債務超過で会社売却?それとも倒産?違いを知って企業の危機を乗り越える!
- 「債務超過になったら会社は終わり...」そんな風に考えていませんか?
- 実は、債務超過に陥っても、会社売却や再建など、まだ打てる手は残されています。
この記事を読むことで、債務超過という状況を正しく理解し、企業の危機を乗り越えるための最適な道筋を見つけることができるでしょう。
帝国データバンクのデータによると、実際に多くの企業が倒産ではなく、会社売却や再建によって危機を脱しています。あなたも諦めずに、未来を切り開くためにこの記事をご活用ください。
M&A PMI AGENTは上場企業・中堅・中小企業の「M&AからPMI支援までトータルサポート」できるM&A仲介会社です。詳しくはコンサルタントまでお気軽にご相談ください。
M&A・PMI支援のご相談はこちら
- 目次
-
1. 債務超過とは?
1.1 貸借対照表と債務超過の関係
1.2 債務超過の原因
2. 会社売却という選択肢
2.1 M&Aで会社売却するポイント
2.2 債務超過でも会社売却はできるのか
2.3 会社売却のメリット・デメリット
3. 倒産とは?
3.1 倒産の種類
3.2 倒産手続きの流れ
3.3 倒産による影響
4. 債務超過になった場合の対処法
4.1 専門家への相談
4.2 再建計画の策定と実行
4.3 金融機関との交渉
5. まとめ
債務超過とは
企業や借金や負債が資産を上回る状態のことを指します。つまり、支払い能力が借金よりも不足している状態であり、経済的に困難な状況にあることを示します。債務超過の場合、再建策の検討や借金の整理が必要となることがあります。
1.1 貸借対照表と債務超過の関係 企業の財政状態を明らかにする貸借対照表(B/S)は、「資産」「負債」「純資産」の3つの要素で構成されています。資産は、現金や預金、土地、建物、機械設備など、企業が事業活動のために保有する経済的な価値を持つものを指します。
負債は、企業が外部に対して負っている債務のことで、借入金や買掛金などが含まれます。そして純資産は、資産から負債を差し引いた残り、つまり企業の本当の持ち分を示すものです。
貸借対照表では、以下の等式が成り立ちます。
資産=負債+純資産
債務超過とは、この純資産がマイナスの状態になることを指します。つまり、企業が保有する資産の価値よりも、負債の総額が上回っている状態を意味します。この状態は、企業の財務状況が極めて悪化していることを示しており、早急な対策が必要となります。
1.2 債務超過の原因 債務超過に陥る原因は、企業によって様々ですが、主なものとしては以下のような点が挙げられます。
売上高の減少 景気の悪化や競争の激化などにより、売上が減少することがあります。 売上が減少すると、利益も減少し、債務超過に陥りやすくなります。
コストの増加 原材料費や人件費などのコストが増加すると、利益が圧迫され、債務超過に陥りやすくなります。特に、近年は原油価格や資源価格の高騰などにより、コスト増加が問題となっています。
過剰な投資 将来の成長を見込んで、過剰な設備投資や在庫を抱え込むことがあります。しかし、計画通りに売上が伸びなかった場合、債務超過に陥る可能性があります。
不良債権の発生 取引先の倒産などにより、貸付金が回収不能になることがあります。多額の不良債権が発生すると、債務超過に陥る可能性があります。
災害や事故 地震や火災などの災害や、製品事故などが発生すると、多額の損失が発生し、債務超過に陥る可能性があります。これらの要因が複合的に作用することで、債務超過に陥るケースも少なくありません。
重要なことは、これらのリスクを事前に認識し、適切な対策を講じることです。そのためにも、日頃から会社の財務状況を把握し、経営環境の変化に注意を払う必要があります。
2. 会社売却という選択肢 債務超過に陥った企業にとって、会社売却は有効な選択肢の一つとなりえます。特に、事業継続の可能性がありながら、資金繰りの悪化によって経営が困難になっている場合には、会社売却によって経営の立て直しを図ることができる可能性があります。
ここでは、債務超過に陥った企業における会社売却について解説します。
2.1 M&Aで会社売却するポイント M&Aとは、Mergers and Acquisitionsの略称で、企業の合併・買収を意味します。会社売却はM&Aの一形態であり、経営権の移転を伴う点が特徴です。債務超過の状況下では、以下のポイントを踏まえてM&Aによる会社売却を進める必要があります。
早期の専門家への相談 | M&Aは複雑な手続きを伴うため、弁護士、会計士、M&Aアドバイザーなどの専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることが重要です。 |
---|---|
適切な売却先の選定 | 自社の事業とのシナジー効果が見込める、または事業再生に意欲的な企業を選定することが重要です。財務状況だけでなく、企業文化や経営理念との相性も考慮する必要があります。 |
透明性の確保 | 財務状況や事業内容について、正確かつ透明性の高い情報を開示することで、売却先の理解と信頼を得ることが重要です。隠蔽や虚偽の情報提供は、後々トラブルに発展する可能性があります。 |
2.2 債務超過でも会社売却はできるのか 結論から言うと、債務超過でも会社売却は可能です。ただし、債務超過の状態では、会社の純資産がマイナスとなるため、売却価格が負債総額を下回る可能性が高くなります。
この場合、売却益ではなく、債務超過の解消や雇用の維持を目的とした売却となるケースが多いです。 債務超過の会社が売却される場合、以下の2つのパターンが考えられます。
1.事業価値に着目した買収
債務超過であっても、将来性のある事業や独自の技術、ブランド力などを持つ企業は、買収の対象となることがあります。買収企業は、これらの事業価値を見込み、債務超過の状態であっても買収に踏み切る場合があります。2.スポンサー企業による支援
経営破綻の危機に瀕している企業に対して、スポンサー企業が支援を目的として買収する場合があります。スポンサー企業は、金融機関との債務交渉や事業再生計画の策定などを支援し、企業の再建を図ります。2.3 会社売却のメリット・デメリット 会社売却には、メリットだけでなくデメリットも存在します。それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、会社売却を行うかどうかを判断する必要があります。
メリット 事業の継続 倒産してしまうと事業の継続が難しくなりますが、会社売却によって事業を継続できる可能性があります。特に、従業員の雇用維持という観点からも大きなメリットと言えるでしょう。
債務超過の解消 売却によって得た資金で債務を返済することで、債務超過の状態から脱却できる可能性があります。ただし、売却価格が負債総額を下回る場合は、債務超過が解消されない場合もあります。
経営の負担軽減 経営から退くことで、経営の負担から解放されます。特に、後継者問題を抱えている経営者にとっては、会社売却が有効な選択肢となるでしょう。
デメリット 経営権の喪失 会社売却に伴い、経営権を失うことになります。これまでのように、自分の思い通りに経営ができなくなることを理解しておく必要があります。
従業員の雇用維持の不確実性 買収企業の意向によっては、従業員の雇用が維持されない可能性もあります。リストラが行われる可能性もあることを理解しておく必要があります。
売却価格への不満 売却価格が、経営者の希望する金額よりも低い場合があります。特に、債務超過の状態では、売却価格が負債総額を下回る可能性が高くなるため、注意が必要です。
債務超過の際に会社売却を検討する際は、これらのメリット・デメリットを踏まえ、専門家の意見も参考にしながら、慎重に判断する必要があります。
3. 倒産とは?
- 倒産とは、企業が支払い義務を果たせずに経済的に破綻することを指します。企業の場合、事業活動が停止し、負債を支払う能力がなくなることで倒産手続きが行われます。
再生手続きでは、企業再建を試み、債権者との和解や債務のリスケジュールを行いながら事業を再生させることを目指します。
倒産は経済活動において必要不可欠なメカニズムであり、経済の効率を維持するためには不良資産や経営者の過剰なリスクを取り除くことが重要です。
ただし、倒産が拡大した場合には、地域経済や雇用などに悪影響を及ぼす可能性もあるため、適切な倒産手続きの遂行が求められています。
3.1 倒産の種類 企業倒産には、大きく分けて以下の4つの種類があります。
破産 破産は、最も一般的な倒産手続きであり、裁判所が関与して企業の資産を債権者に分配する手続きです。
破産手続き開始の決定 | 裁判所は、企業の資産状況や負債状況などを調査し、破産手続き開始の決定を下します。 |
---|---|
破産管財人の選任 | 裁判所は、破産手続き開始の決定と同時に、弁護士や公認会計士などの専門家の中から破産管財人を選任します。破産管財人は、企業の資産を調査・管理し、債権者に公平に分配する役割を担います。 |
債権の届出と調査 | 破産手続き開始の決定がなされると、債権者は、裁判所に対して債権の届出を行う必要があります。破産管財人は、届出された債権の内容を調査し、債権者集会で報告します。 |
配当 | 破産管財人は、換価した資産を債権者に分配します。これを配当と呼びます。配当は、債権額に応じて按分して行われます。 |
破産手続きの終結 | 配当が終了すると、破産手続きは終結します。 |
特別調停 特別調停は、裁判所の監督の下、債権者と債務者が合意によって債務の整理を行う手続きです。
調停の申し立て | 債務超過に陥った企業は、裁判所に対して特別調停の申し立てを行います。 |
---|---|
調停委員の選任 | 裁判所は、弁護士や公認会計士などの専門家の中から調停委員を選任します。調停委員は、債権者と債務者の間に入り、合意形成を図ります。 |
調停案の作成と決議 | 調停委員は、債権者と債務者の意見を聞きながら、調停案を作成します。調停案には、債務の減額や返済期間の延長などの内容が盛り込まれます。調停案は、債権者集会で決議されます。 |
調停の成立と実行 | 債権者集会で調停案が可決されると、調停が成立します。調停が成立すると、債権者は、調停案の内容に従って債権を行使することになります。 |
民事再生 民事再生は、裁判所の監督の下で企業が事業を継続しながら、債務の整理を行う手続きです。
再生手続き開始の申し立て | 債務超過に陥った企業は、裁判所に対して民事再生手続き開始の申し立てを行います。 |
---|---|
再生手続き開始の決定 | 裁判所は、企業の事業の継続可能性などを調査し、再生手続き開始の決定を下します。 |
監督委員の選任 | 裁判所は、弁護士や公認会計士などの専門家の中から監督委員を選任します。監督委員は、企業の事業の執行状況を監督し、再生計画案の審査などを行います。 |
再生計画案の作成と決議 | 債務者は、監督委員の監督の下、再生計画案を作成します。再生計画案には、債務の減額や返済期間の延長、事業の再編などの内容が盛り込まれます。再生計画案は、債権者集会で決議されます。 |
再生計画の認可と実行 | 債権者集会で再生計画案が可決されると、裁判所は、再生計画を認可します。再生計画が認可されると、債務者は、再生計画の内容に従って債務を弁済し、事業を継続することになります。 |
会社更生 会社更生は、裁判所の監督の下、大規模な企業が事業を継続しながら、経営を立て直すための手続きです。
更生手続き開始の申し立て | 債務超過に陥った企業は、裁判所に対して会社更生手続き開始の申し立てを行います。 |
---|---|
更生手続き開始の決定 | 裁判所は、企業の事業の継続可能性などを調査し、更生手続き開始の決定を下します。 |
更生管財人の選任 | 裁判所は、弁護士や公認会計士などの専門家の中から更生管財人を選任します。更生管財人は、企業の事業の執行を監督し、更生計画案の審査などを行います。 |
更生計画案の作成と決議 | 債務者は、更生管財人の監督の下、更生計画案を作成します。更生計画案には、債務の減額や返済期間の延長、事業の再編などの内容が盛り込まれます。更生計画案は、債権者集会で決議されます。 |
更生計画の認可と実行 | 債権者集会で更生計画案が可決されると、裁判所は、更生計画を認可します。更生計画が認可されると、債務者は、更生計画の内容に従って債務を弁済し、事業を継続することになります。 |
3.2 倒産手続きの流れ 倒産手続きの流れは倒産の種類によって異なりますが、大まかな流れは次のとおりです。
数字のあるテーブル
1 | 支払不能状態の発生 |
---|---|
2 | 裁判所への手続き開始の申し立て |
3 | 裁判所による手続き開始の決定 |
4 | 債権者集会における説明 |
5 | 資産の換価・配当 |
6 | 手続きの終結 |
3.3 倒産による影響 倒産は、企業だけでなく、従業員・取引先・地域経済などにも大きな影響を与えます。
企業への影響
• 事業の継続が困難になる• 信用が失墜する
• 従業員の解雇が必要になる場合がある
従業員への影響
• 失業する可能性がある• 退職金が支払われない可能性がある
• 再就職が困難になる場合がある
取引先への影響
• 売掛金が回収できなくなる可能性がある• 取引先の倒産に連鎖して、自社も倒産する可能性がある
地域経済への影響
• 雇用が失われる• 税収が減少する
• 地域経済が衰退する
4. 債務超過になった場合の対処法 債務超過に陥った場合、ただちに事業の継続が不可能になるわけではありません。企業の再建に向けて、早急かつ適切な対処を行うことが重要です。以下に、具体的な対処法を解説します。
4.1 専門家への相談 債務超過は複雑な問題であり、経営者だけで解決することは困難です。そのため、早期に専門家に相談し、アドバイスやサポートを受けることが重要となります。
弁護士 債務超過に関連する法的問題について、専門的な知識と経験を持つ弁護士に相談することで、状況に応じた適切なアドバイスや解決策を見出すことができます。
債権者との交渉や法的整理 弁護士は、債権者との交渉を代理で行ったり、法的整理(会社更生、民事再生など)の法的手続きをサポートしたりすることができます。
法的リスクの評価と対策 債務超過に関連する法的リスクを評価し、適切な対策を講じることで、企業の損害を最小限に抑えることができます。
契約書の作成・レビュー 再建計画に基づく新たな契約や、債権者との合意書など、法的効力を持つ文書の作成やレビューを依頼することができます。
税理士 債務超過は、企業の税務にも大きな影響を及ぼします。税理士は、債務超過に関連する税務問題について、専門的な知識と経験に基づいたアドバイスやサポートを提供します。
税務申告の適正化 債務超過に関連する税務上の特例や、損失の繰越控除などを活用し、税務申告の適正化を図ります。
税務調査への対応 債務超過に陥った企業は、税務調査の対象となる可能性が高まります。税理士は、税務調査への対応をサポートし、企業を守ります。
事業計画の策定支援 税務の観点から、事業計画の策定を支援し、企業の再建をサポートします。
中小企業診断士 中小企業診断士は、経営全般に関する専門家です。債務超過に陥った企業に対し、経営改善や事業再生に向けたアドバイスやサポートを行います。
経営診断と課題分析 企業の現状を分析し、債務超過の原因や問題点を明確化します。
再建計画の策定支援 具体的な目標設定や、実行可能なアクションプランを含む、実現性の高い再建計画の策定を支援します。
補助金・助成金制度の活用 企業の再建を支援する、国や地方自治体の補助金・助成金制度の活用をサポートします。
4.2 再建計画の策定と実行 専門家のアドバイスを受けながら、現状を打破するための再建計画を策定し、実行することが重要です。
現状分析 まずは、会社の現状を把握することから始めます。
財務状況の分析
貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書などを用いて、会社の財務状況を詳細に分析します。
事業内容の分析
売上高、利益率、競争環境などを分析し、事業の収益性や成長性を評価します
経営体制の分析
意思決定プロセス、組織構造、人材などを分析し、経営上の問題点を洗い出します。
再建計画の策定 現状分析の結果に基づき、具体的な目標を設定し、それを達成するための方法を検討します。
目標設定
債務超過の解消、収益力の向上、財務体質の強化など、具体的な目標を設定します。戦略の選択
目標達成のために、事業の選択と集中、新規事業の開発、コスト削減、業務効率化など、最適な戦略を選択します。行動計画の作成
具体的な行動計画を策定し、担当者、期限、必要な資源などを明確化します。実行とモニタリング 策定した再建計画に基づき、具体的な行動を起こし、進捗状況を定期的にモニタリングします。
関係者への周知徹底 | 従業員、取引先、金融機関など、関係者に対して、再建計画の内容を丁寧に説明し、理解と協力を得ることが重要です。 |
---|---|
進捗状況の確認 | 定期的に、計画に対する進捗状況を確認し、必要に応じて計画を見直します。 |
軌道修正 | 計画通りに進まない場合は、状況に合わせて軌道修正を行います。 |
4.3 金融機関との交渉 債務超過に陥った場合、金融機関との交渉は不可欠です。
リスケジュール 既存の借入金の返済条件の変更(返済期間の延長、金利の引き下げなど)を交渉します。リスケジュールにより、当面の資金繰りを改善し、事業の立て直しを図ることができます。 |
新規融資 事業の再建に必要な資金を調達するために、新規融資を要請します。金融機関は、再建計画の実行可能性や、企業の将来性を評価し、融資の可否を判断します。 |
債権放棄 金融機関に対して、債務の一部または全部の放棄を要請します。債権放棄は、企業の財務負担を軽減し、再建を促進するために有効な手段となります。 金融機関との交渉は、企業の信頼関係が重要となります。日頃から良好な関係を築いておくことが大切です。 |
5. まとめ 債務超過は、企業にとって決して軽視できない状況です。しかし、ただちに倒産となるわけではなく、会社売却や再建など、様々な選択肢が存在します。
重要なのは、会社の状況を正確に把握し、早急に対処することです。
債務超過に陥った場合は、弁護士や税理士などの専門家に相談し、会社売却の可能性を探るためにもM&A仲介会社などにも相談し、状況に最適な方法を検討しましょう。
早期の対応が、企業の未来を左右すると言っても過言ではありません。
編集者の紹介
株式会社M&A PMI AGENT
代表取締役 日下部 興靖
上場企業のグループ会社の取締役を4社経験。M&A・PMI業務・経営再建業務などを10年経験し、多くの企業の業績改善を行ったPMIのスペシャリスト。3か月のPMIにて期首予算比で売上1.8倍、利益5倍などの実績を持つ。