功させるためには、これらの点にも十分に配慮し、綿密な計画と準備を行うことが不可欠です。この記事が、中小企業経営者の皆様が安心してM&Aを進めるための一助となれば幸いです。

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